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第4章 王立魔法学校一年目

258 スピカの主は?

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少し育て方を間違ってしまったかもしれない。
召喚獣に頭を下げさせたままの状態で、クッションでふんぞり返って召喚獣達になにやら「にゃごにゃご」とお説教を始めたマーブルをみて頭を抱える。
だけど、レイラちゃんからのお礼の言葉や、スピカの姿を見て思い直す。
先程までハル君が注意しても全く言うことを聞かなかったスピカが、マーブルに叱られた後は、ハル君の言うことを聞いて、大人しくお座りまでしているのだ。
そう考えれば、悪いことばかりじゃないかも。

「にーっ!!」
「わおーんっ」
「ケ、ケーン」
「「ピチュッ」」
「ぷぷっ」

マーブルによるお説教は終わったようだ。
マーブルの号令で、召喚獣達が頭を上げて元の場所に戻っていく。
先程までクッションにいた召喚獣達だけは、クッションとマーブルを見比べて、どうしようかと悩んでいるようだったので、マーブルに「仲良くね」と声をかけることにした。
マーブルは「にゃん」とかわいらしい声で返事してくれた後、二の足を踏んでいた召喚獣達をクッションに誘う。
おずおずとした様子ながら、素直にクッションに戻った召喚獣達。
そんな召喚獣達にマーブルは毛づくろいをしてあげたり、自分のしっぽをソルテの枕にされて困っているリプカのために、風魔法でソルテをクッションのもとまで運んでやったりと、甲斐甲斐しくお世話をし始める。
その姿はまさに、ククル村で良く見たマーブルの姿そのものだ。
サークル内が平穏を取り戻したところで、はっと我に返ったモニカ先生の号令で、授業が始まった。
マーブルが目を光らせてくれたおかげか、召喚獣達は大人しく遊んでくれたので、授業に集中することができた。
授業の後でモニカ先生が「契約したばかりの召喚獣達がこんなに大人しくしているなんて」とすごく驚いていたのが印象的でした。

◇◇◇

午後最初の授業は召喚学だ。
マーブルは召喚学なら一緒に授業を受けることができると楽しそうだ。

「なんだか、すっかり大人しくなったなぁ」
「わ、わふんっ」

スピカは大人しくリードを付けられ、テコテコとハル君の歩調に会わせて歩いている。
時折、マーブルの方をチラチラと見上げるのは、先程のマーブルの一喝のせいだろうか。
「あたし、良い子にしてるよっ」と目が必死に訴えているようだった。
そんなスピカに向かって、マーブルが肯定するように力強く頷く。
すると、スピカの目がキラキラと輝きだした。

「わふ♪わふ♪」

先程とは打って変わって、楽し気に歩き出すスピカを見て、ハル君は「よかったな」とニコニコ顔だ。
だけど、ニコニコ顔のハル君に、しっかりしなさいとばかりに放ったアミーちゃんの言葉は、「マーブルとハル、どっちがスピカの主かわからないわね」だった。

……ハル君、なんかごめんね。やっぱり、マーブルにはもう少しほどほどにするようにと言っておくよ。

笑顔のまま固まったハル君を見て、わたしは反省するのだった。



‐‐‐

おまけ

「スピカ!俺がお前の契約主だからなっ」
「わふ?」
必死にスピカに訴えかけるハルに、首をかしげるスピカ。
「そこで首を傾げちゃだめだろうっ」
ハルはその場でがくりと崩れ落ちるのだった。




---
2/10 名前の訂正です。
誤:《リプカ》は大人しくリードを付けられ、テコテコとハル君の歩調に会わせて歩いている。
正:《スピカ》は大人しくリードを付けられ、テコテコとハル君の歩調に会わせて歩いている。

9/28 名前の訂正です。
誤:先程とは打って変わって、楽し気に歩き出す《ソルテ》を見て
正:先程とは~、楽し気に歩き出す《スピカ》を見て
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