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4章

嵐の幕開け

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「あ、えっと、僕も会いたかったよ、ユージン。だけど、一体何が・・・」

神様は状況が理解できず混乱しているみたいだ。戸惑いで怒っている様子はないけど、雷は今だに鳴り響いている。

「く・・・っまさか領域にひびが・・・」

規則の神は俺が神様を呼べた理由がわかったみたいだ。なるほど、神様の怒りのおかげのようだ。

「君は・・・規則の神だね。ユージン、何があったか記憶を覗かせてもらうよ」

「う、うん」

とりあえず状況を理解するためか、よくわからないままに頭に手を乗せられる。10秒ほどですぐ離れていく手。もう状況を理解したのだろうか。随分と早い。

神様は俺を拐った規則の神に怒るのだろうか?と思えば笑っていた。にやりとしてやったみたいなそんな表情。神様美形だから悪どいけどかっこいい。

「なるほど、ユージンを拐って僕を怒らせ、神の力の使いすぎで弱ったところをやる気だったんだね。そうでもしなきゃ僕は倒せないからね」

「・・・わかってて今だに怒りを止める気はないわけですか、全の神」

規則の神が震えているように思える。やっぱり神の頂点を目の前にすれば神とはいえ、神様が怖くて仕方ないのかな。

「もうね、無駄なんだよ。宝石は全て壊したからね」

「な・・・っ嘘です!全の神に報告し、1個目を破壊したことで、すぐ私はユージンを捕らえたのですから!」

「焦る理由1個目を破壊した後だったとは思わなかったんだね?」

「まさか・・・報告前にこの世界の神が消滅していると知っていたわけですか?」

「寧ろ、なぜ、神が消滅したとわかったのか疑問に思わなかったの?1個目の宝石が破壊されたことで、消滅と君たちがわかったからだ。」

「どういう・・・」

「この世界の神の力を少しずつ奪っていたんだよ、僕は。それこそ、消滅した瞬間まで気づかれないように。だからここの神は考えた。他の神に消滅と気づかせて、助けを求める方法を。結果、僕は宝石を破壊せざる終えない。それは神の一部が一瞬消滅して僕の力になるわけだから感じるわけだ。この世界の神が消えたことを。」

「でも確かに、宝石3個の力の確認はされて・・・それに今もまだひとつ・・・!?なぜ、全の神から・・・」

「それはこれのことかな?」

神様が王様にもらった時のと似た宝石を見せれば、規則の神が目を見開く。

「破壊したのでは・・・」

「うん、したよ?これは僕がここの神の力を使って作ったもの。だから吸収できるわけだ。他2個の宝石を破壊するまで、別の場所に移動させていたんだ。吸収する分にはどこにいてもできるしね?自分の力を分散させてるようなものだし、向こうから来る」

「なら、この雷は・・・!」

「雷だけでなく、自然災害と言われるものも全て引き起こし、生きるための戦争を始めさせるつもりさ。飢えを待つよりいいでしょ?でも、ユージンがいなくて、怒りで余計にひどくしちゃった。人間殺さないように理性を壊さないように必死だったよ」

「神が世界を崩壊するなんてあっていいはずが!」

「僕は思うんだ。なぜ、誰よりも力があるのに、下の者たちのために苦しまなきゃいけないのかって」

「神様・・・」

悪い欲を受け止めてきたことのことかな。

「ごめんね、ユージン。僕はユージンを殺したのはわざと。人間が嫌いで八つ当たりみたいなもの。君くらいならと思ったんだ。殺してさらに腹立っても望みを叶えないことには神の力は実行できないから」

きっと俺の欲も神様を苦しめていたんだね。何がよくて、何が悪い欲が何かわからないけど。

「でも、死ぬことで俺の一番の欲は満たされたよ。友達がほしいって欲が。いいのか悪いのかはわからないし、神様がなんでも叶えなきゃいけないから強制的な友達で神様は不本意かもしれない。でもこの世界に来てから神様の傍はあったかくて、神様が大事にしてくれることわかってるつもりだからすごく幸せなんだ」

「ユージン・・・ちゃんと話せるようにまで・・・。成長したね」

「神様のおかげだよ」

神様を想う気持ちが俺に自信を与えてくれている。大丈夫だって。

「僕は予想していたのとは違ったからついついしなくていいことまでして、ユージンが僕と友達になれたことを喜ぶ気持ちがとても伝わってきて、神を利用する気も捨てられなかったけど、純粋な気持ちであるのは僕だからこそわかった。でもその幸せで培う欲はこの世界の神に捧げられる。それが許せない」

「どういうこと?」

「いい欲というのは幸せの中で生み出された欲。それが我が儘な欲とはいえ、本人が幸せの中で生み出された欲ならいい欲なんだ。不幸続きの中で生み出された欲は悪い欲。ユージンは僕といることを幸せに感じてくれている。だからどんな欲でもいい欲となってこの世界の神の力になる。ユージンに悪い欲を作らせたくはない。幸せになってほしいから。でも、いい欲を他に与えたくもない。ユージンの全てを僕で包んでしまいたいから」

「そんなことのために・・・」

「君に何がわか・・・」

「そんなことじゃない!」

「ゆ、ユージン?」

「神様はずっとひとりで苦しんできたんだ!それこそ、俺が苦しかった日々なんて気にならないくらい長い年月で。神様にだって欲ができてもいいじゃないか!こうなりたくなかったんだったら、全の神様ひとりに悪い欲をいかせないよう、みんなで分担するなり、考えればよかったんだ!神様がたくさんいるならできたんじゃないの!?なんで、納得がいかない出来事だけに口出しするの!?それができるなら、もっと全の神様のために色々できたんじゃないの!」

「ユージン・・・」

「しかし、神が己の欲のために、人間の命を奪い尽くそうとしているのはやりすぎではないかな?」

「災害によって協力しあうんじゃなく、戦争して奪って自分達の欲を満たそうとする時点で、それはもう人間の決めたこと。神様のせいじゃない。」

「あくまで全の神の味方か。それを引き起こしたのは全の神というのに。」

「でも、神様が殺すわけじゃない。人間が全滅するとも思えない。どちらにしろ、神様の力で追い込むことはできても、俺たち二人だけの世界は難しくないかな」

「・・・いい欲はユージンのだけでいいからね」

「なるほど、人間が不幸になればそれでいいわけですか」

「でも我が儘を言うなら、アカノ家だけは助けてあげられないかななんて」

「ユージンが望むなら」

「ありがとう、神様」

「じゃあ、人々が未来に絶望して戦争をする前にアカノ家を救出しようか」

「うん」

「というわけで規則の神、もう手遅れだ。意味はわかるよね?」

「私たちでは止められませんね。他の神と相談しましょう。全の神に立ち向かう者なんて神ですら難しい話ですが」

「だろうね」

そう言って神様は俺を抱えてその場から消えた。
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