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第5話 王族式デートを期待してますわ
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今日が復讐の始まりの日。デートの代役という重要な使命を果たすため、セーナは面識のないレオと長い一日過ごす。
緊張していないと言えばウソ。
デートなど一度もした事がなく、心臓が今にも飛び出しそう。
レーナのためだから──何度も頭の中で繰り返し鼓動を沈めようとする。
待ち合わせ場所まであともう少し、時間より早く到着しそうでセーナは歩くスピードを遅めた。
「来てくれないかと思ったぜ。まぁ、俺様が誘ったんだから来ないはずわないけどな。でも……来てくれて本当に嬉しいんだからな?」
傲慢な態度がセーナの心に嫌悪感を抱かせる。
先ほどまでの鼓動は完全に消え去った。
やはり外道はどこまでも外道なのだろう。地獄へ落とすのが今から楽しみで仕方がない。
最高の美酒を味わうには、一度幸せの頂きに登らせる必要がある。
崇拝する姉のため、セーナは心の扉を閉じデートという戦いに備えた。
「あら、別に来なくてもよかったのよ? このまま帰ってもいいんですからね」
「そ、そんな冷たい事を言わないでくれよ、レーナ。俺様は今日という日を楽しみにしていたんだからな」
高圧的な態度と見せかけながらも、レオに焦り具合いが垣間見える。
ほんの少しだけイメージと違う仕草が、閉じたはずの扉を僅かに開かせようとする。
この程度で揺らいではいけない──根本は外道なのだ、崇拝するレーナを傷つけた許せない殿方。そう何度も頭の中で繰り返し、浮上しそうなる気持ちを抑えつけた。
「そう、でしたら、わたくしを存分に楽しませてくださいね」
「もちろんさ、俺様のデートが楽しくないわけないだろう。王族式デートで最高の夢を見せてやろう」
デートに種類でもあるのだろうか?
セーナの中で疑問が浮かぶも、そういうものだと自己完結する。
王族式という事はきっと特別なはず。
いくら初めてとはいえ、復讐のためのデートに浮かれてはいけないが、それに反して心の奥では何かを期待してしまう。
そんな事はダメだとは分かっている。
絶対に楽しんではいけない──固く誓いを立て、セーナは王族式デートに挑もうとした。
「そのような大見得を切って大丈夫かしら? わたくし、ちょっとやそっとでは満足いたしませんわよ」
余裕の表情を見せるも心中穏やかではない。
なにせ生まれて初めてのデートなわけで、レーナのためだと言い聞かせても緊張はするもの。
隙を見せたら負け。
ここは何としてでも耐える必要がある。
高ぶる気持ちを抑え、セーナは未知なる領域へ足を踏み込もうとしていた。
緊張していないと言えばウソ。
デートなど一度もした事がなく、心臓が今にも飛び出しそう。
レーナのためだから──何度も頭の中で繰り返し鼓動を沈めようとする。
待ち合わせ場所まであともう少し、時間より早く到着しそうでセーナは歩くスピードを遅めた。
「来てくれないかと思ったぜ。まぁ、俺様が誘ったんだから来ないはずわないけどな。でも……来てくれて本当に嬉しいんだからな?」
傲慢な態度がセーナの心に嫌悪感を抱かせる。
先ほどまでの鼓動は完全に消え去った。
やはり外道はどこまでも外道なのだろう。地獄へ落とすのが今から楽しみで仕方がない。
最高の美酒を味わうには、一度幸せの頂きに登らせる必要がある。
崇拝する姉のため、セーナは心の扉を閉じデートという戦いに備えた。
「あら、別に来なくてもよかったのよ? このまま帰ってもいいんですからね」
「そ、そんな冷たい事を言わないでくれよ、レーナ。俺様は今日という日を楽しみにしていたんだからな」
高圧的な態度と見せかけながらも、レオに焦り具合いが垣間見える。
ほんの少しだけイメージと違う仕草が、閉じたはずの扉を僅かに開かせようとする。
この程度で揺らいではいけない──根本は外道なのだ、崇拝するレーナを傷つけた許せない殿方。そう何度も頭の中で繰り返し、浮上しそうなる気持ちを抑えつけた。
「そう、でしたら、わたくしを存分に楽しませてくださいね」
「もちろんさ、俺様のデートが楽しくないわけないだろう。王族式デートで最高の夢を見せてやろう」
デートに種類でもあるのだろうか?
セーナの中で疑問が浮かぶも、そういうものだと自己完結する。
王族式という事はきっと特別なはず。
いくら初めてとはいえ、復讐のためのデートに浮かれてはいけないが、それに反して心の奥では何かを期待してしまう。
そんな事はダメだとは分かっている。
絶対に楽しんではいけない──固く誓いを立て、セーナは王族式デートに挑もうとした。
「そのような大見得を切って大丈夫かしら? わたくし、ちょっとやそっとでは満足いたしませんわよ」
余裕の表情を見せるも心中穏やかではない。
なにせ生まれて初めてのデートなわけで、レーナのためだと言い聞かせても緊張はするもの。
隙を見せたら負け。
ここは何としてでも耐える必要がある。
高ぶる気持ちを抑え、セーナは未知なる領域へ足を踏み込もうとしていた。
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