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第433話 一枚の手紙2
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「ユキマサ君、手紙、誰からだったの?」
クレハの手を取り〝スノーワイトの街〟を走る俺は取り急ぎ手紙の案内に従う。
「チャッチャラーだよ。憲兵と繋がりがあるし、この世界で会った中じゃ指折りには強いとは思ってたが、まさか〝六魔導士〟だったとはな?」
キナ臭い奴だったが〝六魔導士〟とは恐れ入った。
「や、やっぱり!? 外見が昔の念写真とは違ってたから〝六魔導士〟だとは気づかなかった。名前聞いても〝鵬剣〟があんなにチャラくなってるとは……あれじゃまるで別キャラだよ。ごめんね、気づけなくて」
「いいよ、別に。クレハが謝ることじゃない。そういやアリシアが言ってたな。昔は真面目君だったって」
「で、何で、チャッチャラーさんがユキマサ君に手紙を? ユキマサ君、正体バレてないの?」
「いや、バレバレみたいだ。つーか、最初から気づいてたなありゃ、様子を見られてたと言うべきか」
「じゃあ、追ってきてるのはチャッチャラーさん? あれ、でも、じゃあ何でわざわざ手紙なんて──」
「逆だ。俺達を逃がすつもりらしい。そして俺を追ってきてるのは〝仙極〟だ。あいつもしつけぇな。まあ仕事なんだろうけどさ。手紙の内容はこうだ──」
『 ──拝啓、稗月倖真様
先日は本当にありがとうございました。
このご恩は一生忘れません。
さて、取り急ぎ。現状をお伝え致します。
現在〝スノーワイトの街〟に
〝六魔導士〟の〝仙極〟が迫っています。
俺……いえ、私が時間を稼ぎますので、
〝スノーワイト〟の西門からお逃げください。
最後に、私は私の目を心を信じます。
ユキマサさんを悪だとは私は思いません。
どうか貴方の未来が──容疑が晴れ、幸せなものになりますようにと陰ながら心より祈っております。
from 六魔導士〝鵬剣〟
チャッチャラー・グットクール』
「わ、チャラくない! じゃなくて、西門までは少し距離あるよ。それに時間を稼ぐってチャッチャラーさん大丈夫なのかな? 相手は六魔導士だよ!?」
「そのチャッチャラーも六魔導士なんだがな」
六魔導士と六魔導士が戦うことになれば少なくない被害も出るだろう。まあ、あいつらのぶつかりかた次第だが、意外と話し合いで解決してたりないかな?
そう思った矢先だ──
「聞いたか、東門で六魔導士が戦ってるらしいぞ」
「六魔導士が? 何とだよ?」
「六魔導士と六魔導士で戦ってるんだ」
「仙極vs鵬剣。六魔導士同士の戦い何て前代未聞だ」
道行く冒険者がそんな話をしている。
話し合いじゃ、無理っぽいな。
(結構、融通が利かなそうだし。仙極。それにチャッチャラーめ、頼むから無事でいろよ、クソヤロウ!)
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