アリスと兎

Neu(ノイ)

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一章:不良アリスとみなしご兎

欲求に基づく付き合いのススメ 04

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彼の目が反らされていく。

「出来ない? それなら、僕からしても良いよね?」

僕の勝手な解釈にも返事はなかった。


 ベッドの上で膝立ちになり、唇を寄せていく。
もう少しで唇と唇がぶつかる、というところで視点が反転した。
架に腕を取られ、ベッドに縫い付けられる。

「テメェは余程キスが好きなんだな。お望み通り俺からしてやるよ。どうなっても文句は言うな」
「ハハ、やっとその気になってくれた? 有住君ったら、積極的だね」
「余裕ぶっこいてられんのも今の内だ」

彼の口端が持ち上がり、悪戯な笑みが浮かんだ。
架の顔が段々と落ちてくる。
彼は瞼を綴じて近付いてきた。


 フッ、と息だけを吐いて笑う。
油断していた彼の体を突き飛ばし、床に倒れ込んだ架を逆に縫い付けた。
架の目が驚きに見開かれている。

「ゴメンね、有住君。気が変わった。僕が存分に可愛がってあげるから、大人しくしてて?」

耳元で囁き、だらしなく開かれたシャツの胸元のボタンを片手で留めていく。
止まらなくなっても困るので、最初に対処しておく。

「ふざけんのも大概に」
「今日は、キスしかしないから。暴れないでね、カケル」

言葉を遮り可愛らしく微笑む。
まだ何か言いかける口を唇で塞いだ。
軽く合わせるだけの接吻。
それでも、架の唇は心地良かった。




 抵抗しないと思ったのだが、架は激しく暴れ出した。
本気で怒らせると、後々厄介である。
今回は諦めて帰ることにした。
いつか架を奪うことを胸に誓い帰路に着いた。
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