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接触
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朝倉が休んでいた体育の授業が終わり、ぞろぞろとクラスメイトが教室に帰ってくる。
その中の1人である友人、田中が声を掛けてくる。
「あれれ~。本当に顔色悪いじゃーん」
「嘘、まじ?」
朝倉は気付きもしなかった自分の顔色を確かめるために頬に手をあてる。そんなことで自分の顔色は分からないが。
田中も朝倉の手を添えてない顔の方に手を添える。
「本当だよ」
「佐藤から貰った飴が原因かな」
「佐藤のせいかよ」
田中とは中学からの付き合いである。
そして飴をくれた友人、佐藤も同様である。
男3人でよく集まって話すことが多い。
「あいつ、やってんなあ」
「てか次移動教室じゃね?行こうぜ、田中」
「保健室行かなくていいのかよ?」
「大丈夫だよ。水飲んで1時間休んだし」
「じゃあいいけど。無理すんなよー」
「おうよ」
先程天井から落ちてきた手紙は雑に制服のポケットに押し入れた。
3階にある理科室まで行かなければ行けないので、準備をし始める。
「化学だっけ?」
「おう」
2年生から文理別に選択授業になった。
朝倉と田中は理系、佐藤は文系を選択した。
離れ離れにはなってしまったが、昼食は一緒に食べている。
ロッカーの中から化学の教科書とノート、資料集を取り出し、立ち上がる。
朝倉は田中と共に教室を出る。
廊下にはわらわらと生徒が自由に行き交っていた。
雑談をする者や間食を摂る者、飲み物を買いに行く者など各々目的が違う生徒がいる。
階段を上っている最中に1人の女子生徒とすれ違う。
お互いに目は合わなかった。
「……おい、田中」
しかし、ふんわり香った気がした。
「何だよ」
「今誰かとすれ違ったよな」
「すれ違ったよ」
「誰か分かる?」
花の香りがした。
「あー、分かる分かる……。なんだっけな……」
何の花かは分からない。
しかし、吐いた花独特の良い香りがした。
「珍しい苗字だった気がするんだよ……」
朝倉はもしかしたら、という希望を胸に田中が思い出そうとしている女子生徒の名前を待ち構えている。
「あ。そうだ」
ちょうど2人が階段を上り切った時だった。
田中がその子の名前を思い出した。
「南雲小春だよ」
「へぇ」
「佐藤と同じクラスの子だった気がする」
「そうなんだ」
「もしかして……好きなのか?! いやぁ、朝倉もとうとう女を作る気になったのか~!」
「へぇ……。って、え?! 何言ってんだよ?!」
大きな誤解を招いてしまったようだ。
「応援するぜ」
「あんま顔見てないから知らないよ……」
「え、朝倉って南雲さんのこと何も聞いたことないわけ?」
「無いから名前訊いたんだよ」
朝倉は大きな溜め息を吐いて、面倒くさそうに田中を横目で見る。
田中は驚いた顔をしていた。
「まじかよ……。まあでも確かに大したことでもないか」
「いや、何だよ。言えよ」
「別に大それたことではないけど、ただずっと甘いの食ってるってだけだよ」
「本当に大したことないな」
「だから言ったじゃん」
「今の時代、偏食だって珍しくないだろーよ」
「まあな。可愛いから目につくだけかもな~」
理科室に着き、各々の席に着く。
白衣を着た先生が授業を始める号令を促す。
「起立。礼。着席」
委員長は淡々と号令を済ました。
そしていつも通り授業が進んでいく。
朝倉は南雲とすれ違った時に花の香りに気がついた。南雲はどうなのだろうか。
まあ、まだ南雲が花吐き病を患っているかどうかは分からないが、話す価値はあるだろう。
だから朝倉は佐藤を介して南雲とコンタクトを取ろうと考えた。
「おい、朝倉。教科書を開け。51ページだ」
「あ、はい」
少し煙草の匂いがする教師の通った後の残り香を吸わないように鼻から空気を逃がす。
化学の授業なんて耳に入ってこない。頭の中にあるのは同士に会えるという可能性だけだった。
「まだ本調子じゃないのか?」
朝倉を心配する田中が斜め後ろの席から小声で声を掛けてくれる。
「いや、大丈夫。ただぼーっとしてただけ」
今年1暑いだけあって、勉強なんてやる気が出ない。
