上 下
10 / 36
第一章 リアルチーター

十本目 アルミリアさんへの感謝、からのバッドタイミングなアナウンス

しおりを挟む
――――――――
黒蛇の龍刀〈No name〉【契約者:リューセイ】(刀・鞘)
Damage+56
耐久:3800【完全破壊不可】
ステータス効果:STR+40 AGI+30

装備効果:・契約者に龍の力を与える
     ・存在として契約者の一部になる
     ・切った相手の魔力をわずかに吸収し、契約者に譲渡する
武器効果:・魔力を籠めることで切れ味・硬度が上昇する
     ・耐久が0になっても消えることはなく、契約者の魔力を吸収することで自己修復
     ・契約者以外装備不可
――――――――

もう一本の刀――黒蛇の龍刀
その性能は、完全に異常。
正直ダメージと耐久だけでも一級品なんじゃないだろうか?
まぁこのゲームの武器はほとんど知らないけど・・・
これが彰太の言ってたぶっ壊れ性能・・・ってまぁそんなことはおいておこう。

「アルミリアさん」
「はい」
「存在として契約者の一部になるってどういうことですか」
「やっぱり言葉だけじゃ意味が分かりませんよね・・・効果自体は、杖刀の魔力同調と同じようなものです。魔力伝導率100%と同じ・・・ですが、こちらの場合はより深い繋がりが出来ると言いますか・・・」
「??」
「これは、いわばリューセイさんの身体の一部です。つまり、魔力を同調しているのではなく、魔力そのものを共有しているんです。さらに、ほとんどリューセイさんの思うままに動かせます」
「それは・・・もう武器とは思えないですね。かなり凄まじい能力なんじゃないですか」
「はい・・・実際、その効果は尋常ではないですよ。難しい説明は省きますが・・・この刀はもはやリューセイさんの一部。その為、その形もリューセイさん次第です」
「・・・どういうことですか?」
「つまり・・・この刀はリューセイさんの望む形になります。例えば、リューセイさんが刀から斧になってほしい、と考えればその通りになるんです!」
「それはまた・・・とんでもないですね」

変幻自在の刀・・・いや、そもそもそれは刀と呼んでいいのかな?

「はい・・・勿論ある程度の制限はあります。人間の体で言うと関節を曲げる限界のようなものですかね・・・?この制限はリューセイさんとの繋がりが強くなるほど薄くなるはずです。と言っても、制限が薄くなった結果どうなるのかは分からないんですが・・・あくまで私の【鑑定】で得た情報ですから。これ以上は実際に使っていただかないと・・・」
「いえ、十分すぎるほどですよ。その情報がないと効果も分かりませんでしたし」

鑑定・・・多分アイテムの情報をより詳しく見るための技能だろう。
武器の職人にとってその技能はかなり大事だね・・・

「それと、好きな形になるといっても、そこまで簡単な話ではありませんよ?」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。斧になってほしい、と考えるだけでも、ある程度形状は変化すると思います。ですが・・・より細かく精密に変化してほしい時は、詳しいイメージを伝達しなければなりません。無詠唱魔法と同じです。ですが、正直に言えばこれは非常に難しいです。私はそんなものを使える人には会ったことがありませんし・・・まぁ、無詠唱魔法よりは簡単かもしれませんが」
「ああ、それなら、多分大丈夫です。無詠唱魔法なら使えるので」
「ふぇぇ!?」

あれ、アルミリアさんが変な声出して固まっちゃった・・・

「アルミリアさーん?」
「ハッ、すいません、ちょっと聞き間違いをしちゃって・・・リューセイさんが無詠唱魔法を使えると聞こえてしまいました」
「いや、それで合ってますよ。大体の魔法ならできます」
「・・・あの、リューセイさん?無詠唱魔法って魔導士のごくごく限られた一部が修練を積んで一つの魔法に対して使えるようになるようなものですよ?」
「あー・・・まぁ、これでいいですか?」

そう言って手を上に向け、水の塊を作り出す。
生み出された水は鳥のような形になり・・・ってあれ?そういえば水魔法って使うの初めてじゃなかったっけ。

鳥を象った水を見て、アルミリアさんは一瞬呆然となり、その後気を取り直したようで――

「・・・リューセイさん、もう私はあなたが何をしようと驚きませんよ?驚きませんとも、はい」
「いやなんでそんな遠い目をしてるんですか?」
「無茶を言わないでください」

あれ?会話がかみ合ってないような?
いやある意味かみ合ってるかも?

