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第4章 王立魔法学校一年目
257 自重
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マーブルがテコテコとクッションに向かうと、クッションでくつろいでいた召喚獣達がどうぞどうぞと言うように、一斉にその場を離れた。
マーブルは誰もいなくなったクッションにピョンと飛び乗った後、固まる召喚獣達に「にゃふっ!」と一鳴き。
その姿はまさに精霊王の貫禄!
……まあ、姿は猫なんだけどね。
呆気にとられる私達をよそに、召喚獣達はマーブルの一鳴きで一斉に頭を下げた。
柵に掴まっていたマカロンとシフォンのような鳥型の召喚獣達も慌てて下に降りると、羽を広げて頭を下げる。
なんだかカーテシーをしているみたい。
スラちゃんに関しては、頭がどこになるのかよくわからないんだけど、きれいな雫の形から、べしゃっとつぶれた姿に……、その姿はまんま水溜まりのようだった。
多分あれで頭を下げている状態なのかな?
「スラちゃんって、あんなに平たくなれるのねぇ」
エミリちゃんがスラちゃんをまじまじと見て、感心したように言った言葉が印象的だった。
マーブルはこれらすべてを平然と受け止めていた。
さすが精霊王様。かしずかれることに慣れていらっしゃる。
この間の召喚学での一幕と言い、マーブルは着々と伝説を築き上げているようだ。
って、感心している場合じゃない。
できればこの光景から目をそらしたいところだ。でも、残念ながらこんな大勢の前で堂々と繰り広げられた出来事を無視することはできないわけで。
しんとした教室の中で、クラスのみんなの様子を恐る恐る伺うと、マーブルのやらかしに慣れているアミーちゃん達以外の全員がぽかんとした様子でマーブルと召喚獣達のやり取りを眺めていた。
モニカ先生はさすがにすぐに我に返ったのだけど、「あれは本当に猫なのか?いや、しかし……」と何やら考え込んだ後、「レベッカ先生に一度マーブルを調べてもらった方がいい」と真剣な眼差しで言われてしまった。
「マ、マーブルは普通の猫なので、大丈夫です!!」
モニカ先生に向かって、必死にマーブルはただの猫だと説明をする。
アミーちゃんも一緒になってモニカ先生を説得してくれたので、なんとかレベッカ先生調べてもらうと言う話はなくなった。
よ、よかったぁ。でも、マーブルにはもう少し自重をしてもらわないと!
「にーにゃん、にゃにゃにゃにゃーんっ」
「わ、わふっ」
「「ピチピチュッ」」
「ニャッ」
「ワンッ」
「ホーホー」
そんな私の苦労も知らず、マーブルはなにやらサークル内にいる召喚獣に懇々と話しかけていた。
召喚獣達はマーブルの話を神妙な面持ちで聞いた後、わかったと言うように返事をする。
マーブルは満足げに頷いた後、私を振り返り、「僕、頑張ったでしょう!」と言わんばかりの表情で見てくる。
どうやら、先程の私のお願いを叶えようと張り切った結果、こうなってしまったようだ。
……自重しないといけないのは私も同じのようだ。
「あ、あのっ」
「どうしたの?」
がっくりと肩を落としていると、立ち直ったレイラちゃんから珍しく声をかけられる。
レイラちゃんはしばらく、スカートの裾をもじもじとつまんだ後、やっと聞こえるか聞こえないほどの声で「ありがとう」と呟いた。
「え?」
「だから、ありがとうって言ったの!!」
顔を真っ赤にしてそう言うレイラちゃんは普段の冷静な態度と相まって、とてもかわいらしかった。
レイラちゃんは恥ずかしかったのか、すぐに踵を返して行ってしまったけれど、それでもレイラちゃんとの距離が少し近くなったような気がして、すごくうれしかった。
えへへっ。あとで、マーブルにお礼を言おう。
私は先ほどまで自重しないとと思っていたことをすっかり忘れ、うれしさに頬を緩ませるのだった。
あ!ちなみにソルテだけはそんな騒動の中でも、リプカのしっぽを枕に、気持ち良さそうに眠っていた。
まったく起きる気配もないソルテは将来大物になりそうだ。
そして、困惑しつつも素直にしっぽを差し出すリプカは、苦労人ならぬ苦労狐になりそうだ。
マーブルは誰もいなくなったクッションにピョンと飛び乗った後、固まる召喚獣達に「にゃふっ!」と一鳴き。
その姿はまさに精霊王の貫禄!
