星に牙、魔に祈り

種田遠雷

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付録2、設定詳細(後編)

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<各キャラクターの詳しい設定>(続き)

・クリッペンヴァルト国 エルフ王 ラウレオルン
名前:Laureorn
 意味は、黄金(金属ではなく色)の樹。見事な金髪と、国の柱になるという生まれついての必定から。

 光を帯びて見えるほどに輝く黄金色の髪は、背を覆う長さ。透き通った深碧色の瞳。
 普段は霊力を目に見ぬ者にまで、ラウレオルンの膨大な霊力は黄金色に輝いて見え、“黄金公”の二つ名で知られている。
 年齢は二千年前後のよう。

 四百余年ほど前に起こった、著しく増加しあらゆる種族を脅かしたオークをはじめとする魔物との激しい戦、魔大戦と呼ばれるそれに騎士として参加した。
 戦後、戦災で親を失ったハルカレンディアを偶然引き取ったのが切っ掛けで、育てる者のない、あるいはあっても苦しい状況の子供達を育てる施設を設けた。長く所属していたこともあって、子供達の育成は騎士隊が中心となって引き受け、そこで育った者の多くは自然と騎士隊に所属するようになる。ただし騎士隊は伝統的に男子のみで構成される、やや古めかしい組織であり、現在までは、女子は別の軍属に就くか、もしくは軍属せず他の職を受け持つことが多い。

 他種族と共存することを良いと考える、エルフとしては変わり者の部類。
 ラウレオルンにとって最初の養い子であるハルカレンディアを目にかけているが、金の芽寮の出身者は等しく自分の子であると考え、可愛がっている。
 ごく珍しい出来事であったため、何かと、彼らを贔屓し彼らのために動いていると邪推されがちだが、実際には国全体、国政のために養い子たちの仕事を利用することもしばしば。


・“金の芽寮”の元寮生たち
 四百余年前の魔大戦では、多くのエルフが戦死し、生まれてくる子供たちの育て手が足りなくなるほどだった。
 伴侶を失って一人で多くの子を育てるエルフ、または近縁者の子を預かるも自分の子も育てなければならない者など、戦争が終わってもその傷が響いていた。
 これを知った、当時は王子であったラウレオルンは、戦災孤児たちの養育施設を作った。この“金の芽寮”と名付けられた養育施設の出身者たちは、幼い頃から騎士達に囲まれて育ったことで、騎士、もしくは別の隊に軍属することが多かったため、「騎士になるために育てられたようだ」という意で“幼年組”と呼ばれることが多い。
 ハルカレンディアもここで育ち、同じように金の芽寮で育ったエルフは幼馴染みにあたる。それぞれに、兄弟同然の意識が強い。

グレアディル(すみません、名前の設定が残っていませんでした)
 癖のない金髪を短くしている。明るい青色の瞳。
 真面目で気さくなエルフの男性。

アグラミア(Aglamia) 意味は、栄える宝。
 緩い癖のある金髪を短くしている。白銅色の瞳。
 自信家で陽気なエルフの男性。
 実はかなり若い頃からハルカレンディアに思いを寄せていた。

ランシリエル(Lanthiriel) 意味は、滝の娘。
 美しく波打つ淡い金髪。長さは背の半ばほど。青い瞳。
 国内でも名の通った剣士である、エルフの女性。
 勝ち気な性格で、他意なく遠慮ない物言いになりがち。

メリリエル(Meriliel) 意味は、薔薇の娘。
 癖がなく濃い蜂蜜色の金髪。長さは背の半ばほど。桃色の瞳。
 国軍の魔術師隊に所属する有能な魔術師。エルフの女性。
 真面目な性格で、行動的。魔術や学術の探究に余念がない。


・国軍に属するエルフ

マゴルヒア(Magolhir) 意味は、剣の主。
 癖のない黒髪を背まで伸ばしている。はしばみ色の瞳。
 クリッペンヴァルト国軍、参謀長。
 生真面目を煮詰めて結晶したようなエルフ。細やかで多忙で、よく眉間に皺が寄っているが、心ある人物。

アェウェノール(名前の設定が…)
 元は騎士隊の兵士であったが、百年前の戦での傷が元で退役。騎士隊の厩舎で軍馬の面倒を見たり采配をする人物のひとり。
 ハルカレンディアに助けられたことがある。

エルノール(Elnor) 意味は、星(男性名変化)。
 ラウレオルンの側近。
 主君のためなら主君に背くことも選ぶ、これでもかというほど忠義の男。
 自由奔放で策略家のラウレオルンに苦労しているため、ちょっと口が悪い時がある。


・ベスシャッテテスタル国 エルフ王 ウイアルハナール
名前:Uialchanar
 意味は、黄昏の兄弟。陰りを帯びた銀髪と、桔梗色の瞳が、夜を迎える空の色を思い起こさせることから。

