恋文筆弁士の最後の交換日記

京間 みずき

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十五話 硬い恋のつぼみ

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ヤツメより、恋文を渡された文華は、健一と、ある約束し
 文華は、恋文を大事そうに、胸元で、両手で持ち、自分の部屋が有る二階迄、駆け上がる。
 まだ、ヤツメの懐の温もりを感じる恋文を、繁々と見つめ、ワクワクするその気持ちを抑える為に、「スゥー、ハァーー」大きく深呼吸し、ソォーと開封する。
 するとヤツメの文華への熱い想いが、溢れ出す。
 「墨の濃淡が、優しくて素敵」「この挿し絵も凄く綺麗」
 文華はそう言いながら、一文字、一文字を読み進める。

 ヤツメの書いた、その文字は、文華の心を優しく包み

 「嗚呼なんて素敵な恋文なの」

 いつもなら、感動の余りに涙する文華だが、ヤツメが描いた挿し絵が、目に焼き付くかの様に、 温かく寄り添う
 
 「一生の宝にしなきゃ」
 文華は何度も、何度も、この恋文を読み返す。

 彼女は、この恋文を見たその日より、無駄に涙を流す事が、無くなった。
 
 恋文筆弁士ヤツメは、自分の為に書いた恋文さえも、華麗に、しなやかに、そして優しく解決に導く


 一方ヤツメは、文華の家の前で、健一と言う少年に出会い、睨み付ける様な強い眼差しで、彼の、瞳の中の、真実を伺い知る。

 そう、ヤツメこの時に、純粋なる、恋のつぼみを見つける。

 「あのつぼみ」「尋常じゃ無く硬そうだった」

 
 「ヘェ~」「て、事は、恋する乙女なのあの子」

 「まぁ、そう言う事になるかな」

 「ウム、それが本当なら、私の様な、潤しき乙女には、興味が無いと言う事に、、、」

 「ミコト、、、」
 「恋する事には、反対しないが」「そもそも相手には、お前が見えて無いし、その艶ぼい、その声も聞こえ無い」「あきらめろ」
 

 「確かにね、ヤツメ様の言う通りダネ」
 「しかし、気になるのは、相手の男の子の方ね」「真実の健一君の事を知っているのかしら」

 「さぁな」「まだ何も聞いて無いからな、本人から」「だが、つぼみの具合から言って」「知らないと思う」
 
 「もし本当なら、厄介ね」

 三日後、文華と健一は、ヤツメの家を訪れる。

 健一は、幼少の頃より、自分と、他の友達との違いを感じていた。
 
 その事を、誰にも相談出来ず、真実の自分を押さえ込み、心を締め付け、息を殺す様に、日々を過ごしていた。

 「僕は、高校に入学して直ぐに、本当の自分と向き合いたと、強く思う様になりました」
 ちょうどその時に、歴史研究の副部長と出会う、
「君、一緒に歴史研究部に入って、歴史の教科書にも載っていない様な、、、」

 「副部長を見たその時に」「僕の心は、彼の事でいっぱいに」

 「自分でも、どうしたらいいか、わからない」

 「助けて来れませんか」「お願いです」
  
 それは、健一にとって、本当の自分を必死で、掴み取る為に、ヤツメに協力を依頼する物だった。


 全てを理解した、ヤツメだが、彼は首を横に振る。
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