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時刻は深夜2時半。
場所は校舎裏。
朝倉は醒めた目を不自然に何度も瞬きをする。
頭の中が真っ白になり、冷や汗をかいている。
待ち合わせ相手は南雲小春。
何となく察しがついていた。
「南雲さん」
「あ、朝倉君。突然電話してごめんなさいね」
「ううん。大丈夫だよ」
よく知っている後ろ姿に声をかけた朝倉は南雲の穏やかな表情を見て1層落ち着くことが出来ない。
「あれ……?」
朝倉は南雲の影に隠れていた少女を見つける。
「梨香じゃないよな?」
朝倉は早川梨香の苗字を知らない。
「うん。そうだよ。この子は天野夜空さん。朝倉君に説明した天使病の子」
「こンにちハ」
「……?」
天野の声は地声と何か別の声が混ざっていた。
機械音のような、男性のような、そんな声が聞こえる。
「天野さんも私も時間が後少ししか残されてない。これから伝えたいこと言うから聞いててほしいな」
「……」
「朝倉君。これが最後のお願いだからさ、また聞いてちょうだいよ」
「……梨香は何でいないんだ?」
「梨香には言ってないからね。言ったらあの子何仕出かすか分からないじゃない」
南雲は笑っていた。
その後ろで段々と羽根が広がっていく天野が泣いていた。
「時間が無いの。朝倉君」
穏やかな笑顔の南雲と苦しそうに静かに泣いている天野を見て、朝倉は首を横には振れなかった。
「ありがとう」
南雲は天野の背中の羽根の生え際を優しく撫でる。
「まず1つ目は早川梨香と高山鈴香の2人をよろしく。きっと朝倉君の助けになるわ。それに2人にも朝倉君をよろしくって伝えているわ」
「はは……。そんなに心配?」
「そんなことないわ。私が託した相手だもの。ふぅ……」
南雲は息を浅く吐き、何かを飲み込んだ。
「2つ目はこの土地について。奇病を引き起こす何かが埋まってるか植えられているかもしれない。本物の植物の花粉じゃない粒子が飛んでいたの」
「粒子……?」
「ええ。細過ぎて見ることも集めることも出来ないわ。でも私みたいに完治が近づけば近づくほど、感じるの」
「なグモ……さ……」
「待ってね、天野さん。もう少しで話終わるから」
天野の羽根は銀色に綺麗に輝いていた。
今夜はとても晴天で、月明かりが朝倉たちを照らしていた。
三日月が綺麗に輝くものだから、星は点々としか見ることができない。
「その原因の何かを燃やして欲しい。そうしたら、奇病はもう発生しないはず。何か物体はあるはずよ」
「抽象的過ぎるよ、南雲さん」
「ふふっ。まだ先は長いんだからそれくらい調べることがあった方がやりがいがあるでしょう?」
「まあね。頑張ってみるよ」
「ありがとう。あと2つ伝えたいことがあるんだけど、時間が……っ。ゲホッ……」
南雲が先程飲み込んだ正体が明らかになる。
枯れたカスミソウだ。
花の水分が無く、茶色に変色していた。
乾燥している花弁に絡みつく唾液が月光を反射している。
「手短に言うね。武田君がそろそろ危ない。だからこの薬を渡してあげて。これを使うのは1回だけ。分かった?」
「うん」
「調合の仕方は梨香に教えたから」
「分かった」
南雲の目が虚ろになっていく。
「で、最後はね、」
南雲は天野を抱きしめる。
「私はきっと窒息死で死んだことになるわ。そして、天野さんは心臓が破裂して死ぬことになる。私がこの綺麗な羽根を根元から引き抜くからね。是非、この羽根を有効に使いなさい」
「南雲が天野さんを殺すってことになるね」
「はは……。そうね……。まあ、天野さんの人権を守るためよ……。長く……生き過ぎたから……」
朝倉は南雲と天野に近付く。
そして2人を抱きしめる。
雲1つない、今日という日の夜空を忘れることは無いだろう。
風が吹き始め、南雲が吐いた花弁と天野の銀の羽根は飛ばされてしまった。
