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3章
アカノ家の赤の拘り
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「すごい・・・」
俺が詰まらず言えるくらいにアカノ家の家は赤く、庭すらも赤い。今更だけど、狩人なのに赤すぎるアーカくんはこの俺合わせた四人に限らず誰よりも目立ちすぎているけど、ここなら逆に目立たなくなるほどに。寧ろ俺や神様、ギルドのお兄さんの方が目立つ。というより、目立たないのアーカくんみたいに赤で埋めつくされた人だけだ。
「アカノ家は赤に拘る一族で、庭さえも赤にしたいがために、植物さえも赤になるよう独自の品種改良までしているんです。」
「拘りがすごいね・・・」
さすがの神様も呆れているのがわかる。
「まあ、まだマシな方ですがね」
これでマシとは一体・・・。
「カミサマ、ユージン、どうかしたか?お兄様まで立ち止まって」
「神様、いこ」
「そうだね。なんかもうだいたい想像できる」
アーカくんに案内されてようやく赤い家を入れば、俺と神様の想像以上の赤さに絶句した。
『おかえりなさいませ、ご子息様、お客人殿』
「やりすぎですよね?」
「・・・神を驚かせるとは中々だね」
「赤しかない」
家の中は想像通り赤しかないのでまだ想像通りだが、驚いたのは使用人。使用人は全員赤の髪、赤のメイド服、赤の執事服、赤い靴、なんなら赤い目に赤い肌だった。不気味すぎる。
「赤いファンデーションを使用してまして、これもアカノ家独自です。肌にもいいんですよ。赤い目や赤い髪は変身魔法ですね。これを使えずしてアカノ家はどんな優秀でも認めないんです。アカノ家なら使用人も赤く!これが教訓で」
その教訓作った人、それ必要だった?ギルドのお兄さんは苦笑い。縁切った割りには落ち着いている気がする。今更だけど。ってあれ?
「アカン様お帰りに・・・っお二人でお帰りになられるとはっ」
「それについにアーカ様がお友だちを・・・!」
「アーカ様!お祝いはアカノ家の使用人誰もがはりきっておられます故ご心配なく!」
「あ、ありがとう・・・」
アーカくん、使用人相手にたじたじだ。でも、慕われてるのがわかる。使用人の人たちアーカくんのために全員泣いている。化粧大丈夫なのかな?
それよりもアカン様って・・・
「おに、さん・・・アカン、様?」
「アカノ家は必ず名前にアカをつけたがるようで、アカンらしいのだけど、名前が嫌すぎて縁を切ったんです。できれば名前は呼ばないでください。」
え、そんな理由?ギルドの受け付けに憧れて跡継ぎが嫌だったとかでなく?
「アカーン!やっと帰ってきてくれたのですね!」
「アーカ!ご友人よくぞ来てくれた!」
「父上、母上!」
今だ玄関先から動いていない俺たちの前に今だ泣いている使用人たちの間から飛び出てきた40代前後だろう女性と男性が現れたけど、どうやら、アーカくんとお兄さんの両親みたいだ。
「お久しぶりです。アカノご当主様、奥様」
「アカン、いくら成人で勝手に縁を切るにしても名前が気に食わないはないでしょう?お堅い言葉はなしですよ。それに、縁を切っても息子、使用人たちも歓迎しますからいつでも来ていいんですよ!」
「お断りします。今日ばかりはアーカの初の友達パーティですから元兄として祝ってあげたいので来ただけです」
「相変わらずアーカ贔屓ですね。可愛いのはわかりますが・・・縁を再び繋げれば、この年のアーカアルバムをあげてもいいのですよ?」
「・・・アーカ様の写真ならいくらでもありますから」
「最近アーカはあなたがいないのが寂しくて昨年誕生日祝いにもらったぬいぐるみを抱き締めて寝ている写真があるけれど、いりません?今ならアカンが撮れるはずもない幼少期の着ぐるみの寝巻き姿の写真もありますよ?」
「僕の送ったぬいぐるみを?それはほし・・・んんっよ、幼少期の着ぐるみの寝巻き写真は知りません!アーカ様の幼少期の写真は縁を切り出ていった際すべて持ち出しましたが。嘘は通用しませんよ」
「母を舐めてもらっては困ります。アカンがあまりにもアーカばかりに構いますから、親としては元々寂しかったのです。その寂しさを解消するための交渉材料としていくつかあなたには渡してない秘蔵がありますの。七五三にドレスを着たがって着た写真もありましてよ」
「く・・・・っ」
「もう、やめてくれ・・・・っ」
この二人の世界に使用人の赤さに負けないくらい顔の赤いアーカくん。うん、仕方ないと思う。
「ブラコンというやつか・・・」
「?」
「ユージンは気にしなくていいよ」
「うん」
「アカネ、アカンの説得は後だ!まずは挨拶だろう」
「あら、いけません。ご挨拶遅れました、アカノ・アカネです。」
「私はこの家の当主アカノ・アカシです。食事ができてますので、皆様についてはそちらで」
貴族に先に自己紹介されてしまったけど、マナー的に大丈夫なんだろうか?でもご当主様すごくそわそわしてるのが見てとれる。何かを我慢してる様子も・・・
取り合えずアーカくんの家も使用人も家族も赤いこと、名前も赤で、家族仲にしても使用人たちの仲にしてもかなり仲のいい関係なのがわかる。
赤に拘りすぎる点はともかく、アーカくんは友達ができなくても、その他の周囲の支えがあってこそ頑張ってこれたのがわかる。なんか羨ましいな。
「家族がほしかった?」
「神様がいればいい」
