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第423話 銀雪祭14
しおりを挟む「凄いわ、生きててよかったぁ!」
アリシアとチャッチャラーは年甲斐もなくはしゃいでいる。無理もない、アリシアは7年も目が見えてなかったんだ。
この銀雪祭の見るもの全てが、宝石のように輝いて見えてることだろう。
まだ歩行の感覚が取り戻せなく足取りが何となくぎこちないアリシアに肩を貸すチャッチャラーは本当に笑顔だ。まるで自分の事のように喜んでいる。
「アリシアさんもチャッチャラーさんも楽しそうだね」
「そうだな。見てるこっちまで楽しくなっちまうよ」
俺とクレハは顔を見合わせるとふふっと笑った。
「私たちも行こ、近くで見たいな」
「おう、走るなよ。雪あるんだから転ぶぞ?」
手を引かれる俺は移動のそんな何気ない時間すらも凄く楽しく感じる。音楽隊の演奏のせいか更に気分が高揚してるしな。BGMは大事だよな。
(って、うん??)
あの黒髪の少女と言うか6.7歳の幼女は──
「おいクレハ、あれリナちゃんだよな?」
「え、どこ? あ、本当だ。可愛いね!」
もこもこの白コートに白いニット帽のリナちゃんが、音楽隊の最後に楽器も持たずに現れた。
トコトコと歩いていき、音楽隊とは別の狼の仮装隊(何故か1匹全身白タイツのイカが混ざってる)の所に行った。
危ない、危ないぞ! あそこには得たいの知れない全身白タイツの人間の胴体に首から上がイカの被り物という不信人物がいるんだ。リナちゃん、後ろォ!
と、思っていたら、突然リナちゃんdance!
手を大きく広げ、踊り始めた。イカと。
リナちゃんを引き立てるように舞うキレッキレのイカの踊りは、さながら雪の国の王子様──
神は何故、奴に躍りの才能を与えたんだ!?
狼仮装隊がリナちゃんとイカ王子を半円で囲むような位置に移動する。
「おい、クレハ、あのイカは何だ?」
「さ、さぁ? イカの妖精とかじゃない……?」
「ああ、イカの妖精か。なら納得だ」
「ごめんごめん。嘘、冗談! 疑う事を諦めないで」
考えるのを止め、奴をイカの妖精という認識で納得する俺をクレハが慌てて止める。
──がぷり。
少し先で起きた俺は目を疑う。
イカが銀狼に食われた。
比喩じゃない、あのイカメン──
雪の国の王子様が頭から、ぱっくりイカれたのだ。
「おい、イカが食われたぞッ!!」
いや、イカは食うもん何だけど。
俺は一体……何を言ってるんだ?
「待って、ユキマサ君、そういうお祭りなんだと思う」
「う、確かに。落ち着け、俺……」
(危うく、イカを助けに行くところだったぜ……)
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