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おうちでおしおきえっち♡
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しおりを挟む僕のアルバイト先はちょっとだけ普通じゃない。
かわいい男の子やきれいな男の子が、いろいろなコスチュームを着て接客するお仕事だ。
お店の名前は『jammed love』。
愛がたっぷり詰まったという意味を込め「じゃむらぶ」の通称で男性のみならず嗜好の凝ったお姉様方にも人気のカフェである。
簡単に言ってしまえばライトなメイドカフェのようなもので、それぞれのコスチュームを着たいわゆる”男の娘”が食べ物を運んだり、お客様とお喋りしたりするだけ。
たまに勘違いした客がお触りしてくることもあるけど、あんまり酷い人は速攻出禁になるので今のところ安心して続けられている。のだが。
「ゆきちゃん、これ8卓のお客様におねがい」
「えっ、あ……分かりました」
「どうかした? ……あぁ、やっぱり他の人に持ってってもらおうか…?」
「あっ、大丈夫です…!僕、行きます」
厨房の前の台に置いてあったパンケーキを手に取ると、窓際のテーブルへと近づいていく。
席に座って料理がくるのをじっと待っていた男性客は、僕が運んできたと分かると目を細めて笑ったように見えた。
というのも、この男性客、実はこの店に最近出入りするようになったのだが表情があまり変わらずいまいち何を考えているのか分からない。
いったい何が目的でこの店に通うようになったのかはっきりとは分からないが、確実に言えるのは僕はこの人がすごく苦手だということだ。
「…お待たせいたしました、旦那様。じゃむらぶ特性ハートのパンケーキでございます」
「ありがとう」
パンケーキではなく僕に視線を送る男性客は、見た目は30代前半くらいのサラリーマン風だ。ぱっと見、俳優でもいけそうな顔立ちとスタイルなのだが、どうにも僕を見る目が舐め回すようで嫌だった。理由はそれだけじゃない。
「……今日はいつもより短いスカートなんだね」
「ひゃっ」
さりげなさを装ってスカートの裾を触られる。太ももに触れた冷たい指先に鳥肌が立って、思わず小さく声をあげてしまった。
そう、これが僕の最近の悩み。
他にもっとかわいくてきれいな子だっているのに、どうして僕なんか…。
最初にお店に来ていた頃は料理を注文するだけだったのが視線を感じるようになり、話しかけられるようになり、次第にふとした瞬間に触られるようになった。
触られるといっても出禁にするほど大げさなものでもなく、もしかしたら偶然かもというようなさりげないものだった。
それも今では際どいところを触るようになりつつあるので、一応お店の方には話して経過観察という形になっている。
「あ、あの、旦那様っ、あまりそういった行為はなさらないよう、」
「うん……?」
「ぁっ、こ、こまりますっ」
注意している最中、裾をつまんでいた指が内側に移動してきて内股を撫でられる。
ついに本性を現したかとその手を拒んでみるも、やめる気がないのかむしろ上の方へとあがってきた。
手を払うこともできず下着に触られそうになったそのとき。
「っ、やめ、」
「旦那様ぁ、申し訳ございません!こちらのパンケーキ、別の旦那様のメッセージ付きだったみたいでぇ…」
「…………あぁ」
「新しくお持ちしましたので、どうぞこちらをお召し上がりくださぁい!」
「………………」
「ゆきちゃんてば、ほんとドジなんだから~!はい、これあちらの旦那様に持ってって!」
「あ、は、はいっ。申し訳ございませんでした…!」
パンケーキの乗ったお皿を渡され、そのままテーブルを離れる。その場は別の従業員のフォローで事なきを得た。
厨房に戻るとき恐る恐るさっきのテーブルに目を向けると、そこには新しく配膳されたパンケーキが残されたままで男性客の姿はなかった。
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