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本編
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「とりあえず、ドラゴンと竜は別物だ。
ドラゴンは、魔物で人を襲うし街を破壊する危険な奴らだ。
竜は、知能が高く人間よりも遥かに高位の存在で人間を守ってくれることもある。」
「そうなんですか?
じゃあ、竜は、神様みたいなものなんですね。」
「あぁ、そうだな。
だが、神はほとんど人間の前には姿を見せないから見たことある人は居ない。
しかし、竜は資格があるものには見えるんだ。だから、姿の見えない神よりも竜の方が崇められてるな。」
「あぁ、そりゃそうですよね。
居るかどうかわからない神様よりも実際に居て守ってくれてる竜のほうが信仰の対象にしやすいですもんね。」
人が現金な生き物なのはどこの世界でも変わらない様だ。
「少し話が脱線したな。
話を戻すが、あの樹は竜が特殊な結界を張っていて普通は見えないんだ。
つまりあの樹が見えるのは……」
「あ、竜に会う資格があるってことか……
でも、なんで俺にも見えるんでしょう?
この世界の人間じゃないのに……?」
「さぁな。資格を持つ者の基準がよくわからないんだ。
ただ、1つわかったのは竜はトオルを歓迎してるってことだ。」
異世界の竜が俺を歓迎してくれている?
実感がなく、よく分からないが、両親を亡くし、職場で先輩達に虐められ、元の世界に居場所を見つけられなかった俺に、竜が「ここに居ていいんだよ」と言ってくれてるようで心が暖かくなった。
「そうか。歓迎してくれてるのか…。
会ってみたいな……。」
ついつい呟いてしまう。
「今度一緒に会いに行こうか?」
「え?いいの?」
あ、興奮してついつい敬語が外れてしまった。
アレンさんは、優しい笑顔で「もちろんさ。」と言ってくれた。
「ちょうど竜の頼み事を聞いて報告に行かないといけないからな。」
そう付け足した。
「頼み事?」
「あぁ、そうだ。
トオル、口調が砕けてきたな。
そのままで頼む。」
「え?はい……あ、うん、わかったよ。」
俺が了承すると今までで1番いい笑顔で微笑んでくれた。
気はずかしくて話を戻す。
「あ、じゃあ、アレンは、竜に会ったことあるんだよね?」
「あぁ、あるぞ?」
「どんな感じだった?
やっぱ神々しいの?
おっきい?」
俺の質問を聞いてアレンさんが爆笑する。
え?なんで?変なこと言った?
「あいつが神々しい?
そんなことないぞ? クスクス
まぁ、確かにデカいがあいつはただのめんどくさがり屋だよ。」
「あいつって……アレンは竜と仲良いんだね。」
頼み事をされるくらいなのだから仲は良いのだろう。
「まぁな。」
「じゃあ、ドラゴンは?会ったことある?」
今度は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「2回出会ったことがある。
出来ればもう二度と会いたくないな。
凄く邪悪な魔物だった。
村や街がいくつも被害にあってな……」
あまり思い出したくないことを聞いてしまったみたいで反省する。
「……ごめん。」
「いや、気にしなくていい。
もう過去の話だ。」
俺を慰めるように頭を優しく撫でてくれる。
本当は2回もそんな化け物に出会ってしまったアレンさんのほうが辛い筈なのに……。
大きな手の温もりを感じながらアレンさんが生きていてくれてよかったと心から思った。
ドラゴンは、魔物で人を襲うし街を破壊する危険な奴らだ。
竜は、知能が高く人間よりも遥かに高位の存在で人間を守ってくれることもある。」
「そうなんですか?
じゃあ、竜は、神様みたいなものなんですね。」
「あぁ、そうだな。
だが、神はほとんど人間の前には姿を見せないから見たことある人は居ない。
しかし、竜は資格があるものには見えるんだ。だから、姿の見えない神よりも竜の方が崇められてるな。」
「あぁ、そりゃそうですよね。
居るかどうかわからない神様よりも実際に居て守ってくれてる竜のほうが信仰の対象にしやすいですもんね。」
人が現金な生き物なのはどこの世界でも変わらない様だ。
「少し話が脱線したな。
話を戻すが、あの樹は竜が特殊な結界を張っていて普通は見えないんだ。
つまりあの樹が見えるのは……」
「あ、竜に会う資格があるってことか……
でも、なんで俺にも見えるんでしょう?
この世界の人間じゃないのに……?」
「さぁな。資格を持つ者の基準がよくわからないんだ。
ただ、1つわかったのは竜はトオルを歓迎してるってことだ。」
異世界の竜が俺を歓迎してくれている?
実感がなく、よく分からないが、両親を亡くし、職場で先輩達に虐められ、元の世界に居場所を見つけられなかった俺に、竜が「ここに居ていいんだよ」と言ってくれてるようで心が暖かくなった。
「そうか。歓迎してくれてるのか…。
会ってみたいな……。」
ついつい呟いてしまう。
「今度一緒に会いに行こうか?」
「え?いいの?」
あ、興奮してついつい敬語が外れてしまった。
アレンさんは、優しい笑顔で「もちろんさ。」と言ってくれた。
「ちょうど竜の頼み事を聞いて報告に行かないといけないからな。」
そう付け足した。
「頼み事?」
「あぁ、そうだ。
トオル、口調が砕けてきたな。
そのままで頼む。」
「え?はい……あ、うん、わかったよ。」
俺が了承すると今までで1番いい笑顔で微笑んでくれた。
気はずかしくて話を戻す。
「あ、じゃあ、アレンは、竜に会ったことあるんだよね?」
「あぁ、あるぞ?」
「どんな感じだった?
やっぱ神々しいの?
おっきい?」
俺の質問を聞いてアレンさんが爆笑する。
え?なんで?変なこと言った?
「あいつが神々しい?
そんなことないぞ? クスクス
まぁ、確かにデカいがあいつはただのめんどくさがり屋だよ。」
「あいつって……アレンは竜と仲良いんだね。」
頼み事をされるくらいなのだから仲は良いのだろう。
「まぁな。」
「じゃあ、ドラゴンは?会ったことある?」
今度は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「2回出会ったことがある。
出来ればもう二度と会いたくないな。
凄く邪悪な魔物だった。
村や街がいくつも被害にあってな……」
あまり思い出したくないことを聞いてしまったみたいで反省する。
「……ごめん。」
「いや、気にしなくていい。
もう過去の話だ。」
俺を慰めるように頭を優しく撫でてくれる。
本当は2回もそんな化け物に出会ってしまったアレンさんのほうが辛い筈なのに……。
大きな手の温もりを感じながらアレンさんが生きていてくれてよかったと心から思った。
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