僕は傷つかないから

ritkun

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僕は知らないことばかり

2(R18)

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 カーテンを閉めるコウちゃんの背中がすごく特別に思える。いつもは「いつ誰が来るか分からないから」って夜しかしないから、光が透けてるカーテンだけでいつもと違うと感じてドキドキする。

 扉を背に寝室の入り口に立っていたら、ベッドに呼ぶんじゃなくコウちゃんが僕の所まで来た。ベッドでやるんじゃないのかな?

 そっと手を繋いでベッドまで優しく引っ張られた。そういえば手を繋いで歩いたのって何年振りだろう。10歩にも満たなくても憧れのデートが叶った気がした。

 ベッドの脇に立って向き合うと、コウちゃんが僕と目を合わせたまま僕のバスローブの紐をほどく。僕も同じようにコウちゃんの紐をほどいても、いつもみたいに「イタズラするな」って言われなかった。

 なにこれ、なにが起きてるの?
 両手で鎖骨の中心から両肩に向かって撫でられて「脱がす」より「脱げる」って感じでバスローブが落ちる。
 止められないどころか同じようにされるのをコウちゃんも待ってる。
 バスローブが落ちる音が凄く大きく感じた。

 コウちゃんはベッドに動こうとしない。立って向き合ったまま僕と両手を繋いで体をしっかり見つめてくる。
 僕も見ていいってこと?
 初めてした時は「見すぎ」って脱いだシャツで目隠しされた。口できれいにする時もあんまりじっと見ると止められる。

 コウちゃんの両手がゆっくりと腕を撫でながら上がってきて二の腕で止まる。
「座って」

 ベッドにかと思ったら、コウちゃんの腕が導いたのは床だった。
「背もたれがあった方が動きやすいだろ?」
 動いていいの!?
 体の二か所がドクンと大きく跳ね上がる。

 健全なお兄ちゃんモードな言い方と内容のギャップに興奮して、今どうやって床に座ったのか思い出せないくらい内心パニック。

 僕の脚の間に僕の腰を挟むみたいに膝をついたコウちゃんから額にキスされて、跳ね上がった場所の心臓じゃない方に同じ部分が当たる。同じくらい興奮してるのが分かる。

「コウちゃん、興奮してる?」
 少し顔を離したコウちゃんはお兄ちゃんモードをまだ崩していない。
「当たり前だろ」
 今度は頭を撫でながら指に絡めた髪にキスをされた。

 コウちゃんの背中に両腕を回して、そこから両腿の外側へと撫でていく。膝まで来たら腿の前側を上に向かって撫でる。
 コウちゃんがキスをやめて頭が離れる。止められるのかなって思ったら逆に僕が撫でやすいようにだった。

 これもいいの!?って思いながら脚の付け根まで来た両手を中心へと動かそうとしたら、両手を貝殻繋ぎにしてゆっくり引っ張られた。背中がベッドから離れてやっとできた口同士のキスにいつもより頭がチカチカする。星を通り越して電気みたい。
 舌と同じリズムで手をにぎにぎされて「ヤバイ、いっちゃう!」って思った瞬間に、コウちゃんの左手が離れて親指と人差し指で輪を作って僕の根元を締めた。

 目を開けてコウちゃんを見たことで、今自分がギュッと目を閉じてたって気付く。

 コウちゃんは変わらずお兄ちゃんモード。
 違う。実は最初から違ったかも。楽しんでたんだ。息で上下する胸と何も出なかった場所を面白そうに観察してる。
 からかってるって意味じゃなく純粋に楽しんでるっぽい。

 いつもみたいに僕の気持ちを満たして体力がカラになったら寝る準備をしてくれる時よりも、一昨日みたいに貪られるよりも、ずっと愛されてるって感じるなんて。

 僕も楽しくなってきて、まだつないだままのコウちゃんの右手を口元に引き寄せた。手の甲にキスをしたかったけど僕の方に見えてるのは指だけで、貝殻繋ぎをやめたくないから人差し指を銜えることにした。

 そうしたらコウちゃんも僕の人差し指を銜え始めた。お互いの前髪同士が触れ合う感触へと意識が移ってぐりぐり遊んでからもう一度口同士でキス。

 両腕が自然とお互いの背中へと回って舌も掌もゆっくりと動き回る。
 どちらからともなく掌が腿へと移って、膝上から腰の間を何往復かして脚の付け根を指先でなぞるように中心へ向かったら今度は止められなかった。コウちゃんも同じようにして僕のを両手で包むと同時にそっと口を離して掌も離れた。

 コウちゃんがちゃんと立ち上がらずに最低限の動きでベッドに腰かける。二の腕をそっと掴まれたから僕もベッドに座ろうとしたら、コウちゃんが少し後ろに倒れて僕の腕を掴んでない方の手を後ろについた。

 跨れって言ってるんだ。もう挿れる、自分で挿れろって。

 いつもはコウちゃんが挿れるし、たまに僕から挿れる時のコウちゃんは完全に仰向けになってる。だからこんなに近くで見つめ合いながら挿れるのは初めて。

 ゴムもコウちゃんがさり気なく自分で着けるのに今日は袋を渡された。
 着けたり挿れたりしてどうしても上半身が離れる間はコウちゃんが僕の首の後ろで両手を組んで支えてくれていた。

 傘まで入って僕の手が自由になったらコウちゃんが少し後ろに両手をついて、僕がコウちゃんの両肩を掴んで体を沈める。
 奥まで入ってくることよりも、コウちゃんの腿にしっかりと座ることが幸せ。

 完全に入ったら動きを封じるみたいに強く抱きしめられた。肩を掴んでいた両腕を伸ばしてコウちゃんの首に巻き付けると、抱きしめる力がもっと強くなる。

 そのまま動かずにいて、しばらくしたら一周だけ僕の中をかき回した。そうするだろうなって気がしたし動きもゆっくりで、またぴったりとくっつく。

 コウちゃんがどう動くか分かったことも、実際の動きでの気持ち良さも、感じた僕を抱きしめ直すコウちゃんの腕も、全部が僕を幸せにする。

 今度は僕が少し腰を浮かせて、もう一度ゆっくりと沈む。
 コウちゃんは離れようとする僕を止めずに腕を緩めて、沈む僕に合わせて絶妙な力加減で抱きしめ直した。

 潤むなんてもんじゃない。普通に泣いてるみたいに涙が出てくる。嫌とか苦しいとかで泣いてるんじゃないって伝わると信じられたから隠さないし止めないでいたら、僕を抱きしめたままで右手の肘から上だけ動かして後頭部を撫でてくれた。慌てるとか困ってるって空気は無いから伝わってるんだと思う。

 鼻をすすったら結果的に動いて締め付けることになって二人ともメチャクチャ感じた。予想外のことに二人で小さく笑う。

 ずっとこうしていたいけど仕方ないねって視線が交わる。それでもゆっくり動き始めてちょっと止まってっていうのを数回繰り返した。

 こんなやり方があるなんて知らなかった。その後いったのも僕が今まで行ったのとは全然違う世界だった。
 知らない世界に飛ばされる時も漂ってる時も戻る時もずっとコウちゃんを側に感じてたから、少しも怖くなかった。
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