「まぁそれはおいといて・・・次の気になることを聞いていいですか?」
「・・・どうぞ」

アルミリアさんが若干不満そうな表情をしている。
うーん、思い当たるところがないなぁ、あはは。

「切った相手の魔力を吸収って・・・これどう考えても魔石の能力だと思うんですが・・・なんでこんな能力が?ナーガにこんな能力はなかったと思うんですが」
「え?だって、ナーガは鱗や牙で傷つけられたときに魔力を吸い取られる能力があるじゃないですか?その能力のせいで魔法を体の表面に当ててもわずかにですが効果も薄くなりますし・・・まぁ元々の防御力が高いのもありますが。一度に吸い取られる量はわずかなので戦闘ではそこまで大きな意味はないですけど・・・この能力で魔力を吸い取られたときは感覚的に魔力が減ったことを自覚出来るはずですが・・・」
「え?そんな能力あったんですか?でも・・・あ」
「どうしました?」
「そういえば僕、一度も攻撃食らってませんでした」
「いや・・・まぁ、確かに初期装備じゃ一撃くらった時点で危ないとは思いますけどね・・・?リューセイさんはそれがどれだけ異常なことか分かってますか?」
「・・・次に行きましょう」
「話そらしましたね」

アルミリアさんがジト目を向けてくるけど・・・
そういうことは結構言われたからなぁ・・・あの四人組とかに。
今はそんなことより性能を確認しないと!(使命感)

「この・・・龍の力って言うのは何なんですか?」
「それが・・・すいません、それだけは【鑑定】でも分かりませんでした。本当に特殊なもので・・・Lvに関係なくそれ以上詳しい内容はありませんでした。ですが・・・何の効果もないということはないと思うのでいずれ分かると思うんですが・・・これはリューセイさんが実際に使わないと分からないと思います」
「そう、ですか・・・」

龍の力・・・確か称号【大蛇に認められし者】の効果に蛇・竜・龍種の友好度が上がりやすくなる、というものがあったはず。つまり、蛇と龍は近い種族で、恐らくナーガは蛇種の中でも上位の存在だったんじゃないかな・・・?
それにしても・・・この龍の力というのはとても気になる。これの詳細は見れないのかな・・・?
アルミリアさんの【鑑定】でも無理だったんだし無理だとは思うけど・・・
契約者ならもしかして――

《【竜魔法】を取得しました》

え―――?

詳細を開こうとした瞬間、こんなアナウンスが流れた。
もしかして、これが龍の力・・・?
竜魔法・・・そんなものもあるのか。

「?リューセイさん、どうしました?」
「えっと・・・実は、今詳細を開こうとした瞬間に【竜魔法】と言うものを手に入れました」
「え・・・?竜魔法・・・?そんな魔法は聞いたことないですが・・・いえ、恐らくそれが龍の力なんだと思いますが・・・」
「僕もそう思います・・・ですが、これは試してみないと分からないですね」
「そうですね・・・私も気になりますから、出来れば詳しいことが分かったら教えてもらえないでしょうか・・・?」
「いいですよ。アルミリアさんが作ってくれた武器なんですから。感謝もしていますし。この程度でお礼になるとは思いませんが」
「そ、そんな・・・お礼なんて・・・あ!」
「どうしました?」

突然何かを思い出したようにアルミリアさんが声をあげた。

「すいません、忘れてました・・・えっと、装備を作って余った素材はどうしましょうか?」
「うーん・・・あー、アルミリアさん」
「はい?」
「これからもこのお店には来るつもりなので、出来ることなら僕の装備が壊れた時は、その修理に一部でいいので使ってもらえませんか?」
「そ、そうですか・・・分かりました」

そう言ってアルミリアさんが嬉しそうに微笑む。
お店を利用する人が増えることが嬉しかったのかな?

