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第四章
第四章第13話 冬の遊びは難しいです
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「ようし、じゃあ今度はこれをやってみようか」
そう言ってヴィーシャさんはそりを持ってきてくれました。
え? スキーはどうしたのか、ですか?
えっと、はい。何回やっても上手くできなくて、ヴィーシャさんがいないとすぐに暴走してしまうので今度はそり遊びに挑戦することにしたんです。
あんなに長いスキー板を上手に使って止まれるなんてヴィーシャさんすごいです。騎士を目指しているだけあって、やっぱり運動神経がいいんですね。
あたしは木登り以外の運動はまるでダメなので、ちょっとうらやましいです。
「ほら、ローザ。ここに座ってみて。スピードが速くなりそうだったら足を雪面に押し当てて止まるんだ」
「はい。わかりました」
さすがにソリなら大丈夫ですよね? ちょっと地面が近いのが怖いですけど、座るだけですし。
あたしは早速そりに座り、斜面をゆっくりと下り始めます。
えへへ、これなら大丈夫そうです。そんなにスピードも……あ、あれ? なんだか段々速くなってきたような?
ううっ。ちょっと怖いかも……?
えっと、足を使って止まるって言っていましたよね。
えっと、こ、こんな感じでしょうか?
そっと踵を雪面に押し当ててみますが、まるでスピードが落ちる気配がありません。
えっと、じゃ、じゃあ、もっと強くっ!?!?!?
・
・
・
あ、あれ? 今、何が起きたんでしょう?
どうしてあたしは雪の中でうつ伏せになっているんでしょうか?
「ローザ! 大丈夫かい!?」
「あ、はい。えっと、あたし、どうしてこんな格好に?」
「それは私が聞きたいよ。順調に滑っていたと思ったらいきなりひっくり返ったんだよ?」
「え? えっと、どうしてでしょう?」
するとヴィーシャさんはおでこに手を当てて、小さくため息をつきました。
「ともかく、怪我はない?」
「は、はい。大丈夫です」
「なら良かった。もう一回乗ってみる?」
「はい」
あたしはヴィーシャさんが拾ってきてくれたそりに乗り、再び滑り始めます。
えっと、たしか止まろうとしてひっくり返っちゃったんですよね。なら怖いのを我慢すれば……!?
突然そりがポンと跳ね、あたしはそのまま投げ出されて雪の上にお尻から落ちてしまいました。
えっと、えっと、どうなってるんでしょう?
「ローザ! 大丈夫かい!?」
「は、はい」
またまたヴィーシャさんが大慌てで駆け寄ってきてくれました。あ、いえ、スキー板を履いているので滑り寄ってきた、でしょうか?
「えっと、どうしてあたし、そりから落ちちゃったんでしょう?」
「……もうちょっと、スピードを落としたほうが良かったかもね」
「えっと、はい。じゃ、じゃあ、もう一回やってみます」
こうしてあたしは再びそりに挑戦するのでした。
◆◇◆
「ローザお嬢様、それでは出発しますよ」
「はい、お願いします」
するとあたしの乗った犬ぞりはゆっくりと凍ったカルヴェラ湖の上を進み始めました。
え? そりはどうしたのか、ですか?
え、えっとですね。何回やってもすぐに転んで雪まみれになっちゃうので、別のにしたいってお願いしたんです。
だってヴィーシャさん、こんなに運動神経のない人を教えていたってきっと楽しくないと思いますから。
そうしたら、今度は犬ぞり遊びを提案してくれました。
これならヴィーシャさんとも一緒に乗れますね。それにあたし、犬ぞりに乗るのって初めてなのでちょっと楽しみです。
「リリア、どうだい?」
後ろの席に座っているヴィーシャさんがそう声を掛けてきます。
「すごいです。こんなの初めてです」
ワンちゃんたちが一生懸命そりを引いてくれているのもすごいですし、凍った湖の中をこんなに速く進めるのもすごいです。
「楽しいかい?」
「はい! すごく楽しいです!」
さっきまでのそりと違ってとても安定していますし、これならずっと乗っていられそうです。
あたしたちは湖の真ん中のほうへとどんどん進んでいきます。
……あれ? でも、そういえばこのワンちゃんたち、あたしとヴィーシャさん、それに御者をしてくれている騎士さんの三人を引っ張っているんですよね?
疲れたりしないんでしょうか?
きっと疲れちゃいますよね?
えっと、じゃあ、疲労を取る回復魔法を掛けてあげたら喜ぶでしょうか?
そうですよね。きっと喜んでくれるはずです。
じゃあ、疲労を回復して、傷ついた筋肉がしっかり治るようにイメージして、えい!
成功です。大怪我をした人の治療をするよりも簡単ですね。
って、あれ? あれれ? なんだか、犬ぞりのスピードが上がっているような?
え? これ、ちょっと速すぎませんか?
「お、おい! そんなに速く走るな!」
「ワンワンワンワン」
騎士さんの焦った声が聞こえてきます。
あ、あ、あ、あたしもしかして余計なことを……?