すんなりと言葉が出た。うん、今のに嘘はない。だって俺は今で十分幸せだから。
俺が詰まらず言えるくらいにアカノ家の家は赤く、庭すらも赤い。今更だけど、狩人なのに赤すぎるアーカくんはこの俺合わせた四人に限らず誰よりも目立ちすぎているけど、ここなら逆に目立たなくなるほどに。寧ろ俺や神様、ギルドのお兄さんの方が目立つ。というより、目立たないのアーカくんみたいに赤で埋めつくされた人だけだ。
「アカノ家は赤に拘る一族で、庭さえも赤にしたいがために、植物さえも赤になるよう独自の品種改良までしているんです。」
「拘りがすごいね・・・」
さすがの神様も呆れているのがわかる。
「まあ、まだマシな方ですがね」
これでマシとは一体・・・。
「カミサマ、ユージン、どうかしたか?お兄様まで立ち止まって」
「神様、いこ」
「そうだね。なんかもうだいたい想像できる」
アーカくんに案内されてようやく赤い家を入れば、俺と神様の想像以上の赤さに絶句した。
『おかえりなさいませ、ご子息様、お客人殿』
「やりすぎですよね?」
「・・・神を驚かせるとは中々だね」
「赤しかない」
家の中は想像通り赤しかないのでまだ想像通りだが、驚いたのは使用人。使用人は全員赤の髪、赤のメイド服、赤の執事服、赤い靴、なんなら赤い目に赤い肌だった。不気味すぎる。
「赤いファンデーションを使用してまして、これもアカノ家独自です。肌にもいいんですよ。赤い目や赤い髪は変身魔法ですね。これを使えずしてアカノ家はどんな優秀でも認めないんです。アカノ家なら使用人も赤く!これが教訓で」
その教訓作った人、それ必要だった?ギルドのお兄さんは苦笑い。縁切った割りには落ち着いている気がする。今更だけど。ってあれ?
「アカン様お帰りに・・・っお二人でお帰りになられるとはっ」
「それについにアーカ様がお友だちを・・・!」
「アーカ様!お祝いはアカノ家の使用人誰もがはりきっておられます故ご心配なく!」
「あ、ありがとう・・・」
アーカくん、使用人相手にたじたじだ。でも、慕われてるのがわかる。使用人の人たちアーカくんのために全員泣いている。化粧大丈夫なのかな?
それよりもアカン様って・・・
「おに、さん・・・アカン、様?」
「アカノ家は必ず名前にアカをつけたがるようで、アカンらしいのだけど、名前が嫌すぎて縁を切ったんです。できれば名前は呼ばないでください。」
え、そんな理由?ギルドの受け付けに憧れて跡継ぎが嫌だったとかでなく?
「アカーン!やっと帰ってきてくれたのですね!」
「アーカ!ご友人よくぞ来てくれた!」
「父上、母上!」
今だ玄関先から動いていない俺たちの前に今だ泣いている使用人たちの間から飛び出てきた40代前後だろう女性と男性が現れたけど、どうやら、アーカくんとお兄さんの両親みたいだ。
「お久しぶりです。アカノご当主様、奥様」
「アカン、いくら成人で勝手に縁を切るにしても名前が気に食わないはないでしょう?お堅い言葉はなしですよ。それに、縁を切っても息子、使用人たちも歓迎しますからいつでも来ていいんですよ!」
「お断りします。今日ばかりはアーカの初の友達パーティですから元兄として祝ってあげたいので来ただけです」
「相変わらずアーカ贔屓ですね。可愛いのはわかりますが・・・縁を再び繋げれば、この年のアーカアルバムをあげてもいいのですよ?」
「・・・アーカ様の写真ならいくらでもありますから」
「最近アーカはあなたがいないのが寂しくて昨年誕生日祝いにもらったぬいぐるみを抱き締めて寝ている写真があるけれど、いりません?今ならアカンが撮れるはずもない幼少期の着ぐるみの寝巻き姿の写真もありますよ?」
「僕の送ったぬいぐるみを?それはほし・・・んんっよ、幼少期の着ぐるみの寝巻き写真は知りません!アーカ様の幼少期の写真は縁を切り出ていった際すべて持ち出しましたが。嘘は通用しませんよ」
「母を舐めてもらっては困ります。アカンがあまりにもアーカばかりに構いますから、親としては元々寂しかったのです。その寂しさを解消するための交渉材料としていくつかあなたには渡してない秘蔵がありますの。七五三にドレスを着たがって着た写真もありましてよ」
「く・・・・っ」
「もう、やめてくれ・・・・っ」
この二人の世界に使用人の赤さに負けないくらい顔の赤いアーカくん。うん、仕方ないと思う。
「ブラコンというやつか・・・」
「?」
「ユージンは気にしなくていいよ」
「うん」
「アカネ、アカンの説得は後だ!まずは挨拶だろう」
「あら、いけません。ご挨拶遅れました、アカノ・アカネです。」
「私はこの家の当主アカノ・アカシです。食事ができてますので、皆様についてはそちらで」
貴族に先に自己紹介されてしまったけど、マナー的に大丈夫なんだろうか?でもご当主様すごくそわそわしてるのが見てとれる。何かを我慢してる様子も・・・
取り合えずアーカくんの家も使用人も家族も赤いこと、名前も赤で、家族仲にしても使用人たちの仲にしてもかなり仲のいい関係なのがわかる。
赤に拘りすぎる点はともかく、アーカくんは友達ができなくても、その他の周囲の支えがあってこそ頑張ってこれたのがわかる。なんか羨ましいな。
「家族がほしかった?」
「神様がいればいい」
すんなりと言葉が出た。うん、今のに嘘はない。だって俺は今で十分幸せだから。
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