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第222話 来客

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 1時間後、俺は目を覚ます。

「ふわーあ、まだ眠いが、そうも言ってられんな」

 重い瞼を開き、渋々に俺は起床する。
 今日は問題の結婚式だ──。

 *

 ──エルフの国〝シルフディート〟王宮──

「よくお似合いですよ。フォルタニア様」

 エルフの侍女が、ウェディングドレス姿のフォルタニアを心から誉める。

「ありがとうございます」

 嘘はない。似合ってると言われるのも正直嬉しい。
 だが、あの男の為にめかし込んでると思うと複雑であった。

「フォルタニア様、女王様とヴォロン王子がお待ちです」
「はい、分かりました」

 コンコン、コンコン。

「失礼します。がフォルタニア様に結婚式前に一度、話をしたいと言って来ております。どうなさいますか?」
「はて、あの方とは?」

 *

 数分前。
 ──エルフの国〝シルフディート〟
           王宮・門前──

 そこにはある来客が来ていた。

 その見た目は、黒を主調としたたけの長いドレスローブを着た、妖艶な雰囲気を纏う、豊満な胸にモデルのようなスタイルの長い黒い髪の美女だ。

「──〝剣斎けんさい〟エルルカ・アーレヤスト様、ご到着いたしました!」

 ビシッと兵士一同がエルルカに向け、敬礼する。

「フォルタニアに会いたいの、会わせてもらえるかしら」
「ハッ、確認いたしますので少々お待ちを──」


 *

「〝剣斎けんさい〟──エルルカ・アーレヤスト様が!? 私にですか? それに一体何故エルルカ様がここに!?」
「私が呼んだのよ〝剣斎〟はこの国の恩人だから」

 すると、女王が部屋に入ってくる。

「お母様が」
「貴方、エルルカと面識があるの?」

「ええ〝大都市エルクステン〟で副ギルドマスターをしていた頃に少し」
「そう、ここに呼びなさい。私も同席するわ」

「ハッ、かしこまりました」

 兵士がエルルカを呼びに部屋を出ていく。

 *

 待つこと10分と少し、エルルカが部屋に現れる。

「お邪魔するわね」

「ごきげんよう、エルルカ」
「エルルカ様、ご無沙汰しております」

「貴方がシアナ女王の娘だなんて驚いたわ。そのうえ、まさか結婚だなんてね」
「……」

「貴方、納得してるの?」
「お母様が決めたことですから」

「そう、悔いが無いならいいわ」

 勿論、悔いならある。でも、どうしようもないじゃないかとフォルタニアは思う。
 だが、それ以上、エルルカは何も追求しなかった。

 だが、くんくん。くんくん。
 何故か、フォルタニアの匂いを嗅ぐ。

「あ、あの……」
「なるほどね、少し妬けるわね」

「い、一体何の話しでしょうか?」
「エルルカ、変な気は起こさないわよね?」

「それは私の自由よ。でも、まあ、私の出番は無さそうね」

 一瞬、場が凍りつく。

「結婚式、どうなるか見届けさせて貰うわ。それじゃあ、失礼するわね──」

 どこまでもマイペースなエルルカは、フォルタニアに軽く目配せをすると、その場を後にするのだった。
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