冒険者から強制的に乙ゲーヒロイン!?~いえ、私の幸せはその中にはありませんっ!~

クリーム色

文字の大きさ
6 / 12
各キャラパート

サファイアルート 2

しおりを挟む
「あひゃひゃひゃひゃ…!!・・・」

私のすぐ隣でばか笑いするおやじをギロリと睨む。その瞬間、ピタリと不自然なくらいおやじの動きが止まった。

邪眼じゃがん

見つめた相手を【沈黙】【痙攣】【睡眠】等にする私唯一の状態異常技。
ちなみにオニキスはこれに【毒状態】【石化】が加わった【魔眼まがん】が使える。

私だって一般人に使うつもりはなかった。でも、だ。

(ツバがっ…!私のパスタに大量の唾が飛んでたんだよっ!もう食べられないじゃん!!!)

正直、話しかけられた時から気になっていた。しかし、笑い始めて完全にアウトな量が私のお皿に降りかかったのを見た瞬間、プツンときた。

食べ物の怨みは深い。好物ならば尚更だ。

「第一、ここは皆が楽しく食事をする場なのだよ!あなたのような~~~、あれ?」

サファイアが相手の無反応を不思議に思っている間に、ゆっくりと立ち上がる。

「あぁ、リディア!君は座っていたまえ!ここは僕が…」

大袈裟な手振りで私を制止しようとするサファイアを【邪眼】発動中のまま軽く睨つけた。

ピシリと固まって若干痙攣してるけど、まぁサファイアなら多少状態異常になっても問題ないだろう。腐っても元魔王討伐メンバーだ。

固まったままのおやじの首根っこを摘まんで、【邪眼】を解除し周りの人達にニコリと笑いかける。

「お騒がせしました。この人はなんとかするので、どうぞお気になさらず」

そのままスタスタと店の外へ向かう。

「あ、あのっお客様っ!」

あわあわと申し訳なさそうにする店員さんにも、笑顔は崩さない。

「災難でしたね。こちらはなんとかします。すみませんが、私の分はもう下げて頂いてお代はあそこで固まってる人からもらってください」

すると、騒ぎを聞き付けたのか、奥からコックさんが現れた。

「この度は大変ご迷惑をおかけしました!ほんのお詫びではございますが、この後お持ちする予定でした『カップル限定ラブラブ分けっこスペシャルパフェ』を無料でご提供させて頂きます」

すると、痺れた状態のサファイアがぎこちなく反応する。

「…ぱ、…パ…フェ、………」

あぁ、なるほど。私は満面の笑みでコックにこう返した。

「結構です~。お店の責任ではありませんのでどうぞお気遣いなく。それでは」

私は颯爽とおやじを引き連れ、店を後にするのだった。

サファイアに延々とお説教をくらい渋々帰る酔っぱらいを尻目に、ヒーロー気取りでパフェのあーんを要求されるなんて展開にはならずに済んだけど…。

(あぁ、美味しい食べ物もゆっくり楽しく食べられないだなんて…)

ヒロインに何も起こらない平和な日々は訪れない。その事実にがっくりくる。

ちなみにこの酔っぱらいおやじだが、路地で大人しく寝てもらうぐらいで済ませた。一時したら普通に目を覚ますだろう。
まぁ、酔い過ぎると金縛りにあったかのような感覚がフラッシュバックすることには、なるだろうけど。

そうして、サファイアとのデートイベを強制終了することに成功したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...