【R18】変態に好かれました

Nuit Blanche

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変態に試練です

気まずすぎて死にそうです

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 どうして、こうなるの?
 私が一体、何をした?
 変態に好かれて、変態に犯されて、その変態のせいでトラブルに巻き込まれて、散々じゃない?
 昨日、竜也君だけを悪者にしないって決めたのに、もう心が揺らぐ。超グラグラ……欠陥建築的な。耐震性ゼロかも。

 また萌花ちゃんが強烈アタックを決めに来るまでは想定できた。
 できたけど……もらい事故までは考えてなかった。
 物事は常に悪い方向に考えるタイプだけど、やっぱり巻き込まれたくないって思うじゃん?
 自分で何とかするって言ってたけど、何とかできてないよね? 火の粉降りかかりまくりだよね? 火だるま確定だよね? 天馬君なんか竜也君を囲んでキャンプファイヤーするつもりくらいの見放し加減なのは気のせいじゃないよね?

「何で、こうなるのよ?」
「浅見の顔が怖い」

 お弁当食べる由真ちゃんは不機嫌。向井君に笑われて睨み付ける目が怖い。だけど、無理もない。
 向井君と上野君の動きが何かもう示し合わせてたんじゃないかってくらいの感じ。
 いつもはチャイムが鳴ると教室を飛び出していく上野君が今日は出て行かなくて、代わりに竜也君が行ったみたいだった。行かされてたって言うべき?
 それでも、私達は気にせず、二人で食べるはずだったのに、手を洗いに行って戻った時に萌花ちゃんに遭遇して、探りを入れられるし、私の席には向井君と上野君がいるし……
 戻ってきた竜也君は購買で上野君のお弁当買うのが罰ゲームだったみたいでちょっと不機嫌だった。元々人の多いところ苦手みたいだし、擬態中とは言っても辛かったんじゃないだろうか……

 結局、昨日だけのはずが今日も気まずいランチになってしまった。萌花ちゃんと竜也君付きで。
 でも、この配置ひどくない? 私に対するいじめなの? 由真ちゃん助けて! ヘルプミー!
 じりじりライフが削られてく……毒ダメージが……

「今日もロリっ子とご飯だ! しかも、二人に増えた!」

 私の左隣に上機嫌な上野君、その向かいにはちょっと不機嫌そうな萌花ちゃん。
 由真ちゃんだって、今度がこんなにすぐ来るとは思ってなかったはず。

「自分は違うみたいな顔しておいて、結局キョーダイ揃ってロリコンかよ?」

 時計回りに紹介していくと、萌花ちゃんの隣にこれまた不機嫌な竜也君。私の正面で人を殺せそうなオーラが出ている。でも、上野君は全く怖がってない。ヘラヘラ笑ってる。

「やっぱり俺にもロリコンの血が流れてたみたいでぇ、リンリンいじめてたら目覚めちゃったみたい?」
「凛鈴と後輩を毒牙にかけないでくれる?」

 不機嫌な竜也君の隣に不機嫌な由真ちゃん、一列不機嫌の連鎖が起きてる。
 リンリンとか呼ばれるとどこかの誰かさんとのファーストコンタクト思い出しちゃうからやめていただきたいのに、上野君はロリっ子と言う代わりにそう呼ぶことに決めたらしい。勝手に。
 その目の前にいるどこかの誰かさんには双子の兄弟じゃないかと思うくらい完璧に無視されてるのがちょっと寂しいような気もするけど、めちゃくちゃ気まずい。
 何でこんな配置になったかと言えば、上野君と萌花ちゃんの希望を通して、私と由真ちゃんの希望を完全無視した結果。

「その大事な後輩ちゃんは竜也の毒牙にかかりたいんじゃない?」
「そうね。一応、言ってみただけ。私は凛鈴さえ守れればいいもの」

 由真ちゃん……!
 由真ちゃんの愛に感動するけど、抱きつきたくても今は物凄く遠い気がする。
 由真ちゃんと楽しくお昼を食べた日々さえ遠い昔の出来事のように感じる。それくらい今日のお昼は時間が長く感じる。死にそう。

「浅見って、お姉さんって言うか、もうお母さんじゃない?」
「何とでも言いなさいよ」

 由真ちゃん、格好いい!
 本当は舌打ちしたい気分なんだろうけど、毅然としてて格好いい。

「二人っきりでって約束したのにぃ」

 私が三方をお関わりになりたくないトリオに取り囲まれて何も言えないのに、萌花ちゃんが相変わらずのアニメ声で不満を漏らした。
 って言うか、萌花ちゃん近い。椅子をぴったり竜也君の隣につけてる。竜也君逃げたくても隣由真ちゃんだし、逃げさせてもらえない。両手に花とは言い難い状況。

