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各キャラパート
サファイアルート 2
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「あひゃひゃひゃひゃ…!!・・・」
私のすぐ隣でばか笑いするおやじをギロリと睨む。その瞬間、ピタリと不自然なくらいおやじの動きが止まった。
【邪眼】
見つめた相手を【沈黙】【痙攣】【睡眠】等にする私唯一の状態異常技。
ちなみにオニキスはこれに【毒状態】【石化】が加わった【魔眼】が使える。
私だって一般人に使うつもりはなかった。でも、だ。
(ツバがっ…!私のパスタに大量の唾が飛んでたんだよっ!もう食べられないじゃん!!!)
正直、話しかけられた時から気になっていた。しかし、笑い始めて完全にアウトな量が私のお皿に降りかかったのを見た瞬間、プツンときた。
食べ物の怨みは深い。好物ならば尚更だ。
「第一、ここは皆が楽しく食事をする場なのだよ!あなたのような~~~、あれ?」
サファイアが相手の無反応を不思議に思っている間に、ゆっくりと立ち上がる。
「あぁ、リディア!君は座っていたまえ!ここは僕が…」
大袈裟な手振りで私を制止しようとするサファイアを【邪眼】発動中のまま軽く睨つけた。
ピシリと固まって若干痙攣してるけど、まぁサファイアなら多少状態異常になっても問題ないだろう。腐っても元魔王討伐メンバーだ。
固まったままのおやじの首根っこを摘まんで、【邪眼】を解除し周りの人達にニコリと笑いかける。
「お騒がせしました。この人はなんとかするので、どうぞお気になさらず」
そのままスタスタと店の外へ向かう。
「あ、あのっお客様っ!」
あわあわと申し訳なさそうにする店員さんにも、笑顔は崩さない。
「災難でしたね。こちらはなんとかします。すみませんが、私の分はもう下げて頂いてお代はあそこで固まってる人からもらってください」
すると、騒ぎを聞き付けたのか、奥からコックさんが現れた。
「この度は大変ご迷惑をおかけしました!ほんのお詫びではございますが、この後お持ちする予定でした『カップル限定ラブラブ分けっこスペシャルパフェ』を無料でご提供させて頂きます」
すると、痺れた状態のサファイアがぎこちなく反応する。
「…ぱ、…パ…フェ、………」
あぁ、なるほど。私は満面の笑みでコックにこう返した。
「結構です~。お店の責任ではありませんのでどうぞお気遣いなく。それでは」
私は颯爽とおやじを引き連れ、店を後にするのだった。
サファイアに延々とお説教をくらい渋々帰る酔っぱらいを尻目に、ヒーロー気取りでパフェのあーんを要求されるなんて展開にはならずに済んだけど…。
(あぁ、美味しい食べ物もゆっくり楽しく食べられないだなんて…)
ヒロインに何も起こらない平和な日々は訪れない。その事実にがっくりくる。
ちなみにこの酔っぱらいおやじだが、路地で大人しく寝てもらうぐらいで済ませた。一時したら普通に目を覚ますだろう。
まぁ、酔い過ぎると金縛りにあったかのような感覚がフラッシュバックすることには、なるだろうけど。
そうして、サファイアとのデートイベを強制終了することに成功したのだった。
私のすぐ隣でばか笑いするおやじをギロリと睨む。その瞬間、ピタリと不自然なくらいおやじの動きが止まった。
【邪眼】
見つめた相手を【沈黙】【痙攣】【睡眠】等にする私唯一の状態異常技。
ちなみにオニキスはこれに【毒状態】【石化】が加わった【魔眼】が使える。
私だって一般人に使うつもりはなかった。でも、だ。
(ツバがっ…!私のパスタに大量の唾が飛んでたんだよっ!もう食べられないじゃん!!!)
正直、話しかけられた時から気になっていた。しかし、笑い始めて完全にアウトな量が私のお皿に降りかかったのを見た瞬間、プツンときた。
食べ物の怨みは深い。好物ならば尚更だ。
「第一、ここは皆が楽しく食事をする場なのだよ!あなたのような~~~、あれ?」
サファイアが相手の無反応を不思議に思っている間に、ゆっくりと立ち上がる。
「あぁ、リディア!君は座っていたまえ!ここは僕が…」
大袈裟な手振りで私を制止しようとするサファイアを【邪眼】発動中のまま軽く睨つけた。
ピシリと固まって若干痙攣してるけど、まぁサファイアなら多少状態異常になっても問題ないだろう。腐っても元魔王討伐メンバーだ。
固まったままのおやじの首根っこを摘まんで、【邪眼】を解除し周りの人達にニコリと笑いかける。
「お騒がせしました。この人はなんとかするので、どうぞお気になさらず」
そのままスタスタと店の外へ向かう。
「あ、あのっお客様っ!」
あわあわと申し訳なさそうにする店員さんにも、笑顔は崩さない。
「災難でしたね。こちらはなんとかします。すみませんが、私の分はもう下げて頂いてお代はあそこで固まってる人からもらってください」
すると、騒ぎを聞き付けたのか、奥からコックさんが現れた。
「この度は大変ご迷惑をおかけしました!ほんのお詫びではございますが、この後お持ちする予定でした『カップル限定ラブラブ分けっこスペシャルパフェ』を無料でご提供させて頂きます」
すると、痺れた状態のサファイアがぎこちなく反応する。
「…ぱ、…パ…フェ、………」
あぁ、なるほど。私は満面の笑みでコックにこう返した。
「結構です~。お店の責任ではありませんのでどうぞお気遣いなく。それでは」
私は颯爽とおやじを引き連れ、店を後にするのだった。
サファイアに延々とお説教をくらい渋々帰る酔っぱらいを尻目に、ヒーロー気取りでパフェのあーんを要求されるなんて展開にはならずに済んだけど…。
(あぁ、美味しい食べ物もゆっくり楽しく食べられないだなんて…)
ヒロインに何も起こらない平和な日々は訪れない。その事実にがっくりくる。
ちなみにこの酔っぱらいおやじだが、路地で大人しく寝てもらうぐらいで済ませた。一時したら普通に目を覚ますだろう。
まぁ、酔い過ぎると金縛りにあったかのような感覚がフラッシュバックすることには、なるだろうけど。
そうして、サファイアとのデートイベを強制終了することに成功したのだった。
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