徒然 物語

1

愛のない結婚

2022/3/6




　私は今はもうなき実家にいた。
　そして、私は誰かから紹介された名も知らない男性と結婚をさせられることになっていた。

　両親は浮き足立っているが、私の心は沈んでいた。
　式は翌日。

　母はお金の計算を、父は私のことなど目もくれず、私のドレス姿(外見)がどれだけ煌びやかなものであるかを、自慢げに見知らぬ誰かに語っている。

　目を伏せながら、私が何に想いを寄せているのか誰も知らない。
　まるで道具のようだと、そう思った。


　しかし、この結婚を最終的に了承したのは私だ。

　私には好きな人がいたが、その人と結婚をする為にはいくつもの壁があった。(夢の中の話)

　愛する人と結婚できないのならば、愛のない結婚をして、もう二度と愛する人と会わなければいい。

　私は子供が好きだから、結婚すれば必ず子供を産むだろう。
　そして、もし子供が生まれたあと、愛する人と再会するような事があれば、きっと私の心は大きく揺らいでしまう。

　私は罪のない子供を苦しませたくはないから、だからもう二度と、死ぬまで愛する人とは会わないことを決心し、そして、私は愛のない結婚をすることを選んだ。


　そして私は結婚式の前に、一人でショーに行くつもりだった。
　何故か必死だった。
　しかしその時間に間に合わず、母と大喧嘩をし、結局行くことは叶わなかった。


　周りのテンションと反比例するように沈んでいく心。

　一緒に過ごしていけば情も生まれるだろうか。
　でも唯一自分で選ぶことの出来る家族に好きな人を選ばなかったことを後悔しないといえばそれは嘘になる。
　生涯後悔しながら生きていくのだろうか。

　このまま見知らぬ誰かと結婚をするくらいなら、道具にされるくらいなら、一生孤独に生きればよかった。

　そう思いながら私は式を待った。