私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

文字の大きさ
40 / 278
第2章 王都へ

86 マール町⑦

しおりを挟む
 神父様についてしばらく歩くと、神父様が一つの扉の前でとまる。

「こちらが、神官長の部屋になります」

神父様は私たちにそう伝えると、扉を叩く。

コンコンコン

「はい」
「フェビラル様と王立魔法学校の入学予定の子供たち、その護衛のものをお連れしました」
「フェビラル様をっ⁉️は、早く入ってもらいなさいっ」

部屋の中から慌てた様子の声が聞こえる。
神父様が扉を開けると、一人の男性が椅子から立ち上がって、こちらをと言うか、フェ様を凝視していた。
あの人がグラッド神官長様なのかな?
リードの言う通り、グラッド神官長様は少し太っていて、椅子から立ち上がったとき、体がぷるんっと震えるのが見えた。

「フェビラル様、昨夜はゆっくり眠ることは出来ましたか?」
「うむ」
「それはよろしゅうございました。ささっ。今お茶を持ってこさせますので、お座りになって下さい 」

私たちのことは眼中にないようで、ひたすらフェ様に話しかけている。
フェ様は顔をひきつらせているのに、気づいてないのかな?

「いや。お茶は出さずとも良い。私たちは別れの挨拶を言いにきたんだ」
「えっ⁉️もうですか?せ、せめてお茶だけでも」 
「出発の時間があるのでな。さっ、みんな横に並んで」

フェ様は席に座るのを固辞すると、私たちを一列に並べる。
このままここで挨拶するのかな?
その間も、グラッド神官長様は必死で引き留めようと、色々と話しかけているけど、全く効果がないみたい。

「では、世話になったな」
「「「「ありがとうございました」」」」
「ふぇ、フェビラル様~~っ!!」

グラッド神官長様の懇願は最後までフェ様に聞き入れられることなく、私たちはフェ様に急き立てられるように、教会をあとにする。
グラッド神官長様は馬車にまでついてこようとしてたけど、神父様たちに引き留められ、それは叶わなかった。


「あの神官長は野心が強くていかん。私に媚を売っても何にもならんのだかなぁ」

馬車の中でフェ様はそう言って、一つ大きなため息を吐くのだった。

停留所に着くと、ロンさんとフェリシアは昨日別れた場所で私たちを待っていた。

「「「「おはようございます」」」」
「おう。おはよう」
「クルルル」

みんなでロンさんとフェリシアに挨拶をする。

「ロンさん、おはよう。フェリシアの準備は万全かい?」
「おはよう。フェリシアはいつでも大丈夫だ。荷物を運び込んだら、早速出発するか?」
「頼むよ。今日の経路に変更は?」
「特にないな」

アランさんたちとロンさんは早速今日の予定を話し始める。
その間私たちは何もすることがないので、ロンさんに一言声をかけ、フェリシアと触れ合うことにした。

「ね。フェリシアは怖くないでしょ?」
「すべすべで気持ち良いよな?」
「「うんっ」」

アミーちゃんとキャシーちゃんは、昨日一日フェリシアと接したことで、怖さが和らいだのか、最初は恐々触っていたけど、最後にはフェリシアの感触を楽しむことができるまでになっていた。

「本当にスベスベなのね」
「わたし、もっとゴツゴツしてるのかと思ってた」
「それだけじゃないんだよ!鱗は柔らかくって、ほのかに暖かいし。何よりフェリシアのあの金の瞳と長いまつげ!とっても素敵だと思うんだ!」

ふふふ。アミーちゃんたちもこれで竜好きの一員だね!
嬉しくって、私が思うフェリシアの素敵な部分をアミーちゃんとキャシーちゃんに伝える。

「に"っ」
「あっ!違う、違うのっ!マーブルも大好きだよ!」
「にー?」

私があまりにもフェリシアを褒めまくったからか、途端にマーブルの機嫌が悪くなる。
私はポシェットの中にいるマーブルに向かって大好きだと伝えるけれど、マーブルは不審げにこちらを見ているだけで、機嫌が良くなる気配が全くない。

「マーブルの魅力は白くてフワフワの毛や、小さくて柔らかい体だから!」

マーブルの機嫌を治すため、マーブルの魅力を必死で訴える。
そんな私の様子をみんながポカンとしながら見ていた。


『俺知ってるぜ!こういうのって人の世では浮気って言うんだろ?』
「あんた何やってんの?」

うううっ。リードの言葉やキャシーちゃんの呆れた目が心に突き刺さります。
マーブルの目の前で、フェリシアのことを誉めるのは程々にしようと心に誓った。

しおりを挟む
感想 264

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。