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王太子誕生日パーティー
しおりを挟む「あの、やっぱり私パーティーへ参加するだけだし、こんなに派手なのはいいわよ」
最近私にはお付きのメイドができ、彼女達は新しく入ってきた人達だ。義母が屋敷内にいる、人間達を入れ替えたのだ。
私を裏で馬鹿にしていた人や、嫌がらせなどしていた人は実質クビという……
「赤!?待って!そんなに、めかしこまなくてもいいわ!?」
「シャーロットお嬢様!何を言ってるんです!さあさあ!まだまだこれからです!」
王城へ向かう馬車の時間が近づいており、屋敷の廊下にはいつもより慌ただしい空気が流れていた。
ソラとソラの父親も陛下直々に招待をもらい、平民が故に、こういった行事が初めてで緊張していた。
「なあ、ユリウス様、俺らも参加していいのかな‥‥親父なんて緊張して目が死んでる」
「……お前は緊張してないように見えるが、、」
「そりゃ、パーティーといったら豪華な食事だろ!ユリウス様も一緒に食おうぜ!」
そう無邪気に話すソラに呆れた顔をするユリウスの前に、
静かに扉が開く音がした。
「……ごめんなさい、おまたせしてて」
振り向いた、その瞬間ユリウスとソラは言葉を、失った。
そこに立っていたのは、赤いドレスを纏ったシャーロットだった。
深く落ち着いた紅と金色模様のドレスだった。義父と義母二人が選んだというその色は、派手ではないのに、否応なく視線を奪う。
「……どうかした?やっぱり派手かしら?」
シャーロットが、不安そうに首を傾げると、義父と義母は満足そうな顔をするが、ユリウスは、慌てて視線を逸らした。
「……似合って、ます」
シャーロットは、きょとんとしながらも、くすっと笑った。
「お義母様達が選んでくれたのよ。変じゃない?」
「……変じゃない、です。」
「ソラは?あら、ソラも似合ってるわね」
「シャーロット、綺麗じゃん!」
ソラとシャーロットが話をしているのを、ユリウスは見つめていた。隣りにいた母親は
「シャーロットちゃん、綺麗ねえ。将来もっと綺麗になるわね?」
「…‥…」
ユリウスは面白くなさそうな顔をするのを、母親はからかっていた。
王城の大広間は、光で満ち溢れていた。天井から下がる無数のシャンデリアは宝石で出来ており、とてもまぶしすぎるところだわ。
王太子ウィリアム・ユートピアの誕生日は初めて参加、、。
私は、少し緊張した面持ちで広間に立った。
それにしても、こんな場所、やっぱり慣れないわね。
病院の成功により招かれたとはいえ、貴族の視線は鋭く、
評価と好奇心と、わずかな警戒が混ざっている。
その中で――視線の端に、見覚えのある顔があった。
オフィーリアだった。取り巻きに囲まれ、従えているわね。
「シャーロット、ごめん、俺と親父、かつての仲間だった人もいるみたいで、挨拶してくる!」
「えぇ、いってらっしゃい」
ユリウスと義父達は貴族達に囲まれていた。私も何か食べようかな?……ビールはさすがに駄目なのはわかるけど、やはり早く20歳になりたい。
「ねえ、あれ見てよ。気味が悪いわ」
「黒髪だ。魔女みたいだな」
うん、庭でも散歩しよう。私はぶどうジュースとクッキーを皿に乗せて外へとでた。
誰もいない庭は最高かも!私はベンチに座り夜空を見上げてた時だった。
タイミングを計ったように、背後から気配が近づいた。
「……あら?」
甘く、わざとらしい声の持ち主は、、オフィーリアと愉快な仲間達ね。
「あらあら!オフィーリア様!見てください!噂の聖女なりそこないなやつがいましたわ!」
「ここは王太子のパーティーだというのに身の程知らずな!厚かましいわ!」
オフィーリアはただ、黙って私を見つめ、その取り巻きたちは私の目の前で嫌味を言い始める。
「ねえ、貴女。こんな華やかな場所、似合わないと思わないの?」
「ギャンギャン、犬みたいに騒いでる貴女達よりかはマシだと思うわ」
「はあ!?なんですって!!平民出身のくせに!」
――ぐいっ!と背中に、強い力が加えられた。
「きゃ――!」
足元がもつれ、視界が傾く。
赤いドレスが、床に擦れ、ぶどうジュースの染みと埃で一気に汚れていった。同時に、足首に鋭い痛みが走った。
「……っ!」
まだ子供とはいえ、ちょっとやりすぎじゃない!?
「まあ、可哀想だわ」
オフィーリアの声には、欠片ほどの同情もない。
「あら、大変。ドレスが……台無しね」
取り巻きたちの小さな笑い声が響く。よし、こいつら殴ろう!
その時だった。
「何か、ありましたか」
低く、静かな声が割って入った。空気が、一瞬で変わりはじまる。
振り向いた先に立っていたのは、金髪の青年だった。
柔らかな微笑みを浮かべながらも、その瞳は鋭く、冷静だった。
「ウィリアム王太子殿下……!」
取り巻きの一人が、息を呑み、慌てて挨拶をし、オフィーリアも挨拶をする。
ウィリアム・ユートピア、この人が、、、。初めて会ったけれど、金色の髪が太陽みたいね。
オフィーリアたちはそそくさとその場を離れていき、残されたのは、二人きりだった。
彼はまず、私の足元と、汚れたドレスに視線を落とした。
「足を見せて」
「だ、大丈夫です」
反射的に答えたが、声が少し震える。
「はは、これだけ元気なら心配ないかもね?でも見せてくれるかな。足首、挫いたよね?」
穏やかな口調に何故か私は安心し、彼に見せる。
「……失礼」
ウィリアムは人目につかないよう、自然にシャーロットの前に立った。
彼の指先が、私の足首にそっと触れる。
ほんの一瞬、小さく淡い光が――見えた。聖力だわ。
痛みが、すっと引いていく。
「……あ」
足に力を入れても、もう痛くない。
「君ならご自分で治せるだろうと思うけど、、」
ウィリアム王子は小さく微笑んだ。
「…え、あ、あの、私をご存知でしたか?」
「カイロスが養子で引き取った子で、あ、あと聖女にならない発言した面白いこね」
冗談めかした話し方で、私達はお互い顔を見合わせて、笑いあう。うん、なんだか雰囲気は和やかになった。
噂で聞いた事がある。王太子も微力ながらに聖力がある人だったと、、
国王陛下の亡くなった姉の息子である彼が、実質継承権があるので王太子と言われていたけれど、心臓発作で亡くなる。
確か、、、私が11歳の時だ。陛下が持病で体が動かなくなり、次期国王となる準備をしていた矢先、王太子は心臓発作で亡くなる。そのため、かつての婚約者だったガイア王子が王太子となる流れだった。
とにかく、なんていうか、、、不思議な人。
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