そう言ってヴィーシャさんはそりを持ってきてくれました。
え? スキーはどうしたのか、ですか?
えっと、はい。何回やっても上手くできなくて、ヴィーシャさんがいないとすぐに暴走してしまうので今度はそり遊びに挑戦することにしたんです。
あんなに長いスキー板を上手に使って止まれるなんてヴィーシャさんすごいです。騎士を目指しているだけあって、やっぱり運動神経がいいんですね。
あたしは木登り以外の運動はまるでダメなので、ちょっとうらやましいです。
「ほら、ローザ。ここに座ってみて。スピードが速くなりそうだったら足を雪面に押し当てて止まるんだ」
「はい。わかりました」
さすがにソリなら大丈夫ですよね? ちょっと地面が近いのが怖いですけど、座るだけですし。
あたしは早速そりに座り、斜面をゆっくりと下り始めます。
えへへ、これなら大丈夫そうです。そんなにスピードも……あ、あれ? なんだか段々速くなってきたような?
ううっ。ちょっと怖いかも……?
えっと、足を使って止まるって言っていましたよね。
えっと、こ、こんな感じでしょうか?
そっと踵を雪面に押し当ててみますが、まるでスピードが落ちる気配がありません。
えっと、じゃ、じゃあ、もっと強くっ!?!?!?
・
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あ、あれ? 今、何が起きたんでしょう?
どうしてあたしは雪の中でうつ伏せになっているんでしょうか?
「ローザ! 大丈夫かい!?」
「あ、はい。えっと、あたし、どうしてこんな格好に?」
「それは私が聞きたいよ。順調に滑っていたと思ったらいきなりひっくり返ったんだよ?」
「え? えっと、どうしてでしょう?」
するとヴィーシャさんはおでこに手を当てて、小さくため息をつきました。
「ともかく、怪我はない?」
「は、はい。大丈夫です」
「なら良かった。もう一回乗ってみる?」
「はい」
あたしはヴィーシャさんが拾ってきてくれたそりに乗り、再び滑り始めます。
えっと、たしか止まろうとしてひっくり返っちゃったんですよね。なら怖いのを我慢すれば……!?
突然そりがポンと跳ね、あたしはそのまま投げ出されて雪の上にお尻から落ちてしまいました。
えっと、えっと、どうなってるんでしょう?
「ローザ! 大丈夫かい!?」
「は、はい」
またまたヴィーシャさんが大慌てで駆け寄ってきてくれました。あ、いえ、スキー板を履いているので滑り寄ってきた、でしょうか?
「えっと、どうしてあたし、そりから落ちちゃったんでしょう?」
「……もうちょっと、スピードを落としたほうが良かったかもね」
「えっと、はい。じゃ、じゃあ、もう一回やってみます」
こうしてあたしは再びそりに挑戦するのでした。
◆◇◆
「ローザお嬢様、それでは出発しますよ」
「はい、お願いします」
するとあたしの乗った犬ぞりはゆっくりと凍ったカルヴェラ湖の上を進み始めました。
え? そりはどうしたのか、ですか?
え、えっとですね。何回やってもすぐに転んで雪まみれになっちゃうので、別のにしたいってお願いしたんです。
だってヴィーシャさん、こんなに運動神経のない人を教えていたってきっと楽しくないと思いますから。
そうしたら、今度は犬ぞり遊びを提案してくれました。
これならヴィーシャさんとも一緒に乗れますね。それにあたし、犬ぞりに乗るのって初めてなのでちょっと楽しみです。
「リリア、どうだい?」
後ろの席に座っているヴィーシャさんがそう声を掛けてきます。
「すごいです。こんなの初めてです」
ワンちゃんたちが一生懸命そりを引いてくれているのもすごいですし、凍った湖の中をこんなに速く進めるのもすごいです。
「楽しいかい?」
「はい! すごく楽しいです!」
さっきまでのそりと違ってとても安定していますし、これならずっと乗っていられそうです。
あたしたちは湖の真ん中のほうへとどんどん進んでいきます。
……あれ? でも、そういえばこのワンちゃんたち、あたしとヴィーシャさん、それに御者をしてくれている騎士さんの三人を引っ張っているんですよね?
疲れたりしないんでしょうか?
きっと疲れちゃいますよね?
えっと、じゃあ、疲労を取る回復魔法を掛けてあげたら喜ぶでしょうか?
そうですよね。きっと喜んでくれるはずです。
じゃあ、疲労を回復して、傷ついた筋肉がしっかり治るようにイメージして、えい!
成功です。大怪我をした人の治療をするよりも簡単ですね。
って、あれ? あれれ? なんだか、犬ぞりのスピードが上がっているような?
え? これ、ちょっと速すぎませんか?
「お、おい! そんなに速く走るな!」
「ワンワンワンワン」
騎士さんの焦った声が聞こえてきます。
あ、あ、あ、あたしもしかして余計なことを……?
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