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14】子供のような企て
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14】子供のような企て
「……」
部屋で一人、姿見を見た。一人で鏡を見る時は、大体気持ちが滅入っていることが多かったが、今の私はいつもと違っていた。
『機嫌が治ってくれて良かったよ。俺は、アーサーの可愛い顔が好きだからな』
先日、ギルベルトが私に言った言葉を思い出す。私はギルベルトに好きだと言えないのに、ギルベルトときたら人の気も知らないで「好き」という言葉を使うんだから。
「私の顔は、ギルベルトからしたら可愛いのか……?」
お世辞や揶揄いも入っているだろうが、ギルベルトの性格だ。長い付き合いだから、あの言葉の中に少しくらいは本音が入っていることが分かる。
「ふふっ」
(せめて、始まる前の今くらいは気持ちを上げておかないとな)
どうであれ、好きだと言われたのだ。嬉しいに決まっている。いけない。緩む頬を引き締めなくては。なんたって、今から私が向かう場所は────。
コンコン。
「アーサー。俺だ、ギルベルトだ。準備出来たか?」
部屋の扉がノックされる音が遠くでして、脚を向ける。続いて声がして、名乗らなくても分かる声がした。返事をするよりも先に、扉を開く。
「ギルベルト、どうだい?」
「安心しな。今回も、どこに出しても俺の自慢の王子様だ」
「良かった」
私にだけ見せてくれる、騎士団長としてではない。ギルベルトとして、気を許した表情で、フッと口角を上げて微笑むギルベルトが立っていた。私もだが、いつもよりも着込んだ格好をしている。私が上下白色だが、ギルベルトは紺色。互いに艶のある生地は、光を浴びれば上品にキラキラと光る。筋肉がつきにくいとボヤいてはいたが、スラリと姿勢よく高い身長に、私よりは筋肉のついた身体は私がギルベルトのことが好きだということを除いても、きっと同性の誰もが見惚れてしまう美しさだった。
どうしてこんなに着込んでいるのか。以前、先生が話していた社交界が開催されるからだ。もう始まっていて、会場には人が集まり楽しい時を過ごしているらしい。
「アーサー?」
「自慢な王子様なのは分かったけど、今日の私も可愛いかい?」
「ああ、可愛い顔をしてるぞ。不貞腐れなきゃな」
「それは良かった。でも社交界なんて、先生が女性の話をしていたから、何だか気が重いなぁ……」
「同感だ。俺はアーサーがいる間は会場にいるが、適当に顔を出して、挨拶回りが終わったら退場しないか?」
「良いね。そうしよう」
部屋の入口で二人きり。何だか子供の頃に子供心に悪戯を企てた時のようにニヤリと笑った。
*******
「……」
部屋で一人、姿見を見た。一人で鏡を見る時は、大体気持ちが滅入っていることが多かったが、今の私はいつもと違っていた。
『機嫌が治ってくれて良かったよ。俺は、アーサーの可愛い顔が好きだからな』
先日、ギルベルトが私に言った言葉を思い出す。私はギルベルトに好きだと言えないのに、ギルベルトときたら人の気も知らないで「好き」という言葉を使うんだから。
「私の顔は、ギルベルトからしたら可愛いのか……?」
お世辞や揶揄いも入っているだろうが、ギルベルトの性格だ。長い付き合いだから、あの言葉の中に少しくらいは本音が入っていることが分かる。
「ふふっ」
(せめて、始まる前の今くらいは気持ちを上げておかないとな)
どうであれ、好きだと言われたのだ。嬉しいに決まっている。いけない。緩む頬を引き締めなくては。なんたって、今から私が向かう場所は────。
コンコン。
「アーサー。俺だ、ギルベルトだ。準備出来たか?」
部屋の扉がノックされる音が遠くでして、脚を向ける。続いて声がして、名乗らなくても分かる声がした。返事をするよりも先に、扉を開く。
「ギルベルト、どうだい?」
「安心しな。今回も、どこに出しても俺の自慢の王子様だ」
「良かった」
私にだけ見せてくれる、騎士団長としてではない。ギルベルトとして、気を許した表情で、フッと口角を上げて微笑むギルベルトが立っていた。私もだが、いつもよりも着込んだ格好をしている。私が上下白色だが、ギルベルトは紺色。互いに艶のある生地は、光を浴びれば上品にキラキラと光る。筋肉がつきにくいとボヤいてはいたが、スラリと姿勢よく高い身長に、私よりは筋肉のついた身体は私がギルベルトのことが好きだということを除いても、きっと同性の誰もが見惚れてしまう美しさだった。
どうしてこんなに着込んでいるのか。以前、先生が話していた社交界が開催されるからだ。もう始まっていて、会場には人が集まり楽しい時を過ごしているらしい。
「アーサー?」
「自慢な王子様なのは分かったけど、今日の私も可愛いかい?」
「ああ、可愛い顔をしてるぞ。不貞腐れなきゃな」
「それは良かった。でも社交界なんて、先生が女性の話をしていたから、何だか気が重いなぁ……」
「同感だ。俺はアーサーがいる間は会場にいるが、適当に顔を出して、挨拶回りが終わったら退場しないか?」
「良いね。そうしよう」
部屋の入口で二人きり。何だか子供の頃に子供心に悪戯を企てた時のようにニヤリと笑った。
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