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第370話 残業とニュースプテラ
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とは言え、帰るには少し早いので街で買い物をした。腹が空いてきたと言っていたシナノも何も言わず付いてくる。
「お、野菜が安いな、買ってくか?」
「巨大根、達磨キャベツ、杖ネギだね」
異世界独自だな本当に。普通の大根の倍はある巨大根、倒れても起き上がる達磨型の謎のキャベツ、ネギの青い部分が上に逆J字型になってる杖ネギ。
どれも安価で購入できた。産地直送だからか?
「野菜ですか? ユキマサさん、お肉はお肉は? もしかして狩りですか? 私もお付き合いしますよ」
「半分正解で半分外れだ。俺が前に狩った肉が〝アイテムストレージ〟に入ってる。それを使う」
「前っていつですか? 腐ってないでしょうね?」
「俺の〝アイテムストレージ〟はユニークスキルの〝異能〟の効果で〝アイテムストレージ〟に仕舞ってる食材は腐らねぇんだよ、腐敗とはおさらばさ」
まあ最初から腐ってるのはどうしようもないけど。
「お肉があるのは分かりましたけど。この人の結構チートじゃないですか? そう言えば昨日あの六魔導士の〝仙石〟の攻撃を普通に食らって平気でしたし」
「あはは、うん、ユキマサ君はチートだよ。私もシナノさんと同意見」
そういえば……と、目を細めるシナノと苦笑いで頷くクレハ。神様にも言われたなチートとは。
別にチートでもチーターでも何でもいいけど。
色んな物を買い、シナノの家に着いたのは夕暮れだった。太陽が沈んでく。気温も少し下がってきたな。
空にカラスがいて『夕焼けとカラス』で風流だなと思ったら、カラスじゃなくて朝に見たニュースプテラだったよ。夕刊の時間なのかね?
つーか、あいつら会社から給料もらってるのか?
「ニュースプテラを切なそうに眺めてる人は初めて見ます」
「あいつら、きっと、これから残業なんだろうな」
「まともな仕事があるのは幸せじゃないですか?」
沈黙。
そうか、シナノに取っては残業も幸せなんだな。
「すまん、シナノ。俺の配慮が足りなかった」
「? 別にいいですけど、あ、お二人、今日は泊まって行くんですか? お家、買いましたよね?」
「寧ろ、お前が泊まるか? 寝室3つあったし。今なら無料で泊まらせてやるぜ?」
「無料なら是非に泊まらせて貰いたいです!」
「ハハッ、決まりだな」
シナノの家の直ぐ側の開けた森の中に〝アイテムストレージ〟から家を取り出す。
「よし、入ろうぜ?」
「お邪魔します」
「お邪魔しまーす」
話しに聞いていた通り、清掃は行き届いていた。
これなら直ぐに住めそうだ。
ちなみに土足で入る家なのだが、そこが何となく日本人としては違和感が残った。まあ、慣れるか。
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