たまに当たる扇風機の風が心地好い。首の回る扇風機のためすぐに別角度へ風を送ろうとする。
朝倉は早速化学の授業が終わったら南雲に声を掛けに佐藤の所へ行こうと企んでいた。
その中の1人である友人、田中が声を掛けてくる。
「あれれ~。本当に顔色悪いじゃーん」
「嘘、まじ?」
朝倉は気付きもしなかった自分の顔色を確かめるために頬に手をあてる。そんなことで自分の顔色は分からないが。
田中も朝倉の手を添えてない顔の方に手を添える。
「本当だよ」
「佐藤から貰った飴が原因かな」
「佐藤のせいかよ」
田中とは中学からの付き合いである。
そして飴をくれた友人、佐藤も同様である。
男3人でよく集まって話すことが多い。
「あいつ、やってんなあ」
「てか次移動教室じゃね?行こうぜ、田中」
「保健室行かなくていいのかよ?」
「大丈夫だよ。水飲んで1時間休んだし」
「じゃあいいけど。無理すんなよー」
「おうよ」
先程天井から落ちてきた手紙は雑に制服のポケットに押し入れた。
3階にある理科室まで行かなければ行けないので、準備をし始める。
「化学だっけ?」
「おう」
2年生から文理別に選択授業になった。
朝倉と田中は理系、佐藤は文系を選択した。
離れ離れにはなってしまったが、昼食は一緒に食べている。
ロッカーの中から化学の教科書とノート、資料集を取り出し、立ち上がる。
朝倉は田中と共に教室を出る。
廊下にはわらわらと生徒が自由に行き交っていた。
雑談をする者や間食を摂る者、飲み物を買いに行く者など各々目的が違う生徒がいる。
階段を上っている最中に1人の女子生徒とすれ違う。
お互いに目は合わなかった。
「……おい、田中」
しかし、ふんわり香った気がした。
「何だよ」
「今誰かとすれ違ったよな」
「すれ違ったよ」
「誰か分かる?」
花の香りがした。
「あー、分かる分かる……。なんだっけな……」
何の花かは分からない。
しかし、吐いた花独特の良い香りがした。
「珍しい苗字だった気がするんだよ……」
朝倉はもしかしたら、という希望を胸に田中が思い出そうとしている女子生徒の名前を待ち構えている。
「あ。そうだ」
ちょうど2人が階段を上り切った時だった。
田中がその子の名前を思い出した。
「南雲小春だよ」
「へぇ」
「佐藤と同じクラスの子だった気がする」
「そうなんだ」
「もしかして……好きなのか?! いやぁ、朝倉もとうとう女を作る気になったのか~!」
「へぇ……。って、え?! 何言ってんだよ?!」
大きな誤解を招いてしまったようだ。
「応援するぜ」
「あんま顔見てないから知らないよ……」
「え、朝倉って南雲さんのこと何も聞いたことないわけ?」
「無いから名前訊いたんだよ」
朝倉は大きな溜め息を吐いて、面倒くさそうに田中を横目で見る。
田中は驚いた顔をしていた。
「まじかよ……。まあでも確かに大したことでもないか」
「いや、何だよ。言えよ」
「別に大それたことではないけど、ただずっと甘いの食ってるってだけだよ」
「本当に大したことないな」
「だから言ったじゃん」
「今の時代、偏食だって珍しくないだろーよ」
「まあな。可愛いから目につくだけかもな~」
理科室に着き、各々の席に着く。
白衣を着た先生が授業を始める号令を促す。
「起立。礼。着席」
委員長は淡々と号令を済ました。
そしていつも通り授業が進んでいく。
朝倉は南雲とすれ違った時に花の香りに気がついた。南雲はどうなのだろうか。
まあ、まだ南雲が花吐き病を患っているかどうかは分からないが、話す価値はあるだろう。
だから朝倉は佐藤を介して南雲とコンタクトを取ろうと考えた。
「おい、朝倉。教科書を開け。51ページだ」
「あ、はい」
少し煙草の匂いがする教師の通った後の残り香を吸わないように鼻から空気を逃がす。
化学の授業なんて耳に入ってこない。頭の中にあるのは同士に会えるという可能性だけだった。
「まだ本調子じゃないのか?」
朝倉を心配する田中が斜め後ろの席から小声で声を掛けてくれる。
「いや、大丈夫。ただぼーっとしてただけ」
今年1暑いだけあって、勉強なんてやる気が出ない。
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