……まあ、姿は猫なんだけどね。
呆気にとられる私達をよそに、召喚獣達はマーブルの一鳴きで一斉に頭を下げた。
柵に掴まっていたマカロンとシフォンのような鳥型の召喚獣達も慌てて下に降りると、羽を広げて頭を下げる。
なんだかカーテシーをしているみたい。
スラちゃんに関しては、頭がどこになるのかよくわからないんだけど、きれいな雫の形から、べしゃっとつぶれた姿に……、その姿はまんま水溜まりのようだった。
多分あれで頭を下げている状態なのかな?
「スラちゃんって、あんなに平たくなれるのねぇ」
エミリちゃんがスラちゃんをまじまじと見て、感心したように言った言葉が印象的だった。
マーブルはこれらすべてを平然と受け止めていた。
さすが精霊王様。かしずかれることに慣れていらっしゃる。
この間の召喚学での一幕と言い、マーブルは着々と伝説を築き上げているようだ。
って、感心している場合じゃない。
できればこの光景から目をそらしたいところだ。でも、残念ながらこんな大勢の前で堂々と繰り広げられた出来事を無視することはできないわけで。
しんとした教室の中で、クラスのみんなの様子を恐る恐る伺うと、マーブルのやらかしに慣れているアミーちゃん達以外の全員がぽかんとした様子でマーブルと召喚獣達のやり取りを眺めていた。
モニカ先生はさすがにすぐに我に返ったのだけど、「あれは本当に猫なのか?いや、しかし……」と何やら考え込んだ後、「レベッカ先生に一度マーブルを調べてもらった方がいい」と真剣な眼差しで言われてしまった。
「マ、マーブルは普通の猫なので、大丈夫です!!」
モニカ先生に向かって、必死にマーブルはただの猫だと説明をする。
アミーちゃんも一緒になってモニカ先生を説得してくれたので、なんとかレベッカ先生調べてもらうと言う話はなくなった。
よ、よかったぁ。でも、マーブルにはもう少し自重をしてもらわないと!
「にーにゃん、にゃにゃにゃにゃーんっ」
「わ、わふっ」
「「ピチピチュッ」」
「ニャッ」
「ワンッ」
「ホーホー」
そんな私の苦労も知らず、マーブルはなにやらサークル内にいる召喚獣に懇々と話しかけていた。
召喚獣達はマーブルの話を神妙な面持ちで聞いた後、わかったと言うように返事をする。
マーブルは満足げに頷いた後、私を振り返り、「僕、頑張ったでしょう!」と言わんばかりの表情で見てくる。
どうやら、先程の私のお願いを叶えようと張り切った結果、こうなってしまったようだ。
……自重しないといけないのは私も同じのようだ。
「あ、あのっ」
「どうしたの?」
がっくりと肩を落としていると、立ち直ったレイラちゃんから珍しく声をかけられる。
レイラちゃんはしばらく、スカートの裾をもじもじとつまんだ後、やっと聞こえるか聞こえないほどの声で「ありがとう」と呟いた。
「え?」
「だから、ありがとうって言ったの!!」
顔を真っ赤にしてそう言うレイラちゃんは普段の冷静な態度と相まって、とてもかわいらしかった。
レイラちゃんは恥ずかしかったのか、すぐに踵を返して行ってしまったけれど、それでもレイラちゃんとの距離が少し近くなったような気がして、すごくうれしかった。
えへへっ。あとで、マーブルにお礼を言おう。
私は先ほどまで自重しないとと思っていたことをすっかり忘れ、うれしさに頬を緩ませるのだった。
あ!ちなみにソルテだけはそんな騒動の中でも、リプカのしっぽを枕に、気持ち良さそうに眠っていた。
まったく起きる気配もないソルテは将来大物になりそうだ。
そして、困惑しつつも素直にしっぽを差し出すリプカは、苦労人ならぬ苦労狐になりそうだ。
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