「してねーから」

 萌花ちゃんの方を見もせずに言い放つ竜也君は誰がどう見ても超不機嫌で近付きたくないのに正面にいるし、萌花ちゃんが勇者に思える。
 学校での竜也君ってこんな感じだっけ。学校では話すことがなくても、よく話し声は聞こえてくるけど、こっちのモードじゃない時の竜也君が私の中での竜也君になってるからちょっと不思議。

「竜也先輩はツンデレですよねぇ」

 この空気で本人に言えるとか勇者すぎる……今日はフリフリ装備してないのに強い。私はお姉様が買ってくれた勝負服を装備してもかえって弱体化するくらいなのに。
 でも、竜也君はどちらかと言えばヤンデレだと思う。今の竜也君を見てると嘘みたいに感じるけど、大分病んでる。情緒不安定の地雷魔。テロリスト。

「昨日だって、放課後デートしたくせにー」
「聞いてくださいよ。竜也先輩、ひどいんですよぉ。女の人の車に乗っていなくなっちゃうんですもん。萌花と約束したのに」

 上野君が茶化せば萌花ちゃんが頬を膨らませた。アウェーでこれだけはっきり自己主張できるって凄いと思う。私には絶対無理な芸当。でも、今萌花ちゃんがしてることは褒められたことじゃない。

「だから、してねーから」
「あー、女社長的な? まだ続いてんの?」
「竜也のパトロンでしょ?」

 昨日、竜也君がコロッケに嫉妬したせいで本人の口から聞きそびれたけど、あの後お姉様から連絡があって竜也君の救出に向かわされたってことを聞いた。
 噂で竜也君の恋人っていうことになってる年上のゴージャス美女は実姉だったという話らしい。何か凄く納得した。
 お姉様まで巻き込んだのは心苦しいけど、ショッピングに付き合ったら許してくれるらしい。お母様のお店で私が着せ替え人形になるやつ。嫌じゃないし、それでまた買ってもらっちゃったりするのが申し訳ないけど、凄く楽しそうに選んでくれるし、要らないって言うと悲しそうな顔されて結局断れない。すぐに影本家で生活を始められそうなくらいに揃いつつあるのが怖い。

「私達を巻き込まないで。あんた達とご飯食べたいって子達を日替わりでお相手して差し上げたら?」
「だって、浅見達なら絶対に勘違いする心配なさそうだし、後輩ちゃんを守るためなんだって」

 由真ちゃんはきっぱりと言うけど、向井君は笑ってる。
 確かに私達は彼らから好意を持たれてるから誘われたなんて思ったりしない。由真ちゃんは凄く嫌がってるし。
 竜也君は女の子関係で結構酷い目に遭ってきてるみたいだし、二人も何か苦労があるのかもしれないけど、私達には関係ないと言いたい。
 竜也君達のファンの間では暗黙の了解とかあるみたいだけど、それを破ったのは私と由真ちゃんじゃなくて萌花ちゃん。萌花ちゃんは竜也君の秘密を守る約束も破ってる。それでも向井君にとってはオタク部の先輩の監督不行き届きで連帯責任なのかも。

「だからって凛鈴がいじめられたら、どうしてくれんのよ?」
「凛鈴ちゃんのことは浅見が守るでしょ?」

 由真ちゃんと向井君の睨み合いが怖い。私のために睨み合わないで、なんて言えない。
 由真ちゃんは嫌なことはっきり言えるし、態度に出てるけど、私は違う。だからこそ、余計に文句を言いやすいのかもしれない。由真ちゃんに言えないことも私になら言い易いはず。良くないことだから、全然嬉しくないけど。

「だいじょーぶだいじょーぶ。リンリンのことは俺が守ったげる」

 いきなり肩を抱き寄せられて何事かと思ったら上野君がニカッと笑った。全然頼もしく感じないし、嬉しくもない。怖いからやめてほしい。

「陽介は凛鈴ちゃんに彼氏がいること忘れてない?」

 向井君が溜息を吐いた。私も溜息を吐きたい。そして、泣きたい。
 ぱっと手が離れてくれたけど、その話を今この場でしないでほしかった。その彼氏(自称)ご本人様の目の前で。

「えっ、彼氏持ち? マジで? そいつ、ロリコン? ってか、どんなやつ? 俺、知ってる?」
「聞いてなかったんだ……」

 私に彼氏がいるという話はクラスで結構な事件扱いされてたけど、上野君、人の話聞いてないって話本当だったんだ……私に興味がないってことなら、それはそれでいいんだけど。
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