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第3章
5 情報収集
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お悩みが解決したかのように、栗毛の巻き毛を揺らし足取り軽やかに部屋を出て行った。
その後ろ姿を彼女は見送り、部屋に残ったマティルダは逆に肩に重石が乗っている気分になる。
静まった部屋に、見送った扉の前に独りで立ちすくむ。
話し声がしなくなり、メアリーはソッと扉を開けてみた。
ちょっとづつ開けてると、マティルダが魂が抜けたように立っている様子に怪訝なる。
「……、マティルダ?」
「……、…………。」、名をハッキリ呼んでもビクともしない彼女。
「マティルダ!マティルダ、どうしたの?」
振り返りメアリーの顔を見ているが、焦点が合わないみたいにボケ~っとしていた。
「へっ!あっ、ああ…。
メアリー王女、どうしもしませんよ。
恋とは、摩訶不思議と感じただけですからー」
「マティルダの話は意味がわからないよ。
ブルネール侯爵令嬢との話は、どうでした?
ごめんなさい……、それは話さなくていいのよ。
私、約束したんですもの」
モジモジして聞きたそうな顔をしている。
「いつか、話せる日がきます。
案外それは…、早く話せるかもしれませんね」
青い目を大きくし、マティルダに正直な気持ちを表情で表す。
王族たちを迎えた。
カッセル公爵は、主催とした豪勢な晩餐会を開く。
久しぶりの兄弟の話しは弾み、王と公爵から周りに笑いが広がる。
キラキラと輝くその華やかさに、圧倒された平凡なマティルダ。
『あの方が…、マイヤー伯爵令息ジョージ様。
エドワード殿下とは、また違う魅力がある方ね』
1番末席からほぼ前に座る彼を、チラチラと見ては食事をする。
『日焼けした肌のせいか野性味を感じて、どこか強く引き寄せられる。
サラ様は、グイグイ引っ張ってくれそうな男性が趣味でしたか』
あまりジロジロと見ては、マイヤー伯爵令息に失礼にあたる。
視線を料理に集中して、口に入れてはモグモグするのだった。
避暑地に出発する時に、マティルダは結構様に声をかけてみることにする。
たまたま近くいる彼に、サラ様から頼まれた件のために布石が必要だと思ったからだ。
「伯爵令息、ごきげんよう。
皆様が護衛して下さるので、安心して旅ができてますわ。
ありがとうございます」
「これは、サンダース伯爵令嬢。
お礼を言われるとは、俺も嬉しいですよ」
マティルダがニコニコ話しかけると、彼も感じよく話してくれる。
「マイヤー伯爵令息は、背がお高いですね。
剣術もお強くて逞しいし、女性からおモテになってるんではないかしら?」
「ハハハ、モテません!
ご令嬢と気の利いた話もできませんから、男ばかりと話してます。
誰がいい方がおりましたら、紹介をして頂きたいくらいです」
「まぁー、ご謙遜をフフフ……」
ターゲットとうまく話ができたし、婚約者はいないのが分かった。
婚約者がいて、令嬢を紹介してなんて普通は言えない。
「本当に婚約者とか、お好きな方はいらっしゃらないのですか?!」
「サンダース伯爵令嬢は、私を揶揄ってますね。
次男ですし、嫡男ではないのでモテないのです。
コチラから、女性に話しかけるのも恥ずかしくて…」
ガチでいないと間違いない。
そうなるとサラ様の出方しだいで、もしやいける。
「そうですか?
では、どんなお方が宜しいのですか?
例えばこの場にいるご令嬢たちの中では、どちらの方が1番好みですか?!」
「選ぶなんて、とんでもない!
