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第422話 銀雪祭13
しおりを挟む──銀雪祭の雪祭りは最高潮。
俺は出遅れたが食えや飲めや唄えや踊れの大盛り上がり。
屋台の盛り上がりも最高潮だ──人も狼も、歌って踊る無礼講の雪祭り。そりゃそんな状態じゃ食料も酒も売っても売っても足りやしねぇ。そんな所だろう。
あ、ツチノコ、売り切れてないよな!?
「──ユキマっさん、ツチノコの唐揚げ、他諸々買ってきたっスよ! 皆でパクつきやしょう!」
(うお、マジかッ!!)
「でかしたぞ! チャッチャラー」
しかも俺がまだ買えてなかった──ニンニク鳥のむしり、トマトファルシ、BLTサンド、カルドヴェルテ、雪キノコのパスタを買ってきてくれた。
うんうん、これで制覇できそうかな?
──うぉぉぉぉォォォォォォォォ──!!
会場から歓声が上がる。
俺がそちらを見ると銀狼の回りを、ハープやバグパイプ、フルートやサックスにメロディオン等の様々な楽器を抱えた音楽隊が列を成し歩いてくる。
演奏する種族も様々だ。〝人間族〟や〝エルフ〟以外にも、背中に大きな翼の生えた〝鳥人族〟猫耳の〝猫人族〟──他にもこの祭りには馴染みが深そうな灰と黒の狼の耳と尻尾を持つ〝狼人族〟──終いには楽器を吹くイメージのない〝吸血鬼〟までいたよ。
今すぐにでも踊り出してしまいたくなり、わくわくして、冒険に出たくなる、異世界チックな曲だ。今日初めて聞いたが俺はこの曲が好き──いや大好きだ!
ああ、テンションが上がるな、夢にまで見ていた退屈とは程遠い、異世界での大冒険が始まりそうな、そんな気分にしてくれる。音楽の力は偉大だ。
なんたって音を楽しむのが音楽なんだからな。
それが異世界で様々な種族が色んな楽器を持ち、ファンタジックな音色で祭りを盛り上げてくれてるんだ楽しいに決まってる。
それに実際、ここは異世界で俺が見たことも無い大冒険が広がっているんだ。
この世界には魔王やドラゴンに神様までいる。
(凄いと思わないか──?)
日本じゃ逆立ちしても会えやしない。そんな奴等が世界をうじゃうじゃしてるんだぜ?
(あー、こりゃ完全に祭りの空気にあてられたな)
「ユキマサ君、いい音楽だね。私、何だかまた楽しくなってきちゃった。何か無意識に踊り出しそう」
「同感だ。なんつーか、こう言葉じゃ言い表せない高揚感があるよな。俺も踊りだしちまいそうだ」
酒もいいかもな。
この場に親父がいたら絶対に飲んでたろう。
「ユキマっさん、クレハちゃん。もう少し近くに行きやしょう! きっともっと楽しっスよ!」
俺の手をチャッチャラーが引き、クレハの手をアリシアが引く。特にアリシアは近くで見たくてウズウズしてるみたいだ。まあ、無理もないか。
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