 生まれつき強大な霊力に恵まれ、幼い頃から恐るべき魔術の使い手であったウイアルハナールは、数千年前、まだ王子であった頃の初陣で、敵に向け雷土の魔術を放った。
 この雷土を起こした雷雲は(そもそも普通の魔術師は雷雲を起こす規模の雷土を放たない)、見渡す限りの空を黒く陰らせ、昼間であったものが突然日が暮れたのかと、見た者を驚かせた。
 彼の二つ名である“薄暮公”はこの出来事に由来する。
 年齢は八千年を超えていると云われる。

 エルフの中でも数少ないほど長く生きたウイアルハナールは、必然的に周囲の多くの者と死別しており、どのエルフよりも重い憂いをわずらっている。

 クリッペンヴァルト先々代の王、ラウレオルンの祖父と因縁があり、クリッペンヴァルトを嫌い、敵視していたが、ラウレオルンとの会談をきっかけに態度を軟化させている。


・ベスシャッテテスタル国のエルフ

ケレブラス(Celeblas) 意味は、銀の葉。
 ベスシャッテテスタル国軍の指揮官の一人。
 境の森に新たに設えられた砦を不審に(密かには不満に)思い、この情報を探るため、別の隊が持ち帰った情報を元に、砦を襲撃し、偵察する戦略を立て、実行に移した。
 砦の面々は生け捕りにするには手強く、激戦化。アギレオも死んだものと思われたが、生きていたため、これを谷の外の古城に構えていた陣営に連れ帰り、尋問した。

 ベスシャッテテスタル国有数の剣士ながら、魔術師でもある。


・ヴァルグ族
 クリッペンヴァルトのある東の大陸から海を隔てた、西の大陸にある、北の山に暮らす少数民族。頭部に一対の角と、狼を思わせる四本の牙を持っているが、人間。
 はるか昔、大きな戦の際に多くのエルフが魔軍に捕らえられ、拷問によって魔物に作り替えられた。この戦の終わりに人間に変わり得た者がおり、これがヴァルグ族のはじまりとなった。
 多くのヒトを戦で殺めた魔物であり、またヒトに戻りたいと願って人間になったものが、その願いをいつか本当の意味で叶えられるようにと、この話は限られた者達のみが知り、口を閉ざして見守っている。

オソグリス
名前:Osogris 意味は、灰色の熊。
 アギレオの父。
 元は自らの氏族を持つ族長であったが、氏族の人数が次第に少なくなった機に、縁のある別の氏族と合流し、族長を下りた。
 泰然自若として、大らか。思いがけない誤解に気づいて慌てたり、客であるハルカレンディアを和ませるために冗談を言ったりする、飾り気のない性格。
 ヴァルグ族の中でも卓越しているといえるアギレオを、叩きのめしながら育てた豪腕の男。
 あまりの強さに、腕が人の三倍あるようだと“六腕のオソグリス”の異名をとった。現在は“四腕”に値下げされたらしい。

ヴィボラ
名前:Vibora 意味は、毒蛇。
 アギレオの母。
 両親は強い子を望み、女子にしては珍しく、勇ましい名をつけられた。
 禍々しい名のせいで若い頃は面白くないこともあったが、オソグリスがよくよく彼女を守り、大事にしているため、明るい性格。
 物事にこだわらず天真爛漫といった風に振る舞っているが、かつては族長の妻だったこともあり、周囲の者を緊張、警戒させないために穏やかに振る舞っている面もある。単純に、あまり細かくないところもあるよう。


<砦のその後について>

 3年近い月日を経て、アギレオとハルカレンディアが砦に戻った頃には、鹿の獣人達によっていっそうのインフラ整備が整い、メルの提案で狐の獣人が増えたり、また噂を聞きつけて砦を頼る獣人があったりと、少しずつ賑わいはじめていました。
 そこからまた年月をかけ、アギレオの希望を汲んで“狭っ苦しく”ならないよう低く、けれど長く広く築かれた防壁には、見回りが上を歩けるようにも、弓隊が身を隠して外敵を攻撃したりできるようにと工夫がされ、広く砦と国境を守る形になっていきます。
 砦の防備が整っていくと同時に、他の仕事よりも武に覚えのあるものが軍属を目指して集まってきたり、集まった人々を目的に商売に訪れる者が現れたりと、砦の機能自体も変化しました。
 これは、人数が増えれば国軍からの報酬だけでは養いきれないと、アギレオとリーをはじめ、砦の面々で計画した流れでもあります。
 こうして、境の森の砦は、規模の小さな要塞都市のような姿になっていきました。
 また、ハルカレンディアの留守を預かりにきたメリリエルとランシリエル、二人のエルフに習い、森の外のことも知らねばと、時折、国軍のエルフが交替で常駐するようにもなります。

 このように三百年後の砦の形が次第にできていき、また、アギレオを始めとする創設メンバーも次第に年老い、現役から退く必要が出てきます。
 前線を次の世代に交代した後は、もう少し離れた、アギレオの先代が晩年を過ごした小さな集落に移ったり、山犬たちは元々の集落にもどったり、少し砦から離れ、泉のそばへと家を移しました。

 泉のそばの暮らしについても、いつか書ける機会があるといいなあと願いつつ…

 設定詳細がまさかの二部構成になってしまいました…。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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