皆様、素敵な令嬢でこの中では選ぶことはムリですよ」
「ホホホ、上手くかわしましたわね。
避暑地で、素晴らしいお方に出会えると宜しいですね!」
ここまででいい、この話をサラ様にお知らせして出方をみましょう。
結構、情報を聞けたわ。
勇気を出して話しかけてみたら正解だった。
「マティルダー!こっちよ!」
すっかり仲良くなったメアリー王女の愛らしい声が、私の名前を手を振って呼んでいた。
出発準備が終わった様子で、話していたジョージとマティルダは別々に離れて行くのである。
その後ろ姿を彼女は見送り、部屋に残ったマティルダは逆に肩に重石が乗っている気分になる。
静まった部屋に、見送った扉の前に独りで立ちすくむ。
話し声がしなくなり、メアリーはソッと扉を開けてみた。
ちょっとづつ開けてると、マティルダが魂が抜けたように立っている様子に怪訝なる。
「……、マティルダ?」
「……、…………。」、名をハッキリ呼んでもビクともしない彼女。
「マティルダ!マティルダ、どうしたの?」
振り返りメアリーの顔を見ているが、焦点が合わないみたいにボケ~っとしていた。
「へっ!あっ、ああ…。
メアリー王女、どうしもしませんよ。
恋とは、摩訶不思議と感じただけですからー」
「マティルダの話は意味がわからないよ。
ブルネール侯爵令嬢との話は、どうでした?
ごめんなさい……、それは話さなくていいのよ。
私、約束したんですもの」
モジモジして聞きたそうな顔をしている。
「いつか、話せる日がきます。
案外それは…、早く話せるかもしれませんね」
青い目を大きくし、マティルダに正直な気持ちを表情で表す。
王族たちを迎えた。
カッセル公爵は、主催とした豪勢な晩餐会を開く。
久しぶりの兄弟の話しは弾み、王と公爵から周りに笑いが広がる。
キラキラと輝くその華やかさに、圧倒された平凡なマティルダ。
『あの方が…、マイヤー伯爵令息ジョージ様。
エドワード殿下とは、また違う魅力がある方ね』
1番末席からほぼ前に座る彼を、チラチラと見ては食事をする。
『日焼けした肌のせいか野性味を感じて、どこか強く引き寄せられる。
サラ様は、グイグイ引っ張ってくれそうな男性が趣味でしたか』
あまりジロジロと見ては、マイヤー伯爵令息に失礼にあたる。
視線を料理に集中して、口に入れてはモグモグするのだった。
避暑地に出発する時に、マティルダは結構様に声をかけてみることにする。
たまたま近くいる彼に、サラ様から頼まれた件のために布石が必要だと思ったからだ。
「伯爵令息、ごきげんよう。
皆様が護衛して下さるので、安心して旅ができてますわ。
ありがとうございます」
「これは、サンダース伯爵令嬢。
お礼を言われるとは、俺も嬉しいですよ」
マティルダがニコニコ話しかけると、彼も感じよく話してくれる。
「マイヤー伯爵令息は、背がお高いですね。
剣術もお強くて逞しいし、女性からおモテになってるんではないかしら?」
「ハハハ、モテません!
ご令嬢と気の利いた話もできませんから、男ばかりと話してます。
誰がいい方がおりましたら、紹介をして頂きたいくらいです」
「まぁー、ご謙遜をフフフ……」
ターゲットとうまく話ができたし、婚約者はいないのが分かった。
婚約者がいて、令嬢を紹介してなんて普通は言えない。
「本当に婚約者とか、お好きな方はいらっしゃらないのですか?!」
「サンダース伯爵令嬢は、私を揶揄ってますね。
次男ですし、嫡男ではないのでモテないのです。
コチラから、女性に話しかけるのも恥ずかしくて…」
ガチでいないと間違いない。
そうなるとサラ様の出方しだいで、もしやいける。
「そうですか?
では、どんなお方が宜しいのですか?
例えばこの場にいるご令嬢たちの中では、どちらの方が1番好みですか?!」
「選ぶなんて、とんでもない!
皆様、素敵な令嬢でこの中では選ぶことはムリですよ」
「ホホホ、上手くかわしましたわね。
避暑地で、素晴らしいお方に出会えると宜しいですね!」
ここまででいい、この話をサラ様にお知らせして出方をみましょう。
結構、情報を聞けたわ。
勇気を出して話しかけてみたら正解だった。
「マティルダー!こっちよ!」
すっかり仲良くなったメアリー王女の愛らしい声が、私の名前を手を振って呼んでいた。
出発準備が終わった様子で、話していたジョージとマティルダは別々に離れて行くのである。
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