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第参話──九十九ノ段
【弐】目黒心中
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――お榮が探偵社を尋ねた翌日。
夕暮れ迫る事務所の長椅子で、居候のハルアキ少年と零が向き合っていた。
定時で上がろうとしていた桜子は、前掛けを畳みながらそちらに目を遣る。
ハルアキはニッカポッカに包まれた足を長椅子に乗せて胡座をかき、むしゃむしゃと饅頭を頬張りながら難しい顔をしていた。
「……九十九段の怪、と申したのだな?」
「はい。噂があるようですね。――竜睡楼には、幽霊が出ると」
「幽霊?」
怪談噺は嫌いではない。興味を引かれた桜子はハルアキの隣に腰を下ろし、テーブルの菓子器から饅頭を取った。
「お榮さん、やはり芸者さんでして。竜睡楼にも、お仕事で何度か行かれたそうです。その時に、先輩芸者に聞いた噂だそうなんですがね……」
――九十九段には、お陸の霊が出る。
「……お陸?」
桜子は首を傾げる。
「『目黒心中』をご存知ですか?」
「さぁ」
すると零は一枚の浮世絵をテーブルに置いた。
「歌舞伎の演目にもなっているんですがね。とある旗本の次男坊と岡場所の湯女の、悲恋の物語です――」
――それは、七代将軍家継公の御世の出来事。
平政という男と、お陸という女が恋に落ちた。
平政は武家の端くれ。一方、お陸は借金のカタに岡場所に売られた身である。
身分違いの色恋沙汰は御法度。
その上、平政に身請けする甲斐性もなければ、お陸も年季は到底終わらぬ。
悲嘆に暮れた二人は、荒屋で互いの喉を刺し心中する……。
「……と、ここまでが悲恋物語として歌舞伎になってます」
零の話に耳を傾けながら、桜子はテーブルの浮世絵を取り上げた。
「可哀想……本当に可哀想……」
目を潤ませる桜子に、冷たい目線を向けたのはハルアキである。
「おぬしは相変わらず単純だの」
言われた桜子は、小生意気な少年をキッと睨んだ。
「うるさいわね」
「まあまあ。……しかし、本当の目黒心中の噺は、そこで終わらないんですよ。怪談めいた後日談がありまして」
零も饅頭を手に取り、パクリとかぶり付く。
「問題は、二人が心中したその場所なんです――」
◇
――その日の昼下がり。
零は目黒川の川べりの粗末な茶屋で、茶を啜っていた。
一度、竜睡楼をよく見ておきたいと思ったのである。
川越し見える、黒々と茂る斜面に埋もれるように建つ建物群。
明治初期に建てられたそれは、海外からの来賓を迎えるための、贅を凝らした和建築だ。
その絢爛豪華な内装は、来賓ばかりでなく、この国の多くの文化人にも愛されている。
しかし……と、零は周囲を見渡す。
街道沿いのこの茶屋以外、あるのは田園風景ばかりである。
その中に佇む高級料亭は、明らかに異質だ。
なぜこのような場所に料亭を建てたのか。
今朝、彼は上野の図書館に行き、この地域の事、そして目黒心中について調べてきた。
目黒のこの辺りはかつて、将軍家の御鷹場だった地である。
鷹場とは、文字通り鷹狩りをする場所。武士にとって鷹狩りとは、狩りの腕を披露し武芸を示す、重要な行事だった。
現在、竜睡楼のあるこの小高い丘は、江戸の当時は鷹狩りの陣屋として使われていたそうだ。
ところが、五代将軍綱吉公の時代。
生類憐みの令により、鷹狩りが中止された。
陣屋として使われていた建物は放棄され、風雨に晒され荒屋と化した。
――そこを、平政とお陸は最期の場所に選んだのだ。
それは、幕府にとって忌避すべき事態だった。朽ちようが、かつては将軍様が陣を敷いた場所である。そこを血で汚すなど以ての外。