場所は校舎裏。
朝倉は醒めた目を不自然に何度も瞬きをする。
頭の中が真っ白になり、冷や汗をかいている。
待ち合わせ相手は南雲小春。
何となく察しがついていた。
「南雲さん」
「あ、朝倉君。突然電話してごめんなさいね」
「ううん。大丈夫だよ」
よく知っている後ろ姿に声をかけた朝倉は南雲の穏やかな表情を見て1層落ち着くことが出来ない。
「あれ……?」
朝倉は南雲の影に隠れていた少女を見つける。
「梨香じゃないよな?」
朝倉は早川梨香の苗字を知らない。
「うん。そうだよ。この子は天野夜空さん。朝倉君に説明した天使病の子」
「こンにちハ」
「……?」
天野の声は地声と何か別の声が混ざっていた。
機械音のような、男性のような、そんな声が聞こえる。
「天野さんも私も時間が後少ししか残されてない。これから伝えたいこと言うから聞いててほしいな」
「……」
「朝倉君。これが最後のお願いだからさ、また聞いてちょうだいよ」
「……梨香は何でいないんだ?」
「梨香には言ってないからね。言ったらあの子何仕出かすか分からないじゃない」
南雲は笑っていた。
その後ろで段々と羽根が広がっていく天野が泣いていた。
「時間が無いの。朝倉君」
穏やかな笑顔の南雲と苦しそうに静かに泣いている天野を見て、朝倉は首を横には振れなかった。
「ありがとう」
南雲は天野の背中の羽根の生え際を優しく撫でる。
「まず1つ目は早川梨香と高山鈴香の2人をよろしく。きっと朝倉君の助けになるわ。それに2人にも朝倉君をよろしくって伝えているわ」
「はは……。そんなに心配?」
「そんなことないわ。私が託した相手だもの。ふぅ……」
南雲は息を浅く吐き、何かを飲み込んだ。
「2つ目はこの土地について。奇病を引き起こす何かが埋まってるか植えられているかもしれない。本物の植物の花粉じゃない粒子が飛んでいたの」
「粒子……?」
「ええ。細過ぎて見ることも集めることも出来ないわ。でも私みたいに完治が近づけば近づくほど、感じるの」
「なグモ……さ……」
「待ってね、天野さん。もう少しで話終わるから」
天野の羽根は銀色に綺麗に輝いていた。
今夜はとても晴天で、月明かりが朝倉たちを照らしていた。
三日月が綺麗に輝くものだから、星は点々としか見ることができない。
「その原因の何かを燃やして欲しい。そうしたら、奇病はもう発生しないはず。何か物体はあるはずよ」
「抽象的過ぎるよ、南雲さん」
「ふふっ。まだ先は長いんだからそれくらい調べることがあった方がやりがいがあるでしょう?」
「まあね。頑張ってみるよ」
「ありがとう。あと2つ伝えたいことがあるんだけど、時間が……っ。ゲホッ……」
南雲が先程飲み込んだ正体が明らかになる。
枯れたカスミソウだ。
花の水分が無く、茶色に変色していた。
乾燥している花弁に絡みつく唾液が月光を反射している。
「手短に言うね。武田君がそろそろ危ない。だからこの薬を渡してあげて。これを使うのは1回だけ。分かった?」
「うん」
「調合の仕方は梨香に教えたから」
「分かった」
南雲の目が虚ろになっていく。
「で、最後はね、」
南雲は天野を抱きしめる。
「私はきっと窒息死で死んだことになるわ。そして、天野さんは心臓が破裂して死ぬことになる。私がこの綺麗な羽根を根元から引き抜くからね。是非、この羽根を有効に使いなさい」
「南雲が天野さんを殺すってことになるね」
「はは……。そうね……。まあ、天野さんの人権を守るためよ……。長く……生き過ぎたから……」
朝倉は南雲と天野に近付く。
そして2人を抱きしめる。
雲1つない、今日という日の夜空を忘れることは無いだろう。
風が吹き始め、南雲が吐いた花弁と天野の銀の羽根は飛ばされてしまった。
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