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第2章 王都へ

119 探索

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コンコン

「はっ!」

いつのまにか制服のまま眠ってしまっていたらしく、扉を叩く音で目を覚ます。
一瞬どこにいるのかわからなくって戸惑うけど、マーブルが私の枕の横で気持ち良さそうに寝ているのを見て落ち着くことができた。

「そうだ。私、マリアさんが出ていった後、寝ちゃってたんだ」

思い出したのと同時に、マリアさんのあの笑っているのに目が笑っていない表情を思い出して、体が震える。
もう絶対、マリアさんに年齢の話なんてしないっ。
心に誓っていると、扉の外からアミーちゃんの声がする。

「サラちゃん、いないの?」
「あっ!いるよっ!」

どうやら、アミーちゃんのノックの音で目が覚めたみたいだ。
制服がシワになっていないか姿見で確認するけれど、意外なことに恐れていたシワは全く無かった。
普通ならシワになりそうなのにな。
気になったけれど、アミーちゃん待たせるわけには行かないので、慌てて扉に向かう。

「待たせちゃって、ごめんね」

扉を開けると、キャシーちゃんも一緒に扉の前にいた。
二人とも制服を着ていて、よく似合っている。

「ふぁーっ!二人とも似合ってるね!」

アミーちゃんは元々美人さんだから、何でも似合うけれど、制服は背の高いアミーちゃんには格別に似合っていた。キャシーちゃんはお姫様みたいでとっても可愛いし、二人の制服姿にテンションが上がる。

「ふふん!私に似合うのは当然だから!」
「サラちゃんも似合ってるわよ!」
「ありがとう」

アミーちゃんに褒めてもらえて嬉しいなっ。
でも、残念ながら私は可もなく不可もなくな感じで、決して二人ほど似合っているとは言えない。
こういう時、お母さんに似ていたらなぁと考えてしまう。
無い物ねだりしても仕方がないんたけどね。

「ねぇ、せっかくだから探索しに行かない?」
「探索?」
「そう!食堂とか自習室とか見に行かない?ほら、ご飯の前に場所を把握した方が、慌てなくて良いでしょ?」
「それに、ハルに会えるかもしれないしね」
「そ、そんなつもりじゃないもん」

キャシーちゃんは顔を赤くしたのを見せたくないのか、そっぽを向く。
そんなキャシーちゃんの代わりにアミーちゃんが教えてくれる。

「早くハルに制服を見せたくって仕方がないみたいなの。一階にいればハルが下りてくるかもって期待してるのよ」

そうなんだっ。ふふっ、キャシーちゃんは可愛いなぁ。

「いいよ。楽しそうだから、行こっか!」

マーブルは抱き上げても目を覚ますことなく、気持ち良さそうに寝ていたので、そっとポシェットに入れると三人で部屋を出る。
一階に下りて寮母室の前を通る時はドキドキしたけど、マリアさんはまだ帰ってきていないのか、人の気配がしなかった。

「地図によるとここが食堂のはず」

みんなで少しだけ扉を開いて中を見ると、視界いっぱいに机やら椅子やらが見える。

「すごく広そうだね」
「でも、まだ誰もいないみたいよ」

時間がまだ早いからか、誰も座っている様子はないけれど、どこからか調理の音が聞こえてくる。
もう少し扉を開いて見ると、厨房が見えて料理人が忙しそうに調理していた。
さすがに足を踏み入れるのには勇気が必要だったので、自習室に向かうことにする。

「先輩とかいるかしら?」
「その場合、挨拶した方が良いのかなぁ?」
「でも、自習室でしょ?無駄話は厳禁って書いてあったわよ」

三人で喋りながら自習室に向かう途中でハル君が前からやって来る。

「ハル君っ!」
「あ、キャシー」

キャシーちゃんはハル君に駆け寄ると目の前で立ち止まり、スカートの両端をつまんで、「似合う?」と可愛らしく首をかしげる。

「お、おうっ!似合ってるぜ」

ハル君は顔を赤らめながらも褒めると、キャシーちゃんはすごく嬉しそうだった。

「ありがとうっ。ハル君も似合ってるよ!」

ハル君も制服を着ていて、ヒューイ先輩と同じように白いシャツに水色の半ズボンを着ていた。
ヒューイ先輩と違うのは紐タイの色で、私たちと同じ水色だったのと、水色のローブを身にまとっていた。

「わたしたちは今から自習室を見に行こうとしてたんだけど、ハルくんも一緒に行かない?」
「行くっ!」

私たちは何時ものメンバーで自習室に向かう事にした。


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誤:さすがに足を踏み入れるのには《勇気がいた》ので、
正:さすがに足を踏み入れるのには《勇気が必要だった》ので、
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