しかも、心中ときている。
当時、心中は重罪。来世で再会しようなどという甘い言葉で、若い命を散らす事が流行れば、世の風紀が乱れるためだ。
そのため、来世で逢瀬できぬようにと、平政の亡骸は海に捨てられ、お陸は鷹場の丘に捨て置かれた。
ところがこの情死事件を、当時の戯曲作家が物語にし、歌舞伎で上演されるや否や、それは大変な人気を集めた。
鬱屈とした世相に辟易していた人々が、来世への希望を見たのかもしれない。
その上、歌舞伎だけに留まらず、実際に心中する者も後を絶たなくなった。
『目黒心中』の現場である鷹場の丘は心中の名所となり、最期の場所に選ぶ者も数知れず。
幕府はそれを強く憂慮し、心中物の上演や執筆の禁止の御触れを出したほどだった。
そのため、この地で死を選んだ者は、弔いも埋葬もされず、無惨に捨て置かれたのである。
……あの丘は、そんな曰くのある場所なのだ。
華麗な料亭の佇まいとは相反する過去。
そのため、竜睡楼にお陸の幽霊が出るという噂も、戯言だと聞き流せないものがあるのだ。
「こんなところへ何の用だい?」
茶屋の古めかしい様子に相応しい店主の老婆が、曲がった腰を押さえながら団子を運んできた。
零は軽く頭を下げて受け取り、老婆に縁台の隣を示す。
「街中は息が詰まります。時々、こういう清々しい風景を見たくなるのです」
「そうかいそうかい」
老婆はよっこいしょと縁台に座り、目黒川に顔を向けた。
「それでも、そこの街道ができてから、ここも随分と変わったさ。ほら、あの洋建築の郵便局をご覧なされ。ここも、あっという間に街に飲み込まれるだろうよ」
「女将さんは、昔からこちらに?」
「そうさ。まだあの料亭がない頃から住んでるよ」
零は団子を手に取り、香ばしい香りに口を付けた。
「あの料亭ができる前は、あそこは誰も寄り付かない雑木林だったのさ」
「――幽霊が出るという噂があるとか」
勿論、零に当時の事を知る由はない。しかし、話の流れから、竜睡楼が建つ前から幽霊噺はあってもおかしくないと考えたのだ。
案の定、老婆は皺だらけの口を動かした。
「そうだよ。あの丘じゃ大勢が死んで、弔われもせずに放置されていてね。だから、夜な夜な啜り泣く声がするとか、お陸の霊が若い男を取って喰うとか、色々噂はあったよ」
「今でも?」
「いいや。あの料亭を建てる時に、見付かったお骨を集めて供養したらしい。裏の雑木林の中に、供養塔があるはずさ」
そこで零は引っ掛かった。――供養され、丘の怪異は収まったのではないのか。しかし……。
「今でも竜睡楼には、お陸さんの幽霊が出るという噂があると聞きましたが」
すると、老婆は目黒川から目を逸らした。
「さあね。ワシゃ、あんな高級料亭に行った事がないからね。……もういいかい」
その様子に、零は引っ掛かりを覚えた。だが、この老婆は明らかにそれ以上の事情を口にするのを拒んでいる。
席を立とうとする老婆を引き留めるため、零は団子を勧めた。そして、できるだけ気のない素振りを見せつつ笑顔を取り繕う。
「最後に、もうひとつ。――なぜこんな場所に料亭を作ったのか、ご存知ですか?」
老婆は無理矢理渡された団子を手に取り、欠けた歯でモグモグと頬張りながら答えた。
「都合がいいんだよ。――待合に」
老婆の視線を追う。
そこにあったのは、一艘の小舟。目黒川を下り、竜睡楼の目の前の桟橋にやって来ると、小舟から一組の男女が降り立った。
「ああやって舟で来るのさ。雑木林に囲まれた人気のない場所だろ? 鹿鳴館じゃできない密談の続きを、あそこでやったって話さ。……というのは、表向きでね」
舟を下りた男女は、寄り添うように竜睡楼の門へと消えて行く。老婆はそれを見送るように、深い皺の刻まれた目を細めた。
