騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第175話 自分自身を信じること…そして繋がり

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ティフィア「……胸を張っていいことだ。

君が『対話』ではなく『戦い』を選び、自分自身を裏切っていれば君という人格は、今この時、恐らく存在しなかっただろう。

違う選択をしていれば、今ごろは魔王軍の一員として君の大切な人と敵対する可能性すらあった。

この結果は……君が自分自身を信じることが出来たからとお姉さんは思う。」

抱き止める手に、優しく力を込めながら語りかけ更に続ける。


ティフィア「ああ……お姉さんは悪い龍だからね。

もちろん対価は貰うとも♪

でも、まあ……まずはっ……と」

背を預ける彼女の足に手を回してお姫様抱っこの要領で彼女を抱きあげて、小さく微笑みかける。


ティフィア「君のために用意した最高級の寝台がある。

そこまで案内しよう。

君が眠りにつくまで、側に居てやろう♪

さ、落ちないようにお姉さんの首もとに手を回して……そうだ。偉いぞ♪

なんなら、王子様にお礼のキスをしてくれても構わないが。」

オフェリアに暖かい眼差しを向けながら、彼女に負担がかからないよう、ゆっくり歩みを進めながら話を続ける。

ーーーー

オフェリア「……あっ…ティフィ…ア…んっ…そっか…私…少しは強くなれたの…ね…。」

ティフィアの言葉で…私は自分自身を信じることができたのだと今更ながら気づいた…。

今までなら他の人たちより 自分自身が1番信用ができなかった…

諦めて逃げ続ける中途半端な存在…

だけどマサキたちに出会って…支えられて…

こんな私でも…と自分のことを信じて前に一歩踏み出せた…

随分と長い間 立ち止まってしまってたけど…やっと私はこの手に小さな光を掴めた…。


オフェリア「ええ…もちろん私にできることなら…えっーーひゃあ…!?

っ…こ、これってまさか…お姫様抱っこ…とかいうやつ…じゃ…//」

もらった恩が大き過ぎてどう返していったらいいかわからなかったけど…

悪いこと以外 私にできることなら何でもするつもりだ…と言おうとしたら…

ティフィアにお姫様抱っこされ…微笑まれ…

突然のことに私は頬を赤らめ…瞳を潤ませながら彼女を見つめ…

もう1人の私と1つになっても不意なことには弱いままだった…。


オフェリア「いつの間にそんなものまで用意していたのよ…それに…それってただ私の寝顔が見たいだけでしょ…?

まったく…まあ…いいわ…今は力が入らないからあなたに従う…こ、これで…いいかしら…? 偉いぞって…こ、子供扱いしないでよ…//

ちょーしに乗らないで…って言いたいけど…その…世話もかけたから…んんっ…// んっ…あ、あくまでお礼なだけだからね…//」

ティフィアの口へ軽く…首に抱きつき 赤くなったままの私はお礼のキスをする…

自分より本当に歳上でいて、それでいてお姉さんぽく接してこられ…

その今までには感じたことのない…妙な感覚に調子が狂いっぱなしだ…

そんな暖かい眼差しも…慣れないのだけど…//

ーーーー

ティフィア「んっ……♡ふふ~♪全然足りないけど、お姉さんとオフェリアの夫婦誕生への第1歩だな。

これからどんどんオフェリアを私に惚れさせて、私のものにしちゃうから、覚悟しておくんだよ……♡」

オフェリアから唇に優しくキスをされると、先ほどの余裕ある高貴な佇まいを崩し一際嬉しそうな笑顔を浮かべて彼女に声をかける。


やがて空間の境目を跨ぎ、通路を進むと3人は満足に寝られるであろう大きな寝台に最高級の羽毛を用いたシーツや布団が柔らかそうな質感を見せつける。

やがて彼女はゆっくり、そして優しくオフェリアを寝台に横にしてあげて自らは近くにあった椅子を側に寄せて腰かける。


ティフィア「いろいろ考えたけど、オフェリア君を私色に染めるのは明日からにしたいと思う。

君も……疲れただろう。

明日からは魔力が馴染むまで暫く、虚脱感だったり、ふらついたり……または魔力の暴発が起こりやすくなる。

でも、お姉さんがなんとかしてやるから安心してほしい。

まずは、ちゃんと眠って体力を戻すことだ」

彼女の頭を何度も優しく撫でて、あやすようにいい聞かせ微笑む。


ティフィア「さあ、目をつむって……うん、いい子だ♪

そのまま、ゆっくり睡魔の世界へ……♪

眠りながら…君の想い人の話を聞かせてくれ」

オフェリアの意識がぼんやりしてきたのを確認すると、ゆっくり囁くように小さな声で語りかけ初める。


ティフィア「……君の好きな人のことを考えて……そう、幸せだったろう?

