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罪人と神官
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その頃――
フィナンシェ家の厨房に、苺と焼き菓子の甘い香りが満ちていた、まさにその時ーー。
教会の地下深く、罪人がいる。
見習いの神官が教会の地下へ行き、先輩に尋ねる。
「あの、ここの地下にいつもカビたパンとかスープを置きにいきますが、どんな大罪人がおられるんですか?」
「しっ!ここからは、国王もわからない未知の話だからな。俺達は何も知らない、ただ憐れなやつに手をさしのべてるだけだからな」
「は、はい!」
地下深く、光の届かぬ石牢には、甘さとは無縁の、湿りきった腐臭が漂っていた。鎖が、じゃらりと鳴る。
男はただ目を瞑り、抵抗する事もなく、ただ祈りを続けていた。そんな男の前に、この教会のトップであるラージル神官が現れ、男に話かける。
「……まだ、生きているのか。アドルフ」
白と金で彩られた法衣は、地下の闇の中でも異様なほど清潔で、その足元に跪く存在との差を、これ以上なく際立たせていた。
「……」
フードを深く被った男――アドルフは、顔を上げない。
痩せこけた身体は骨ばり、呼吸するたびにかすかな音を立てるだけだ。
「ふふ……ふははは!本当に無様だな!」
ラージルは、牢の鉄格子越しに男を見下ろし、口角を歪めた。
「君のおかげで、今日も“奇跡”が起きていてね」
指先が、ゆっくりと胸元の星のマークをした、聖具に触れながら、話続けていた。
「病が癒え、作物が実り、人々は私を“神に最も近い男”と呼ぶ。本当によく働く源だよ」
「……やめ、ろ……」
アドルフの掠れた声と喉が焼けたように痛むのか、それ以上言葉は続かない。
「やめろ? 何を?」
ラージルは、心底楽しそうに首を傾げる。
「君は罪人だ。元神官でありながら、禁忌に触れた愚か者さ。その命を、神と教会のために使っているだけだよ」
アドルフは、歯を食いしばる。
「……神、を……」
「ん?」
「……神を……利用、するな……」
その瞬間。バチン!!!と空気が裂ける音と共に、聖力が叩きつけられた。
アドルフの身体が、壁に打ち付けられながらも歯を食い縛る。そんなアドルフの姿が気に食わないラージルは
「……口を慎め。昔からお前は気に食わない!平民でありながら、神官達に気にいられ、1番強い聖力をもち、、、次世代に担う者だと?ふざけるな!!
あぁ、感情的になってしまった、、、、とにかく君が語る“神”など、私には不要だ。だが……最近、聖力の巡りが悪い。君一人では、足りなくなってきたみたいだ、この意味がわかるかい?」
アドルフの瞳が、かすかに見開かれた。
「……やめっ!まさか……」
「全ては愛する者の為だよ。アドルフ」
そう言い、ラージル神官は消えていった。
フィナンシェ家の厨房に、苺と焼き菓子の甘い香りが満ちていた、まさにその時ーー。
教会の地下深く、罪人がいる。
見習いの神官が教会の地下へ行き、先輩に尋ねる。
「あの、ここの地下にいつもカビたパンとかスープを置きにいきますが、どんな大罪人がおられるんですか?」
「しっ!ここからは、国王もわからない未知の話だからな。俺達は何も知らない、ただ憐れなやつに手をさしのべてるだけだからな」
「は、はい!」
地下深く、光の届かぬ石牢には、甘さとは無縁の、湿りきった腐臭が漂っていた。鎖が、じゃらりと鳴る。
男はただ目を瞑り、抵抗する事もなく、ただ祈りを続けていた。そんな男の前に、この教会のトップであるラージル神官が現れ、男に話かける。
「……まだ、生きているのか。アドルフ」
白と金で彩られた法衣は、地下の闇の中でも異様なほど清潔で、その足元に跪く存在との差を、これ以上なく際立たせていた。
「……」
フードを深く被った男――アドルフは、顔を上げない。
痩せこけた身体は骨ばり、呼吸するたびにかすかな音を立てるだけだ。
「ふふ……ふははは!本当に無様だな!」
ラージルは、牢の鉄格子越しに男を見下ろし、口角を歪めた。
「君のおかげで、今日も“奇跡”が起きていてね」
指先が、ゆっくりと胸元の星のマークをした、聖具に触れながら、話続けていた。
「病が癒え、作物が実り、人々は私を“神に最も近い男”と呼ぶ。本当によく働く源だよ」
「……やめ、ろ……」
アドルフの掠れた声と喉が焼けたように痛むのか、それ以上言葉は続かない。
「やめろ? 何を?」
ラージルは、心底楽しそうに首を傾げる。
「君は罪人だ。元神官でありながら、禁忌に触れた愚か者さ。その命を、神と教会のために使っているだけだよ」
アドルフは、歯を食いしばる。
「……神、を……」
「ん?」
「……神を……利用、するな……」
その瞬間。バチン!!!と空気が裂ける音と共に、聖力が叩きつけられた。
アドルフの身体が、壁に打ち付けられながらも歯を食い縛る。そんなアドルフの姿が気に食わないラージルは
「……口を慎め。昔からお前は気に食わない!平民でありながら、神官達に気にいられ、1番強い聖力をもち、、、次世代に担う者だと?ふざけるな!!
あぁ、感情的になってしまった、、、、とにかく君が語る“神”など、私には不要だ。だが……最近、聖力の巡りが悪い。君一人では、足りなくなってきたみたいだ、この意味がわかるかい?」
アドルフの瞳が、かすかに見開かれた。
「……やめっ!まさか……」
「全ては愛する者の為だよ。アドルフ」
そう言い、ラージル神官は消えていった。
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