「どこぞのお偉いさんがたが、遊女や陰間を呼ぶ待合に使ってるとか、そんな話もあるね」
夕暮れ迫る事務所の長椅子で、居候のハルアキ少年と零が向き合っていた。
定時で上がろうとしていた桜子は、前掛けを畳みながらそちらに目を遣る。
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「……九十九段の怪、と申したのだな?」
「はい。噂があるようですね。――竜睡楼には、幽霊が出ると」
「幽霊?」
怪談噺は嫌いではない。興味を引かれた桜子はハルアキの隣に腰を下ろし、テーブルの菓子器から饅頭を取った。
「お榮さん、やはり芸者さんでして。竜睡楼にも、お仕事で何度か行かれたそうです。その時に、先輩芸者に聞いた噂だそうなんですがね……」
――九十九段には、お陸の霊が出る。
「……お陸?」
桜子は首を傾げる。
「『目黒心中』をご存知ですか?」
「さぁ」
すると零は一枚の浮世絵をテーブルに置いた。
「歌舞伎の演目にもなっているんですがね。とある旗本の次男坊と岡場所の湯女の、悲恋の物語です――」
――それは、七代将軍家継公の御世の出来事。
平政という男と、お陸という女が恋に落ちた。
平政は武家の端くれ。一方、お陸は借金のカタに岡場所に売られた身である。
身分違いの色恋沙汰は御法度。
その上、平政に身請けする甲斐性もなければ、お陸も年季は到底終わらぬ。
悲嘆に暮れた二人は、荒屋で互いの喉を刺し心中する……。
「……と、ここまでが悲恋物語として歌舞伎になってます」
零の話に耳を傾けながら、桜子はテーブルの浮世絵を取り上げた。
「可哀想……本当に可哀想……」
目を潤ませる桜子に、冷たい目線を向けたのはハルアキである。
「おぬしは相変わらず単純だの」
言われた桜子は、小生意気な少年をキッと睨んだ。
「うるさいわね」
「まあまあ。……しかし、本当の目黒心中の噺は、そこで終わらないんですよ。怪談めいた後日談がありまして」
零も饅頭を手に取り、パクリとかぶり付く。
「問題は、二人が心中したその場所なんです――」
◇
――その日の昼下がり。
零は目黒川の川べりの粗末な茶屋で、茶を啜っていた。
一度、竜睡楼をよく見ておきたいと思ったのである。
川越し見える、黒々と茂る斜面に埋もれるように建つ建物群。
明治初期に建てられたそれは、海外からの来賓を迎えるための、贅を凝らした和建築だ。
その絢爛豪華な内装は、来賓ばかりでなく、この国の多くの文化人にも愛されている。
しかし……と、零は周囲を見渡す。
街道沿いのこの茶屋以外、あるのは田園風景ばかりである。
その中に佇む高級料亭は、明らかに異質だ。
なぜこのような場所に料亭を建てたのか。
今朝、彼は上野の図書館に行き、この地域の事、そして目黒心中について調べてきた。
目黒のこの辺りはかつて、将軍家の御鷹場だった地である。
鷹場とは、文字通り鷹狩りをする場所。武士にとって鷹狩りとは、狩りの腕を披露し武芸を示す、重要な行事だった。
現在、竜睡楼のあるこの小高い丘は、江戸の当時は鷹狩りの陣屋として使われていたそうだ。
ところが、五代将軍綱吉公の時代。
生類憐みの令により、鷹狩りが中止された。
陣屋として使われていた建物は放棄され、風雨に晒され荒屋と化した。
――そこを、平政とお陸は最期の場所に選んだのだ。
それは、幕府にとって忌避すべき事態だった。朽ちようが、かつては将軍様が陣を敷いた場所である。そこを血で汚すなど以ての外。
しかも、心中ときている。
当時、心中は重罪。来世で再会しようなどという甘い言葉で、若い命を散らす事が流行れば、世の風紀が乱れるためだ。
