テイマー少女の逃亡日記

一色孝太郎

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第三章

第三章第3話 鍛練の見学をしました

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2021/08/2121:51 更新する範囲を間違えており、正しく更新されておらず失礼いたしました。
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「ローザちゃん。行こう」
「はい。ヴィーシャさんがあそこで鍛練しているみたいなので、見に行きませんか?」
「え? どこどこ?」

 リリアちゃんは窓際にやってきて外を覗き込みます。

「あっ! 本当だ! ヴィーシャさん、すごいなぁ」
「ですよね。早く行きましょう」
「うん」

 こうしてあたしたちは部屋を出るとヴィーシャさんたちが鍛練をしている庭のほうへと向かいます。

「お客様。どちらへ?」
「裏でヴィーシャさん……えっと、ヴィクトリアさんが剣の訓練をしているので見学したいんですけど……」

 途中でメイドさんに声をかけられたので素直に答えます。

「左様ですか。あまり近づくと危険ですので、わたくしめがご案内いたします」
「え? いいんですか?」
「はい。お任せください。どうぞこちらへ」

 こうして親切なメイドさんが案内してくれて、広いお庭にやってきました。

「こちらになります。あまり近づかれますと危険ですので、これ以上はお近づきになられませんようにお願いいたします」
「はい」
「わかりました」

 もうちょっと近くで見たいのですが、釘を刺されてしまいました。でも、仕方ありませんね。邪魔をするわけにはいきませんから。

「ローザちゃん。すごいね。ヴィーシャさん。あんなに大きな男性と打ち合ってるよ」
「本当ですね」

 こうして鍛練の様子を見るのははじめてですが、迫力がすごいです。大きな男性同士が打ち合っているのもすごいですが、ヴィーシャさんが大きな男性に負けずに打ち合っているのもすごいです。

 でもさすがに力では勝てないからなのか、ヴィーシャさんは巧みに受け流している(?)ような気がします。

 え? なんで疑問形なのか、ですか?

 えっと、ほら。あたし、剣術とか全然わからないですからね。

 でも、ヴィーシャさんががんばってるってことだけはわかりますよ。

 そう思って見守っていたんですが、ヴィーシャさんは剣を弾かれて尻もちを着いちゃいました。

「ああっ! ヴィーシャさん、負けちゃいました」
「でも、あんなに大きな男性だもん。仕方ないよ」
「あそこで鍛練している者は、ヴィクトリア様以外全て当家の騎士でございます。特に試合をなさっていたロバートはその中でも腕利きとして名高い騎士ですので、敗れたのは仕方のないことではないでしょうか」
「そうだったんですか。それじゃあ仕方ないですね」

 そんな会話をしているとヴィーシャさんは立ち上がってまた挑んでいきました。がんばって打ち合っているように見えますが、でもこのメイドさんに言われて見てみるとなんとなく手加減されているような気もします。

 ヴィーシャさんがまた尻もちをついて、それからまた立ち上がって……。

 そうしているうちに、ついにヴィーシャさんは力尽きて倒れてしまいました。すると、ヴィーシャさんと打ち合っていたロバートさんが大声でこちらに声をかけてきました。

「おーい! さっきからそこで見学してる嬢ちゃんたち! もっと近くに来ていいぞ!」
「え?」
「お許しが出ましたので向かいましょう」
「は、はい」

 あたしたちはメイドさんを先頭にロバートさんのところへ向かいます。

「嬢ちゃんたちがお嬢様のお客様かい?」
「はい。レジーナ様にご招待いただきました魔法学園普通科一年、リリアと申します」
「あ、えっと。普通科一年のローザです」
「ああ。マレスティカ公爵家の騎士ロバートだ。嬢ちゃんたちが滞在している間は護衛もするからよろしくな」
「は、はい。よろしくお願いします」

 ロバートさんはものすごく背が高くて、体もがっしりしていて大きいです。こんなに大きな男性に会ったのは、ツェツィーリエさんの護衛をしていたグスタフさん以来かもしれません。

「ああ、ローザとリリアも着いたんだね……」

 地面で大の字になっているヴィーシャさんが息も絶え絶えといった様子であたしに声をかけてきました。

「ヴィーシャさん。あの、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。ロバート様がしっかり手加減してくれたからね」

 や、やっぱりそうだったんですね。

「その年齢の女で、それだけ戦えれば今は十分だよ。しっかり鍛えることだな」
「はい」

 ロバートさんがヴィーシャさんに優しくそう語り掛けると、ヴィーシャさんも真剣な面持ちで頷きます。

 なんだか、師弟関係って感じですね。

「そういえば、ローザちゃんだったかな? 嬢ちゃんは結構強いって聞いたぞ?」
「え?」
「なんでも、貴族を相手に決闘で勝ったんだって?」
「あ、は、はい。えっと、一応?」
「良かったらちょっと訓練していったらどうだ?」
「え? あ、その……」
「戦えるんなら、どのくらいの腕なのかがわかっていると護衛がしやすくてありがたいんだがな。ダメか?」
「あ……わかりました」
「よしきた。ちゃんと手加減してやるから、ローザの嬢ちゃんは本気でくるんだぞ? ローザちゃんを護衛するための確認だからな?」
「は、はい」

 こうしてあたしはロバートさんと試合をすることになってしまったのでした。
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