「あ、ところでアルミリアさん」
「は、はい!どうしました?」
「魔力を籠めると切れ味と硬度が上昇するというのも、ナーガの能力ですか?」
「そうです」

どうりで鱗が硬かったわけだ・・・
でもこの能力は非常に使い勝手が良さそうだ。
剣士としては非常にうれしい。
あ、そういえば僕聖法士だった・・・

「あっ、そういえばアルミリアさん」
「何ですか?」
「そっちの服は何かお聞きしても・・・?」
「あ」

アルミリアさんがしまった・・・という表情をする。
多分忘れてたんだと思う。アルミリアさん、僕もです。

「こちらも装備の一部ではあるんですが、普段着としても使ってもらえれば。戦闘時はコートの下に着るのがいいかと・・・」
「おお、ありがとうございます」
「いえ、お気になさらず。作りたくて作ったものですから。あの、代わりにと言っては何ですけど・・・」
「?」
「出来れば、ナーガの素材の一部を売っていただけないでしょうか?」
「ああ、そんなことなら、別にお金は要りませんよ。修理の分はとっておいて欲しいところですが・・・余った分はお好きなように使ってください。これだけのものを作ってもらったんですから、それくらいは」
「へっ!?そ、そんなっ、さすがにそこまで図々しいことは・・・」
「では、僕からのプレゼントということで」
「えっ」
「・・・受け取ってもらえないんでしょうか?」
「えっ!?い、いや・・・わ、分かりました。受け取ります・・・」
「あはは、そうですか。ありがとうございます」
「うぅ・・・」

あれ?アルミリアさんが俯いちゃった。
困らせちゃったかな・・・?まぁでも、これだけの装備を作ってもらったのにお礼が出来ないのは嫌だからなぁ。

「えーっと、リューセイさん」
「はい?」
「その・・・ありがとうございます」
「・・・ふふっ、お礼を言うのは僕の方ですから」
「・・・はぅ・・・」

さらにアルミリアさんが俯く。
うーん・・・これ以上感謝を表さない方がいいかも。

「あっ、りゅ、リューセイさん、この服の説明を・・・!」
「あ、そうですね」
「はい!この服は、フレイムバタフライの繭から作った生地とナーガの革を【錬成術】であわせているので、防御力も並の鎧くらいはあります。さらに、フレイムバタフライの繭とナーガの革は炎に強いので、かなり燃えにくくなっています!」
「おお・・・凄いですね」

錬成術便利だなぁ・・・
っていうか、鎧並みの防御力の服って。
普通に戦闘用として使えるんじゃないかな。

ちなみに、その服は白いシャツと黒色のズボンのような服だったんだけど、アイテムウィンドウを見てみると――

――――――――
普段着(黒蛇&炎蝶)
防御力+12
耐久:600
炎上耐性
ナーガの革とフレイムバタフライの繭から作られた服。
とても燃えにくい
――――――――
これが二つの平均。
うん、鉄の鎧並みの防御力。
これ・・・ナーガの防具で麻痺しちゃってるけど防具としても十分使えるんじゃないの?

「何から何まで、本当にありがとうございます、アルミリアさん」
「いっ、いえ!気にしないでください!レッサーナーガの素材にナーガの素材まで貰ってるんですから!」
「そう言ってもらえると嬉しいですね・・・あ、装備してみてもいいですか?」
「勿論です!」

装備一式をステータスウィンドウから装備する。
ステータスウィンドウには今の自分の姿が表示されているんだけど・・・装備がほぼ黒一色なだけに僕の水色の髪が凄く派手に見えるなぁ・・・

「おお・・・似合ってますよ!!」
「そうですか?そうだといいんですが・・・」

お世辞だとしても、少々照れ臭いな。

「アルミリアさん、今回は本当にお世話になりました・・・これからもよろしくお願いします」
「は、はいっ!こちらこそよろしくお願いします!!」

本当に、アルミリアさんには感謝が絶えない・・・新しい装備を試すことも兼ねて、またナーガにでも―――

《BFO運営アナウンス イベント『ダンジョンボスの心』を今週末の土日に開催致します》

・・・それ、今じゃなきゃダメ?
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

神のしごきに耐え抜いて武神へと到りました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:3,270

前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:6,276

幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:7,061

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:3,254

ゲームの世界に転移したおっさん…でも3000年後の世界でした。

K
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:3,682

異世界ライフは前途洋々

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:198pt お気に入り:4,850

処理中です...