25 / 57
嫉妬と苺クリーム
しおりを挟む
別室は、外の賑やかさが嘘のように静かだった。
柔らかな絨毯と、甘いお菓子の香りだわ。
ユリウスは相変わらず苺のケーキを無言で食べ続け、ソラは紅茶を啜りながらそれを眺めている。
「……あのさ、ユリウス様」
「……何だ」
「それ、ほんとに全部食うつもりか?」
「……食べる」
短い返答に、ソラは肩をすくめた。やっぱりユリウスは、苺が好きね。
私はというと、部屋に飾ってある女性が目に映り眺めていた。とても綺麗な人、、ウィリアム王太子に似て、金色の髪に青い瞳色ということは、国王陛下の実の姉であるアンナ王女ね。
「シャーロット嬢、その絵が気になるの?」
「え?あ、はい。お名前は聞いた事がありますが、初めてアンナ王女様の肖像画を拝見しました」
彼はほっとしたように微笑みながら、その絵を目を向ける。
「……うん、僕の母だ」
「本当に綺麗な方ですね……ウィリアム王太子は王女様に似てらっしゃるんですね」
そう言うと、王太子は少し照れたように笑うと、急にユリウスが間に入る。
「……私は、父上似です」
私とウィリアム王太子は「「確かにそっくり」」と頷く。
「まあ、あまり記憶はないけれど、自由奔放な人だよ。陛下を見てわかるだろうけどね、陛下の女性版みたいな人。だけど、馬車の事故で亡くなったんだ」
ソラはウィリアム王太子に素朴な質問をする。
「あれ?ということは、国王陛下の甥にあたるんですか??実の父親はーーもが!いた!ユリウス様!なんだよ!?」
いや、ソラ、、そこはスルーして空気を読んで欲しいわ。
ウィリアム王太子は笑いながら話す。
「実の父には……会ったことがないんだ」
その声は、驚くほど静かで、私は振り返り、彼を見る。
「……亡くなられたんですか?」
「それも、よくわからない。母は秘密だと。一年以上旅にでて、帰る先、馬車の事故の前だったかな。父上、、いや国王と僕に、ビックリする事と嬉しい知らせがあると
いい、事故にあったから、、真実はわからない」
ウィリアム王太子は、肩をすくめた。
「母は多くを語らなかった。ただ、『この国のために姿を消した人』だと」
どこか、他人事のような言い方。けれど、瞳の奥には、確かな寂しさがあるようにも見えた。
「だからね…」
王太子は、私の方を見て、少し声を潜める。
「秘密の話なんだけど……」
私は、思わず背筋を伸ばした。
「この城には、隠していることが、とても多いんだよ」
ユリウスが、ケーキを食べる手を止め、ちらりとこちらを見る。ソラも、空気の変化を察したのか、黙っていた。
王太子は、肖像画から目を離さず続ける。
「―君達、薄々気づいてるだろうけど、僕に毒を飲ませてた黒幕はメアリ王妃だろうね。ガイアを王位に継がせたいんだよ。それに、今城内では教会派が多くなってきているしね」
「……そんな話を私達に話していいのですか」
キッと睨むユリウスにウィリアム王太子は、「ユリウスや、君達は大丈夫かなって」と優しく笑って誤魔化していた。
「なんというか、、シャーロット嬢は……不思議だね」
彼は、ふふっと笑う。
「君と話していると、こういう話をしても、怖くならない」
「……私、ですか?」
「うん、僕に妹がいたらこんな子だといいなあと思うよ。あ、、ごめんね。不快な思いをさせてしまったら謝るよ」
なんといえば良いか迷ってしまった時、ユリウスが、少しだけ身を乗り出す。
「……もう我慢なりません」
「ユリウス?」
「……あ、姉上は……姉上は私の姉上ですから。ウィリアム王太子の妹にはなれませんよ」
「……ユリウス………」
口の周りに苺クリームをつけて、真面目な顔をされても、なんだか説得力ないわ。
柔らかな絨毯と、甘いお菓子の香りだわ。
ユリウスは相変わらず苺のケーキを無言で食べ続け、ソラは紅茶を啜りながらそれを眺めている。
「……あのさ、ユリウス様」
「……何だ」
「それ、ほんとに全部食うつもりか?」
