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番外編
神王様の薬3
しおりを挟むロビン視点
「━━…で、アフィラート様はこの世界でもトップクラスの魔法使いってわけだ! 」
さっきからずっと“焔の鳥”と“アフィラートさま”とかいう冒険者の事を語っているものだから、いい加減飽きてきたんだけど。
要するにこのお兄さんは、“アフィラートさま”のような“魔法使い”になりたいのね。
でも、話を聞いていると…火の魔法も水の魔法も、子供でも使えるようなレベルのものばかりだわ。“アフィラートさま”って本当に凄い魔法使いなのかしら??
「“焔の鳥”は深淵の森で、ヤコウ鳥やヴェア、珍しい薬草を採取して一気に名を上げていったんだ! だから、俺もあの人達と同じようにここでヤコウ鳥やヴェアを狩って、名とランクを上げるつもりだ!」
お兄さんは天を仰ぎながらそう言ってわたしを見ると、
「なぁ、お前はこの森に住んでるんだろ? ヤコウ鳥が居る場所、知らないか?」
「ヤコウ鳥ならよく狩りに行くから知ってるけど…」
でもこの辺りに居る可愛い動物に大怪我を負わされるんでしょう。ヤコウ鳥だと確実に殺されてしまうわ。
「知ってるのか!?」
なのにお兄さんは瞳を輝かせながら、わたしに場所を教えてほしいってお願いしてくるの。
さっきまで死にそうだったというのに、この人忘れてるのかしら?
「勿論場所を教えてくれるだけで大丈夫だから。ヤコウ鳥は凶暴で強い魔物だから、子供を連れていくわけにはいかないしな」
「子供じゃなくて立派なレディだって言ってるでしょう!!」
それに、ヤコウ鳥は魔物じゃなくて普通の動物よ!! と訴えたのに、お兄さんはハハッと白い歯を見せて笑い、ヤコウ鳥はAランクの魔物だって言うのよ。Aランクが何かはわからないけれど、魔物と動物の差なんて見ればわかるじゃない。
魔法を扱える動物の事を魔物っていうんだって、小さい頃にヴェリウスから習ったわ。
「ヤコウ鳥狩ってきたら、助けてくれたお礼に肉を分けてやるよ」
なんて、レディの頭を撫でてくるものだから呆れたわ。
「もう、しょうがないわね! 場所を教えてあげるわ」
ため息を吐いて言えば、お兄さんは嬉しそうに「本当か!!」と喜んだの。
「ただし、わたしも一緒に行くわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
雅視点
売れに売れた薬達はあっという間に完売して、あんなにあった在庫が綺麗に片付き、離れの棚にある分だけとなった。
「いや~思ったより人気だったね~」
ヘラヘラ笑っていれば、浮島全員という脅威の人数をさばいていて、さすがにぐったりしていたお手伝いの珍獣達から、力のこもった答えが返ってきた。
「当然です。神王様手ずからお創りになったもの」
「常であればお金などで交換できるようなものではありません」
「神々の褒章でお与えになるものです」
等々、たくさんのご意見をいただいた。
なんだかスミマセン。
「これこれ、お前達。神王様が困惑されているではないか」
一番年を取っているというのに、疲れを感じさせない飄々とした様で現れた長老は、すかさず私をフォローしてくれる。さすがベテラン執事様である。
「長、神々のご様子はいかがでしたか?」
「問題はないから安心しなさい」
長老は薬を買った神々の様子を見に行っていたらしい。私の薬が原因で神同士の争いになってはいけないからだとかなんとか。テキトーに創っている薬でそれはないだろうと思うのだが、ヴェリウスや長老達はそこは慎重に進めたいとかで、事前に色々していたそうだ。
「それより神王様、ロビン様が人間に神王印の薬をご使用になり、一緒に狩りに向かったと報告がございましたが、いかがなされますか?」
長老からにっこりと報告された内容に首を傾げた私は、こう答えたのだ。
「え? 何か問題あるの?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロビン視点
「やっぱり駄目だ。危険すぎる」
「わたしがいないとヤコウ鳥の居場所はわからないまま、ずーーっと森をさ迷うのよ」
駄目だというお兄さんに、一緒に行かないなら場所は教えないと言って悩ませ、結局ついていくお許しをもらえたが、それでもさっきからぐずぐず言ってくるお兄さんに、いい加減ムカついてきたわ。
「でも……」
「でもじゃない!! わたしはこの森に住んでるのよ? お兄さんより危険は少ないし、ヤコウ鳥だって狩ったことあるって言ってるでしょ!!」
「そんなわけあるか!! ヤコウ鳥はAランクの魔物だぞっ子供が狩りに行けるわけない!!」
ヤコウ鳥はディークだって簡単に狩れる動物よ。なのに、お兄さんは危ない、危ないってわたしを帰そうとしてくるものだから、彼から逃げるように走ってヤコウ鳥の居る場所までやってきたの。
「ま、待てって!!」
お兄さんは息を上げて追ってきたわ。
ヤコウ鳥の巣の近くまで来たから走るのを止めたのだけど、
「お前ッ 危険な森で大人から離れる奴があるか!!」
なんて怒鳴ってくるのよ。折角案内してあげたっていうのに、酷い話だわ。
「うるさいわね。案内してあげたんだから感謝しなさいよね!」
「うるさいとは何だッ 俺はお前を心配してだな…、は…? 案内って……」
お兄さんが叫ぶものだから、気付かれたみたい。
木々の上部が激しく揺れて、バサバサという大きな音と共に葉っぱや折れた枝が降ってきたの。
「来たわよ」
「来たってなにが……ッ」
強い風が土埃を巻き上げる。
ゲギャアァァァア!!!!
耳に刺さるような声をあげてわたし達の目の前に現れたのは、3メートル以上の巨体と、綺麗な羽を大きく広げるヤコウ鳥だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヤコウ鳥: 雅の大好物。美味しくて有名な巨大鳥。稀少な鳥でルマンド王国では深淵の森にのみ生息。2メートル以上あり凶暴。昔雅がこの鳥をコピーしてギルドに売った事で逮捕されるという珍事件をおこした。
ヴェア: 熊に似た動物。凶暴。14万ジットで買い取ってもらえる。
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