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第430話 祭りの終わり
しおりを挟む祭りの帰り、チャッチャラーとアリシアはまた頭を下げてきたので俺は「いいよ、治ってよかったな。おめでとう」と返事をした。
だが、チャッチャラーは「俺はこのご恩を一生忘れません」とチャラ男口調も忘れて礼を言って来た。
クリスとリナちゃん、あとイカプリオにも一声かけると、イカプリオからは何故か「イカの幸あれ」と言う呪文と共にイカ焼きを6つ貰った。
あー、イカはもうお腹一杯なんだがな。
そうして俺とクレハは宿にへ戻る帰路に着く。
「ユキマサ君、どれだけ飲んだの?」
「えーと、木樽に14杯ぐらい」
「うわ、飲んだね。チャッチャラーさん10杯ぐらいでダウンだったね。まあ嬉しそうな顔してたけど」
「流石に少し酔ったかな」
ポワポワしてる。うん、酔うのも悪くないな。
ノアの時や今日みたいな楽しい酒なら大歓迎だ。
あーあ、こうやって飲んべえが生まれるのかね。
にしても、祭りの後だってのに、あまり寂しくないな。不思議な気分だ。なんでだろうな?
隣を歩くクレハを見ながら俺はそんな事を思った。
宿に着くと──
「あ、お二人さんお帰りなさい。お客さんで最後ですよ。これで扉閉めちゃいますね」
「悪いな、ラン。遅くなっちまって?」
「全然気にしないでください。まだ清掃とか明日の仕込みとか残ってるんで」
宿屋も大変だなあ。特に家族経営は人手が足りなくても人が集まりづらい。バイトも定着しづらいし、そもそも家族経営の店は身内以外を入れたがらない店も多いと聞く。
「そうだ、ラン、話が逸れるが飯食ったか?」
「あ、それが実はまだ……」
それを聞いた俺は〝アイテムストレージ〟から、イカ焼き、ケバブ、ツチノコの唐揚げ、BLTサンド、ニンニク鳥のむしりをドバンと取り出した。
「余り物だがよければ食ってくれ」
完全に注文する量を間違えたチャッチャラーの買ってきた食糧たちは、満腹と言う理由で結構残ったので残りを俺は貰ってきた。
まあ、俺は一通り自分の分は全部食ったが、チャッチャラー、アリシア、クレハの胃袋はキャパオーバーだったらしい。酒も飲んでたしな、クレハ以外は。
「い、いいんですか! やったー! 今年は宿屋の仕事が忙しくて祭りに顔出せなかったんですよ──しかもイカ焼きまで! 分かってますね! 流石です!」
目に見えてテンションが上がるランに俺は「じゃあ、おやすみ」と、手を振りクレハと部屋に戻る。
冷えた空気と少し深めの酔いがやけに気持ちがいい。素面のクレハは部屋に入るなり「暖炉、暖炉」と直ぐに暖炉に薪を焚べ火をつける。
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