そのため、来世で逢瀬できぬようにと、平政の亡骸は海に捨てられ、お陸は鷹場の丘に捨て置かれた。
ところがこの情死事件を、当時の戯曲作家が物語にし、歌舞伎で上演されるや否や、それは大変な人気を集めた。
鬱屈とした世相に辟易していた人々が、来世への希望を見たのかもしれない。
その上、歌舞伎だけに留まらず、実際に心中する者も後を絶たなくなった。
『目黒心中』の現場である鷹場の丘は心中の名所となり、最期の場所に選ぶ者も数知れず。
幕府はそれを強く憂慮し、心中物の上演や執筆の禁止の御触れを出したほどだった。
そのため、この地で死を選んだ者は、弔いも埋葬もされず、無惨に捨て置かれたのである。
……あの丘は、そんな曰くのある場所なのだ。
華麗な料亭の佇まいとは相反する過去。
そのため、竜睡楼にお陸の幽霊が出るという噂も、戯言だと聞き流せないものがあるのだ。
「こんなところへ何の用だい?」
茶屋の古めかしい様子に相応しい店主の老婆が、曲がった腰を押さえながら団子を運んできた。
零は軽く頭を下げて受け取り、老婆に縁台の隣を示す。
「街中は息が詰まります。時々、こういう清々しい風景を見たくなるのです」
「そうかいそうかい」
老婆はよっこいしょと縁台に座り、目黒川に顔を向けた。
「それでも、そこの街道ができてから、ここも随分と変わったさ。ほら、あの洋建築の郵便局をご覧なされ。ここも、あっという間に街に飲み込まれるだろうよ」
「女将さんは、昔からこちらに?」
「そうさ。まだあの料亭がない頃から住んでるよ」
零は団子を手に取り、香ばしい香りに口を付けた。
「あの料亭ができる前は、あそこは誰も寄り付かない雑木林だったのさ」
「――幽霊が出るという噂があるとか」
勿論、零に当時の事を知る由はない。しかし、話の流れから、竜睡楼が建つ前から幽霊噺はあってもおかしくないと考えたのだ。
案の定、老婆は皺だらけの口を動かした。
「そうだよ。あの丘じゃ大勢が死んで、弔われもせずに放置されていてね。だから、夜な夜な啜り泣く声がするとか、お陸の霊が若い男を取って喰うとか、色々噂はあったよ」
「今でも?」
「いいや。あの料亭を建てる時に、見付かったお骨を集めて供養したらしい。裏の雑木林の中に、供養塔があるはずさ」
そこで零は引っ掛かった。――供養され、丘の怪異は収まったのではないのか。しかし……。
「今でも竜睡楼には、お陸さんの幽霊が出るという噂があると聞きましたが」
すると、老婆は目黒川から目を逸らした。
「さあね。ワシゃ、あんな高級料亭に行った事がないからね。……もういいかい」
その様子に、零は引っ掛かりを覚えた。だが、この老婆は明らかにそれ以上の事情を口にするのを拒んでいる。
席を立とうとする老婆を引き留めるため、零は団子を勧めた。そして、できるだけ気のない素振りを見せつつ笑顔を取り繕う。
「最後に、もうひとつ。――なぜこんな場所に料亭を作ったのか、ご存知ですか?」
老婆は無理矢理渡された団子を手に取り、欠けた歯でモグモグと頬張りながら答えた。
「都合がいいんだよ。――待合に」
老婆の視線を追う。
そこにあったのは、一艘の小舟。目黒川を下り、竜睡楼の目の前の桟橋にやって来ると、小舟から一組の男女が降り立った。
「ああやって舟で来るのさ。雑木林に囲まれた人気のない場所だろ? 鹿鳴館じゃできない密談の続きを、あそこでやったって話さ。……というのは、表向きでね」
舟を下りた男女は、寄り添うように竜睡楼の門へと消えて行く。老婆はそれを見送るように、深い皺の刻まれた目を細めた。
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