「……食べる」
短い返答に、ソラは肩をすくめた。やっぱりユリウスは、苺が好きね。
私はというと、部屋に飾ってある女性が目に映り眺めていた。とても綺麗な人、、ウィリアム王太子に似て、金色の髪に青い瞳色ということは、国王陛下の実の姉であるアンナ王女ね。
「シャーロット嬢、その絵が気になるの?」
「え?あ、はい。お名前は聞いた事がありますが、初めてアンナ王女様の肖像画を拝見しました」
彼はほっとしたように微笑みながら、その絵を目を向ける。
「……うん、僕の母だ」
「本当に綺麗な方ですね……ウィリアム王太子は王女様に似てらっしゃるんですね」
そう言うと、王太子は少し照れたように笑うと、急にユリウスが間に入る。
「……私は、父上似です」
私とウィリアム王太子は「「確かにそっくり」」と頷く。
「まあ、あまり記憶はないけれど、自由奔放な人だよ。陛下を見てわかるだろうけどね、陛下の女性版みたいな人。だけど、馬車の事故で亡くなったんだ」
ソラはウィリアム王太子に素朴な質問をする。
「あれ?ということは、国王陛下の甥にあたるんですか??実の父親はーーもが!いた!ユリウス様!なんだよ!?」
いや、ソラ、、そこはスルーして空気を読んで欲しいわ。
ウィリアム王太子は笑いながら話す。
「実の父には……会ったことがないんだ」
その声は、驚くほど静かで、私は振り返り、彼を見る。
「……亡くなられたんですか?」
「それも、よくわからない。母は秘密だと。一年以上旅にでて、帰る先、馬車の事故の前だったかな。父上、、いや国王と僕に、ビックリする事と嬉しい知らせがあると
いい、事故にあったから、、真実はわからない」
ウィリアム王太子は、肩をすくめた。
「母は多くを語らなかった。ただ、『この国のために姿を消した人』だと」
どこか、他人事のような言い方。けれど、瞳の奥には、確かな寂しさがあるようにも見えた。
「だからね…」
王太子は、私の方を見て、少し声を潜める。
「秘密の話なんだけど……」
私は、思わず背筋を伸ばした。
「この城には、隠していることが、とても多いんだよ」
ユリウスが、ケーキを食べる手を止め、ちらりとこちらを見る。ソラも、空気の変化を察したのか、黙っていた。
王太子は、肖像画から目を離さず続ける。
「―君達、薄々気づいてるだろうけど、僕に毒を飲ませてた黒幕はメアリ王妃だろうね。ガイアを王位に継がせたいんだよ。それに、今城内では教会派が多くなってきているしね」
「……そんな話を私達に話していいのですか」
キッと睨むユリウスにウィリアム王太子は、「ユリウスや、君達は大丈夫かなって」と優しく笑って誤魔化していた。
「なんというか、、シャーロット嬢は……不思議だね」
彼は、ふふっと笑う。
「君と話していると、こういう話をしても、怖くならない」
「……私、ですか?」
「うん、僕に妹がいたらこんな子だといいなあと思うよ。あ、、ごめんね。不快な思いをさせてしまったら謝るよ」
なんといえば良いか迷ってしまった時、ユリウスが、少しだけ身を乗り出す。
「……もう我慢なりません」
「ユリウス?」
「……あ、姉上は……姉上は私の姉上ですから。ウィリアム王太子の妹にはなれませんよ」
「……ユリウス………」
口の周りに苺クリームをつけて、真面目な顔をされても、なんだか説得力ないわ。
769
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
王子よ、貴方が責任取りなさい
天冨 七緒
恋愛
「聖女の補佐をしてくれないか?」
王子自ら辺境まで訪れ、頭を下げる。
それほど国は、切羽詰まった状況なのだろう。
だけど、私の答えは……
皆さんに知ってほしい。
今代の聖女がどんな人物なのか。
それを知った上で、私の決断は間違いだったのか判断してほしい。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる