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第255話 黒vs黒3
しおりを挟む一瞬の出来事だった。
俺の頭上の上空に構えられていたウルスラの巨大な尻尾が魔力を強く纏い、急降下してくる。
尻尾での攻撃、文字にするとゲームとかの通常攻撃感が半端無いが、現実はそんな生易しい物では無い。
ヒュン────ドォォォォォォォン!!
爆撃や災害、そんな言葉がよく似合った。
実際、俺が立ってる場所を中心に辺りは潰れていた。木々はぺしゃんこに薙ぎ倒され、地面には円状の1km近い大きなクレーターが完成している。
俺はというと、瞬時に〝月夜〟を抜き、ウルスラの尻尾を受け止めている。
受け止めているのに──
この規模の被害だ。攻撃を避けて地面に直撃してたら、もう数倍のクレーターができてたろうな。
攻撃を受け止めた余波で辺りには爆風が舞う。その風に乗り、ウルスラの落雷でメラメラと燃えてた木々が更に別の木々へと燃え移る。
ウルスラは尻尾をまだ押してくる。
俺は剣でそれを押さえてる状態だから、軽く巨龍との力比べとなってしまう。
剣に魔力を強く込めると、俺は魔法を使う──
「──〝四篩・創天覇紋刃〟!!」
強い魔力を帯びた飛ぶ斬撃だ。数は四撃──半円・三日月を描きながらウルスラに向かい飛んでいく。
ザンッ!
そんな音を立て、俺に向けられていた巨大な尻尾から胴体にかけて、ウルスラに斬撃が浴びせられる。
「──GUGYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
ウルスラの咆哮、大気が、地面が震える。
しかも叫びながら落雷を落としてくる。質が悪い。
「流石に斬りきれねぇか」
真っ二つに斬るつもりで思いっきりいったが、そう上手くはいかなかった。
だが、目に見えるダメージはある。
つーか、あの落雷を何とかしねぇと。
あんな数と威力の落雷、マジで国が滅ぶ!
すると斬撃を受け、痛みで暴れたウルスラが無作為に放った、口からの吐く極炎魔法が〝シルフディート〟の集落の方角へと向かう。
(クソッ、炎とか雷とか何でも有りか、コイツ!?)
瞬時に俺は移動し、集落に当たりそうな極炎魔法を、円状の魔力障壁を自分の身体の周りに展開し、そのまま攻撃を魔力障壁で受け、集落を守る。
ウルスラ相手の攻撃を防ぐレベルの魔力障壁だ、それなりに魔力は消費する。これが続くようならジリ貧だぞ。
俺はウルスラの頭上に飛ぶ。
──が、バァン! と、上下に動かした頭で俺は弾かれる。
更に上空に飛ばされた俺は雲を突き抜ける。
黒雲の上は晴れ、まあ当たり前か。雲の上を飛行機で飛んだときと同じ景色だ。雲、黒雲だけど。
うおっと!
ウルスラの極炎魔法が下から飛んでくる。
あれ、そんなに連発できるのかよ!!
当てずっぽうか、そうでないのかは分からないが、結構いい狙いだったぞ?
そのまま俺は重力に引っ張られ、地面に近づいていくが、黒雲を抜けると──
──ウルスラの顔があった。ちょうど真横に。
流石に顔の横というのは予想外だった俺は、慌ててながら足に強く魔力を込める。
ある意味これも不意打ちだ。心なしか空から降ってきた俺にウルスラもビックリしているように見える。
時間の許す限界まで、足に魔力を貯める──
が、ウルスラが動く。スルリと頭を動かし、俺の下に潜り込む。つーか、また滝登りかよっ!?
だが、俺は足に魔力を貯めていた状態なので、強い反撃ができる体制だ。
迎え撃つ、俺もウルスラの方角へと突っ込む。
身体をくねらせ、下から登ってくるウルスラの頭部分に潜り込み、脳天を狙い──貯めていた、魔力をふんだんに込めた足蹴りをウルスラに命中させる。
──ズウゥゥン、ドバババババンッ!!
もろに足蹴りが入った、ウルスラが斜め下に勢いよく飛んでいく。
(!? あ、やべっ、あの方向って……)
ウルスラの落ちていく方向に青ざめるが、だが時既に遅し、俺は一足遅れウルスラを追うしかなかった。
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