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#50 否定的な彼は愛を尋ねる

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 ドンドン!

「おぉー~~いぃいい! 出て来いっつぅの‼」

 ドンドン‼

 声を荒げてトイレのドアを叩くのは縁司だ。
 中に逃亡したのは、勿論――長谷部である。

「嫌だ!」

「嫌だじゃねぇんだよっ! クソガキっっっっ‼」

「そーだよ! 俺がガキでっ、あンたは大人だっ!」

 海潮の店から意気揚々と長谷部を一人暮らしであるアパートに連れ込むことに成功はしたものの、少しキスをして、さて次へとなった時に突き飛ばされて、この有様だ。
 かれこれ30分間の言い合いに縁司も、周りへの迷惑に胆を冷やしている。
(つぅか! 実家に連れて行きゃあよかったなぁ!)
 決して厚くもない壁のアパート。どれだけ、この押し問答がダダ漏れなのか。
 通報されないかと言うのも現実味を帯びている。長谷部は18際未満の子供だ。
 最悪は買いで逮捕されかねないのは縁司なのは目に見えている。

 しかし、股間の熱が引かないのも事実。

(早くっ、このクソガキの孔に挿入いれてぇ♡)

 涎を服で拭い、中の馬鹿をどう出すかを考えている。
 どう言葉で攻めれば、この馬鹿が堕ちて股を開き孔を拡げるのか。
 甘えて涎を垂らし、その細い唇から喘ぎ声を啼かせ、名前を呼ばせたい。
 そして、そして――……

(は? そして、ってのは何だよ????)

 思考の先に縁司が硬直してしまう。
 こんな馬鹿に、どうしてそこまでのことを望むのか。
 年下の少年に心が乱されてしまっている。
 性欲の興奮の熱も、一向に下がらない。童貞ではないのにだ。
 
「縁司、さんン? ぃ、るの?」

 押し黙ってしまった縁司に中から長谷部も不安な声を漏らした。
 聞えていたのだが、縁司は口をつぐんだまま聞いていたのだが、返事がないことに中から、カチン! 鍵が廻る音と開く音が鼓膜に聞こえた。

「縁っじ――……っつ!?」

 出て来たじゃ長谷部を勢いよく縁司も抱き締めた。
 
「っちょおぉ゛お゛っ‼」

「好きだっつったらヤらせてくれんのかよ????」

「……はァあ?」

「この責任を取ってくれんのかって話だよ!」

「はぁあ? ……ぅお! っちょ、ぁああァンたっさぁああ?!」

 長谷部の太ももに縁司の張った茎が当たる。
 パンツの上からでも分かる硬さと熱に長谷部の喉も鳴る。
(おおおお、俺なんかでこここ、こんなになってんの?! っは、ははは! 馬鹿じゃんっ)
 心臓がバクバクと鳴る。身体も硬直して動けず、縁司を押し退かす真似も出来ない。
 されるがままに手も添える程度の力もない。

(好きって何だよ……ヤりたいってのは俺の孔を掘りたいってこと????)

 この熱く堅い茎を、孔に挿入させる真似を許せと、許可しろと縁司が求めている。

 たぎる茎に長谷部も息を飲んだ。
「あンたなら、もっといい人が、ぃるって…なぁ?」
 言葉を選びながら長谷部は縁司に言う。

「いい男も、女もいるんだろう? 大学にゃあさぁー~~w」

 許可ではなく拒絶の言葉に縁司も「いないっ!」力強く長谷部を床に押しつけた。

 ダン! 

 顔が床に当たり、長谷部も痛みに表情を歪めた。
「ぁ、っだ!」
「ガキんちょのくせにっ!」
「っちょ! 縁司さんンん????」
「とっととっ、挿入させろよっ!」
 ベルトを外し茎を抜き取り縁司は軽く上下に扱く。
 粘りのある音が耳に聞こえた長谷部も暴れ出した。

「ゃ、だって! 縁司さん! 縁司さんっ! 縁司さんンん‼」

「~~~っつ! 何でだよっ!」

 暴れる長谷部の頭の髪を掴み、強引に顔を向かせた。
 
「れ、恋愛がしたいんだよ! 俺ぁ!」

「……は?」

 思いもしない長谷部の言葉に髪から手を離したところで、長谷部も身体を一気に後退させた。
 肩で息を大きく吐き。長谷部は縁司を睨みつけた。

「俺だって、あンたが好きだ!」

「両想いじゃんかw」

「身体からなんて、……ぃやだよぉう。俺ぁ、ビッチじゃねぇんだぞぉう」

 ◆

「ぁうぅうう」

「何? やっぱり、切れちゃってるかい?」

「や! っち、違うよ!? うんっ!」

 激しい嵐の後で2人は浴槽に浸かっていた。
 快適な広さがあり手足も伸ばせるのだが、しっかりと竜司を扇が抱え込んでいる。
 ちゅっと竜司の背中に扇もキスをする。
「っひゃ! ぉお扇君ンんん????」
「何? いいでしょ、誰もいないんだからさ」
「は、はぃいぃ~~」
 竜司は動悸息切れが止まらない。
 恋愛はしたことのない42歳の男が、恋愛期間を無視して、まさかの男同士のSEXを味わった後での恋人未満な関係での浴槽内。胸中は複雑な想いで溢れかえっている。

 初めは身代わりから始まった。

「ぁ、あのね。扇君」

 弟のママ活に巻き込まれての出会い。
 ママ活さえ弟がしなければ、なかった出会いだ。

「ぅん~~何かなぁw」

 途中、弟の変わったことに扇は気づいていないだろう。
 年齢が違っても、顔は一卵性に近いのだから。

「本当に、ぼぼぼ、僕なんかでよかったのかい?」

 複雑なのは拭いきれない。
 騙したことを黙っているのだから。
 いつ、バレてしまうのか。知ってしまうのか。

「ぉ、弟なんかよりもおじさんで冴えないし、……カッコイイ訳でもないし。何よりも、君よりも年上なんだよ?」

 きちんとした関係を築く前に、繋がってしまったことに後悔しかない。
 若い扇の勢いと、熱に押されて成しずくしに受け入れてしまった。
 決して、嫌ではなかったSEX。心が満たされて幸せの絶頂感に竜司も複雑だ。
 だから、否定的な言葉が唇から次いでてしまう。
 扇にぶつけてしまうことが止められない。

「きっと。君は後悔をするんだよ」
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