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気づいて、しまった(理人視点)

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 ひとつ、分かったことがある──ちゅ、と茉白の内腿にキスを落とし、優しく撫でただけで、大袈裟なくらいに感じてびくり、と跳ねる身体。
 茉白は──クチ感じるんじゃない。
 クチ感じる、ひと、なのだ。
 つまり、と──俺は組み敷いた茉白が、俺が与えた快楽によってトロトロになっているのを見下ろしながら、確信する。

(茉白は、……多分、全身が性感帯なんだ)

 うわぁ、となんだかよく分からない感情に頭を抱えたくなる。愛おしすぎて。
 同時に、どうしようもないほどに、嫉妬した。茉白の、過去の恋人たちに。

(どんなふうに、そいつらの前で乱れたのか)

 嫉妬で頭がどうにかなりそう、だった。
 つう、と脇腹を舌で舐める。

「ゃんっ、はぁ、ぁっ、あっ」

 ほとんど無意識だと思う。
 茉白は物欲しげに腰を揺らして、ただ甘い声で啼いた。

「茉白」

 はふはふ、と浅い息をしながら、こてんと茉白が首を傾げる。可愛すぎか。
 そのあどけない表情を──きちんと成人している女性に対して使うのは、どこか不適切かもしれないけれど、やたらと無垢な表情を見ていると、自分の悋気なんか薄っぺらいものに感じる。

「なぁ、に? 理人くん……」
「……いや」

 笑いかけて、臍の横にキス。

「ぁんっ!」

 また、びくりと反応する身体。
 俺は身体を起こして、ばさりと服を脱いでしまう。ひどく暑かった。

「ひゃあ!」

 茉白が恥ずかしがって、両手で顔を覆う。……いちいち純粋な反応に、胸がきゅんとなる。

「茉白」

 名前を呼んで、手をどかして──また、キスをした。
 触れるだけのキス。
 離れて、茉白の全身をじっと見つめた。
 真っ白な下着。
 総レースであしらわれた、ブラジャーと呼んでいいのか分からない代物に包まれた、茉白の可愛らしい乳房。
 つぷん、とその先端が勃っているのが分かるほどに、薄い布地。

「う、あ、あまり、見ないで」

 茉白はそう言ったあとに、はっとしたような顔をして「あ、でも、その、見たいなら」とモゴモゴと呟く。
 そうしながらも、太ももを重ねて隠そうとするから、さりげなく足に触れて開かせた。

「ひゃあっ」
「見せて、茉白。茉白の全部が見たい」
「うう……」

 真っ赤な顔で、きゅっとシーツを握る茉白。
 隠そうとしたのは、Tバックと呼べるのかすら、な下着。
 かろうじて、中央だけが透けない布地。けれど、あとは真っ白なレースと、細い細い紐状のレースで彩られているだけ。
 腰にはそのレース紐が、可愛らしくリボン結び……で、俺に解かれるのを待っている。

(どうやって解こう……)

 口でしたら、茉白は恥ずかしがるだろうか。いやでも恥ずかしがる茉白すごく可愛いし、と顔に目線をやると──茉白が、硬直していた。

「ま、茉白?」
「……っ、え、あの。そんな、おっき、……く? え? ていうか、そんな、そんな形」

 驚愕の目線で見つめるのは、俺のもうすっかり硬くなって茉白に入りたがっている、それで……いや、今日は挿れないけど。
 さすがに、見ず知らずの人間にもらったコンドームは使えない。

「入る……え? 入らない?」
「茉白、落ち着いて」

 よしよし、と頭を撫でた。

「今日はそこまで、しない」
「いえ、でも、あの、……人体に、入りますか? それが」

 そう口走ったあと、茉白はハッとしたように口をつぐむ。

「っ、あ、すみませ、はしたないことを……じゃない、理人くんはそんな女性が好きで」
「いや、それは誤解だけれど」
「誤解?」

 不思議そうに茉白は言うけれど、目線の先は未だに俺の股間で。
 見過ぎじゃないですか、茉白さん……。

「あの、茉白。もしかして、今までのひとより、大きい?」

 多少の自尊心をくすぐられながら、そんなことを聞く。デリカシーがないだろうか。
 茉白はふるふると首を振った──あ、なんか傷つく……と、思ってもみなかった言葉が、茉白から発された。

「いえ、私……初めて、なので。他の方の、その、それ、が……どんな大きさなのか、見たことがありません」

 息を飲んだ。
 ええと、聞き間違い……では、なくて?

「茉白……っ、もしかしたら、失礼なことを聞いているのかもしれないけれど」
「? はい」
「しょ、じょ?」
「……はい」

 恥ずかしげに、茉白は目の縁を紅く染める。──それから、はっと顔を青くした。

「……っ、処女、めんどくさいですか!?」
「全くない! 全然大丈夫! 落ち着いて!」
「良かったぁ」

 ほっ、としたように茉白は頬を緩める。
 俺は半ば戦慄していた──こんな「感じやすい」女の子が、今まで誰の毒牙にもかからずいられた奇跡に。

(神様!)

 信じてもない神に感謝を捧げる。
 そんな俺を見つめながら、茉白は言葉を続けた。

「あの、だから、他の方のは分からないんですけど」

 茉白は、興味深そうに手を伸ばす。
 たおやかな指が、先端に触れて。

「濡れ、てる?」

 びっくりしたように、茉白がくちゅくちゅと先端を指先でいじる。
 あああやめてくれ茉白さん!

「……っ、茉白、その」
「男の方も、濡れるんですね」
「まぁ、そう、……ですね、ハイ」

 先端の、傘の部分を興味深げに、茉白はつまむ。

「……っ!」
「ひゃ、ごめんなさい、痛かったですか?」

 眉を下げて、茉白は謝る。

「……痛くはない、から」

 茉白のその手を、下まで誘導して、握らせた。……背徳感。なんだか背徳感がすごい。

「……ちょっと、擦って」

 茉白の小さな手を上から握って、ゆっくり、と擦り上げる。

(あ、ヤバイ)

 もう、だ。もう、イきそうになってる。
 好きな女の子の手で、されてるだけなのに──と、茉白はやたらと真剣な顔をしている。

「茉白?」
「あ、その……覚えますっ」

 茉白は意気込んだ様子で俺に告げる。

「理人くんの、っ、握ったときのっ、好きな……手の強さ」

 あっけなく陥落した残りの理性を、咎めることは誰にもできないはずだ。

「あっ、やぁっ、理人く、っ、あ……!」

 布越しに、茉白の乳房にむしゃぶりつく。くちゅりと先端を噛み、もう片方の手で揉みしだく。
 俺のから離れていく茉白の手。
 寂しいけれど、先に……茉白を気持ちよくしたい。
 乳房を上下に揺さぶるように揉み上げると、茉白の声の糖度が上がる。

「っ、あ、ん、っ、や……っ、理人くんっ、理人くんっ、待って、まってぇっ、なんか、なんか変なのっ、いやっ、ゃぁっ、ぁ、あ……っ!」

 茉白の腰が跳ね、俺の身体に押し付けられた。すっかり濡れ切ったそソコ。
 茉白はがくり、と身体から力を抜く。

「大丈夫か?」
「な、んか、……お腹と、あたま、がぶわって、……」

 半泣きで俺にそう、なんとか説明する茉白が愛おしい。
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