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第245話 剣斎vs屍2
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「女王様、報告します! 〝中央連合王国アルカディア〟からの援軍──見込めません! 現在〝六魔導士〟の半数が出払ってしまっているとのことです!」
アルタイルが相変わらず、頭を垂れながら話す。
表情は暗い。正直な所〝中央連合王国アルカディア〟からの援軍を当てにしていたのだ。
「……そう。本当なら〝六魔導士〟の〝仙極〟級が来て欲しかった所だけど、半数が出払ってるって事は天地が引っくり返っても無理ね」
〝中央連合王国アルカディア〟の王国魔導士団。
通称──〝六魔導士〟は、その半数である3人が必ず、国に駐在していなければならない決まりがある。
人類の中心である〝中央連合王国アルカディア〟が落ちれば、実質、人類の敗北を意味する。
故に、最低限の戦力は必ずいなければならない。
人類最高権力者である〝三王〟の一人である女王は、その規約がどれほど絶対なのかをよく知っていた。今回〝中央連合王国アルカディア〟からの援軍は見込めない。
時間が経てば援軍の希望はあるかも知れないが、残念ながら、この国には時間が無い──〝原始の黒〟が本気で暴れれば国は1時間と持たないだろう。
フォルタニアはユキマサを信じていたが、女王はユキマサがウルスラに勝てるとは思ってはいなかった。
*
「流石は〝六魔導士〟……一筋縄ではいきませんね。死死……」
血の溢れ出る左腕を押さえながらシリュウが笑う。
するとシリュウは懐から、栓の付いた瓶を取り出す──中身は〝魔力回復薬〟だ。
「死死、実は〝魔力枯渇〟気味でしてね。回復させてもらいますよ?」
ポンっと、栓を抜き、口に〝魔力回復薬〟を運ぶ動作をするシリュウ。
「あら? させるとでも?」
エルルカは斬りかかる。狙った場所は首だ。
燃える刀が容赦なく急所を突きにかかる。
……が、まるで、それを読んでいたかのように、ピンポイントな回し蹴りがエルルカの刀を弾く。
「燃える刀……いやはや熱いですね、死死死死……」
「!?」
攻撃を防がれた形になったエルルカに驚愕の表情が浮かぶ。
その隙にゆうゆうとシリュウは〝魔力回復薬〟を呷り回復を完了させる。
「完全に不覚ね、嫌になるわ」
──しまった。
と、珍しく悔し気に歯軋りするエルルカ。
「死死死死、さあ、第2ラウンドですよ」
シリュウは全身に強く魔力を纏う。凄まじい魔力量だ。魔力量だけなら優にエルルカをも凌ぐ量である。
雰囲気が変わる──今までの殺し屋のような落ち着いた殺意とは違い、野性味が増し、まるで肉食動物を彷彿とさせるような殺意と目をしている。
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