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女勇者「エマ」と大捜査!②

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 「全く……教会の象徴である勇者と聖女が揃って下着姿で、しかも、人の落としたお金を巡って争うなんて」

 清浄なる若ハゲ「セイン」は、裏路地に正座している下着姿の私とエマを見て、ため息をつく。

 ま、眩しい……光り輝くセインが眩し過ぎてまともに見られない私とエマは自身の太ももへと視線を落とす。が、信じられない光量。夜だと言うのに昼間のように明るく目を閉じる。

 「それに歳を考えてください。30と25の女性が下着姿で……」

 ぐ!改めて言われると確かに……恥ずかしくなって、

 「来ない!これが私だ!逆に、30を迎えても、8歳の少年の純粋さを忘れていないなんて凄いことじゃないか!」
 「その通り!この歳になっても……眩し!」
 「エマ!目を開くんじゃない!再び、焼かれてしまうぞ!」

 エマの焼かれた両目をヒールで治す。

 く!清浄なる若ハゲ……女勇者の目を焼くとは、恐るべし!

 「はあ……もういいです。それよりも姉さんはギリギリワンピースに見えますがエマさんはもろですね」

 自身の上着をエマに着させるセインくん。流石のイケメン力。

「お!さんきゅ……ぎゃあ!目がァァ!」

 さすが清浄なる若ハゲ。速攻で治したエマの目を再び焼き上げてしまった。
 私はエマの目を速攻で治してあげる。

 「はぁ……それよりも姉さんたちの話に出てきたギャンブル店ですけど、信者からのタレコミで、姉さん達のような単純そうな一部の客からぼったくっていると言う話です」

 セインくんから告げられた。まさかの衝撃発言

 「え?ぼったくりって、まさかぁ」
 「私達は教会にくる最新の犯罪情報を確認してるぞ?その中には……」

 私とエマが今だに「副業」として勇者と聖女を続けているのは、最新の犯罪情報を閲覧し、夜の街のみんなに自慢しまくる為だ。

 いいだろう?聖女の立場は使いようによっては、便利なんだぞぉ?と……

 「ええ。ありません。だから、聖騎士長の僕が確認に来ました」

 どこから取り出したのかわからないが、サングラスをかける私とエマに頷くセインくん。
 確かにセインくんが動く時は内定捜査が多い。

 「それで姉さん達の受けた手口について聞きたいのですが……」

 セイン君はズボンのポケットからメモ帳を取り出して、手口について話し始める。

 「まずは、姉さん達のような客を見つけたらバニーガールと呼ばれる女性をギリギリ視界に入る位置に配置するそうです」

 セインの喋る内容に「は!」っとする私とエマ。

 「はぁ……その後、ある程度勝たせて気分を良くさせてから、バニーガールの女性が微笑みかけるそうです。そして、客はバニーガールに良いところを見せようと勝負にムキになり始める」

 「「……」」

 セインのいう手口にまんまとはまっている私とエマは目も当てられず下を向く。

 「そこからは相手が負ける回数を増やしていき、さらにムキにならせてから最後に大きな勝負を持ちかけて大金をかけさせるそうです」
 「「……さっきまでの私たちじゃねぇかぁ!」」

 身に覚えがあり過ぎて思わず声に出して叫ぶ私とエマ。

 あの野郎ども!……ウサ耳お姉さんは可愛かったから許す!

 「なるほど……これは店の従業員が全員でやっていることのようですね。組織的な犯行か……慎重に内定……て、姉さん?エマさん?」

 セインは急に立ち上がった私達を見て、心配そうな顔で聞いてくる。

 「あいつらよくも……ウサ耳お姉さんは許す!」
 「やってくれたな……ウサ耳お姉さんは許す!」

 私達はギャンブルバー「ウサ耳」へと歩き出す。ゾンビのように。

 「ちょ、ちょっと待って!慎重に証拠を集め……」
 「「うがああ!」」

 私達の服を必死に引っ張って止めようとするセインを振り払い店のドアを蹴り破る。

 「な、なに!」
 「ぎゃあ!なんで街の中にゾンビが!」

 店の中にいた客達は私とエマを見るなり悲鳴をあげて非常口から逃げ出していく……
 あ!ウサ耳お姉さん!

 「エマ!」
 「まかせろ!クミ!ウサ耳お姉さんは私が死守する!」
 「まかせた!」

 ウサ耳お姉さんはエマに任せて、私は店の奥へと進み、店長ルームと書かれたドアを蹴り破る。

 「な、なんだ!貴様は!」
 「きゃああ!なに!」

 中には、ぶくぶく太ったおじさんと……あ、ここにもウサ耳お姉さん。が、あはん♡な行為におよぶ前のキスをしていた。

 「ウサ耳お姉さん。こちらへ」

 ウサ耳お姉さんを自分の脇に抱えて、店長の名札をつけたおじさんに向き直る。
 右手の幸せな感触……たまんねぇぇ!

 「この店が客からぼったくってるってのは本当か?」

 ベット横に座り込むおじさんに尋ねる。

 「ふ、ふざけるな!うちは真っ当に営業しているだけだ!犯罪者は店のドアを壊したお前だろう!」

 おじさんは私の脇に抱えられたウサ耳お姉さんを物欲しそうに見ながらキレてくる。

 わかるぞ。オッサン!ウサ耳お姉さんはみんなの憧れだよな!

 と、話は戻るが、通常の聖騎士ならここで、任意同行を求めるのだが、私はそんなまどろっこしいことはしない。

 「あ?」

 必殺のヤクザキック(前蹴りです!)でおっさんの横にあるベッドを木っ端微塵に消し飛ばす。

 それを見たおじさんは、しばらく私の顔とベッドの破片を見てから「……ええ!」と驚きの声をあげる。

 「なんだって?よく聞こえなかったわ。もう一度言ってくれる?」

 私は床に座り込むおじさんへとしゃがみ込みんで微笑む。

 「……す、すみませんでしたァァ!」

 おじさんは必死で謝り、その後、悪事の全てを供述。

 無事にお金は被害者達(私達も含む)に返還された。

 なお、ウサ耳お姉さん達は、両親を亡くしたばかりの孤児達で、店長が攫ってきた女性達だった。

 それから、「検挙率100%でも毎回毎回、やりすぎだ!」とリサに叱られ、始末書が増えてしまった。

 まあ、ウサ耳お姉さんが無事だったから、いいか!
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