彼女との日々で印象が強いシーンはどこかな……?

落ち着いて……ゆっくり……ぼんやりと思い出して……♪ 」

ーーーー

オフェリア「っ…// だ、だからちょーしに乗らないで…真なる意味で真祖になった私が…誰かの雌色に染められるとかない…から…//

もしティフィアやマサキとそういう関係になれたとしても…私が受け側じゃなくて 責める側よ…そこんところ覚えておきなさい…//」

私のお礼により…ティフィアは嬉しそうな表情を見せながら囁いてきて…

その表情と囁きに私は耳まで赤く染まる…

吸血鬼とのキスをそんな風に喜んでくれるのはティフィアと…

たぶん…マサキくらいなものよ…

真祖として嫌われてきたこともあり その反応は慣れないけど…こそばゆいものでもあった…

というか何で私が花嫁で可愛がられる側なのよ…私だって愛する人を可愛がったり…吸血したり自分のものに染めたい…

それに…自分が淫らに乱れる姿見られるとか…恥ずかしいじゃない…//


オフェリア「んっ…あ、ありがと…誰かに寝かせてもらうとか初体験だわ…。

ティフィア色に染まるかはともかく…気遣ってくれて…その…あり…がと…//

それと…その…しばらく迷惑をかけるわね…あっ…んんっ…あ、頭を撫でながら年上ぶるな…// でも…おとなしくそう…する…//」

ティフィアに優しく寝台に寝かせてもらえ、私は不思議な気分で彼女にお礼を言った…

だ、誰かにベッドに運んでもらった経験とか初めてだわ…おじいさんにマサキを助けてほしいとお願いされてから…私…誰かから温もりをもらってばっかりな気がする…。

ティフィアに頭を撫でられながら優しくされ…私はくすぐったくて少し反抗するも…

言葉とは裏腹に頭を撫でられるのを受け入れ…私は嬉しそうな恥ずかしそうな表情をする…

マサキが私に甘えたりしてくれる気持ちが…何となくわかった気がする…

姉がいたらこんなのだろうか…とか…甘やかされるのも…恥ずかしいけど…その温もりは幸せなものがあるから…。


オフェリア「んっ…ふ…ぁ…マサキ…のことを…眠り…ながら…?

そう…ね…1番は…マサキを取り戻すために戦ったあとの…彼女が見せた…涙のとこかしら…

こんな私でも誰かの力になれたんだって…嬉しかった…

彼女が『繋がり』を得た日でもあり…私も確かな『繋がり』を得た日でもあったから…。」

目を閉じてティフィアの声に耳を傾けながら、私は穏やかに…でも眠たそうな声であの日のマサキのことを語った…。

ーーーー

ティフィア「そうだね……♪君のおかげで……その子はそれまでの彼女から、新しい彼女に、いわば生まれ変わったわけだよ……。

また会えたら思いっきり甘やかしてあげなきゃだ……♪

ん。そうだ……よしよし♪

ゆっくりお休み……♪」

眠りに落ちたオフェリアの様子を見届けると、頬に軽くキスをして満足気な表情を浮かべる。

すやすやと寝息を立てる彼女は、かわいいことこの上ないが、褐色肌に金色に銀色メッシュという綺麗ではあるが派手な髪は欲情をかきたてる。

雄を食いまくり遊んでそうな雌といった外見をしながら、中身は清純そのまま。

お姉さんにふさわしい嫁へと改造のしがいがある。

色香溢れる肢体は雄が見たら、思わず前屈みになることは請け合いだろう。

今すぐ襲いたいところだけど、一気に味わってしまうのは勿体ない。


それに、マサキ、マサキと余程想い人のことを心にかけているのも気にかかる。

現時点でオフェリアの評価は、お姉さんよりマサキの方が上と見ていい。

これをまずは、マサキと同等のところまで持ち上げなければならない。

オフェリアに嫁になってもらうには、マサキを選ぶなんてことがあってはならないのだから。

2週間という短い時間の中で。

幸いオフェリアの性格はわかった。

お人好しで、冷たい素振りを見せつつも、信頼できる人や恩ある相手は無下にできない吸血鬼。


ティフィア「むむ………お姉さん、やる気が出てきたよ。

よし……ふっふっふ……♪」

寝息を立てるオフェリアを起こさないように部屋を退出すると、明日のための準備を行うために研究室に向かった。
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