3 / 12
3
しおりを挟む
絶望の中の希望と言えば木が落下をかんわし、エミィがまたしても無事であったと言うことだろうか。しかし、無傷で済むわけもなくエミィの身体には至るところに打撲傷や木に当たったときについただろう擦り傷があり、頭にも痛々しい包帯まで追加されている。
また同じことをしでかさないように部屋は一階へと移動したり、自殺に使えそうなものは撤去したりとエミィが再び目覚めるまでの間も暇ではなかった。
エミィが生きているというだけで俺は神に感謝すべきで、次はないという気持ちで神経を尖らせて家具すらも危険性はないかと何度も確認した。例えエミィに愛どころかどうでもいいと見放されたとしても、生きている限りはチャンスはある。これ以上の絶望はないのだからこれを希望に変えれば…………なんて思っていたのに。
再びエミィが目を覚ました時もはや俺だけが声のひとつも届かないなんて誰が思うだろうか?
「エミィよかった………!医師を呼べ!ああっエミィ!俺はまた君に信じてもらえるように頑張るからだから………っ」
目覚めた時、エミィの手を握り必死に訴える最中、エミィはぼーっとしてるかと思えば俺の手を軽く振り払い手をじっと見つめてはきょろきょろと首を動かす様子を見せた。その様子はまるで俺の存在を認識していないとばかりに何かいるのかと探すような仕草。
「え、エミィ………?」
飛び降りる前は反応していてくれた声にすら反応してもらえない。まさか耳も、目も見えなくなったのか?そう思っていたところにエミィの専属医師が慌てた様子で現れる。
「皇后様お目覚めで何よりです!」
「…………」
エミィは医師の言葉に反応してそちらに顔を向けた。じっと黙って俺とエミィの様子を見ていた使用人たちすらもまさかと動揺を見せる中、俺は信じたくない気持ちで再び声をかける。
「エミィ……俺の声、聞こえているよな?顔見えてるんだよな……?ああっ怒ってるんだな?そうだよな?」
「陛下、まさか……」
「………?」
医師がこちらを向くと何を見てるの?とばかりに首を傾げるエミィ。明らかにエミィは俺を認識していない。俺だけを。
「エミィ……!頼む、俺を見てくれ!」
「!?」
「陛下!落ち着いてください!」
頼むからとエミィの肩を掴むも、エミィは急に何がと驚くだけでその虚ろな目は明らかにさ迷っていた。何が起きてるのかと。
医師や使用人たちはそんな俺をエミィから引き離し、エミィに俺が見えていないと認るしかない状況に、俺はエミィから引き離されたと同時に崩れ落ちた。今までにない絶望感と共に。
「陛下、今から皇后様を診察いたします」
「………ああ」
医師の言葉に返事をして俺は失礼しますと言って俺に肩を貸してくれる使用人らの力を借りて自らの部屋に戻るのだった。現実を今一度落ち着いて理解するために。
ー作者コメントー
実は私今日誕生日です。なので、私の誕生日パワーで今年最後の年がよいお年になるように願います。
そしてまた来年も荷居人(にいと)をよろしくお願いします。
また同じことをしでかさないように部屋は一階へと移動したり、自殺に使えそうなものは撤去したりとエミィが再び目覚めるまでの間も暇ではなかった。
エミィが生きているというだけで俺は神に感謝すべきで、次はないという気持ちで神経を尖らせて家具すらも危険性はないかと何度も確認した。例えエミィに愛どころかどうでもいいと見放されたとしても、生きている限りはチャンスはある。これ以上の絶望はないのだからこれを希望に変えれば…………なんて思っていたのに。
再びエミィが目を覚ました時もはや俺だけが声のひとつも届かないなんて誰が思うだろうか?
「エミィよかった………!医師を呼べ!ああっエミィ!俺はまた君に信じてもらえるように頑張るからだから………っ」
目覚めた時、エミィの手を握り必死に訴える最中、エミィはぼーっとしてるかと思えば俺の手を軽く振り払い手をじっと見つめてはきょろきょろと首を動かす様子を見せた。その様子はまるで俺の存在を認識していないとばかりに何かいるのかと探すような仕草。
「え、エミィ………?」
飛び降りる前は反応していてくれた声にすら反応してもらえない。まさか耳も、目も見えなくなったのか?そう思っていたところにエミィの専属医師が慌てた様子で現れる。
「皇后様お目覚めで何よりです!」
「…………」
エミィは医師の言葉に反応してそちらに顔を向けた。じっと黙って俺とエミィの様子を見ていた使用人たちすらもまさかと動揺を見せる中、俺は信じたくない気持ちで再び声をかける。
「エミィ……俺の声、聞こえているよな?顔見えてるんだよな……?ああっ怒ってるんだな?そうだよな?」
「陛下、まさか……」
「………?」
医師がこちらを向くと何を見てるの?とばかりに首を傾げるエミィ。明らかにエミィは俺を認識していない。俺だけを。
「エミィ……!頼む、俺を見てくれ!」
「!?」
「陛下!落ち着いてください!」
頼むからとエミィの肩を掴むも、エミィは急に何がと驚くだけでその虚ろな目は明らかにさ迷っていた。何が起きてるのかと。
医師や使用人たちはそんな俺をエミィから引き離し、エミィに俺が見えていないと認るしかない状況に、俺はエミィから引き離されたと同時に崩れ落ちた。今までにない絶望感と共に。
「陛下、今から皇后様を診察いたします」
「………ああ」
医師の言葉に返事をして俺は失礼しますと言って俺に肩を貸してくれる使用人らの力を借りて自らの部屋に戻るのだった。現実を今一度落ち着いて理解するために。
ー作者コメントー
実は私今日誕生日です。なので、私の誕生日パワーで今年最後の年がよいお年になるように願います。
そしてまた来年も荷居人(にいと)をよろしくお願いします。
12
あなたにおすすめの小説
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
身代わりーダイヤモンドのように
Rj
恋愛
恋人のライアンには想い人がいる。その想い人に似ているから私を恋人にした。身代わりは本物にはなれない。
恋人のミッシェルが身代わりではいられないと自分のもとを去っていった。彼女の心に好きという言葉がとどかない。
お互い好きあっていたが破れた恋の話。
一話完結でしたが二話を加え全三話になりました。(6/24変更)
【完結】旦那に愛人がいると知ってから
よどら文鳥
恋愛
私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。
だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。
それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。
だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。
「……あの女、誰……!?」
この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。
だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。
※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる