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第二章
第二章第16話 恐怖の蜜中毒
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「あ、あの? これは一体?」
「ああ。ちゅうことは断魔サンも知らんかったんか。こいつは、蜜を寄越せと言うて蜂蜜屋で暴れたんや」
「はぁ」
「ほんで捕まえたらこのザマやねん。どうやら断魔サンとこに盗みに入って、そん時飲んだ蜂蜜の瓶があの店のに似てた言うてはってな」
「はぁ。言われてみれば似ていた気はしますけど……」
「ミツゥゥゥゥゥっ!」
「ま、うるさいから場所かえよか」
「はい」
何だか自業自得のような気もするが、どうやら確かにガチャの説明文にあった「妖精以外の飲用には適さない」というのは正しかったようだ。
だがしかし……。まさかあんな過激な症状が出るとは。
ルイシーナさんに飲ませなくてよかった。
『あいつが犯人なのっ!? ねぇ! ねぇ! あたしのなのにっ!』
「(とりあえず、ちょっと静かにな)」
『せっかくディーノがあたしにくれたのにぃ~』
ああ、まったく。そんなことを言われるとまた引いてやりたくなるじゃないか。
「(ダメだったらまた引いてやるよ。だから元気出せ。次からは持ち歩くようにするからさ)」
『……うん』
涙目のフラウを慰めながら俺はイルヴァさんの後を追って別の部屋へとやってきた。
「ほな、断魔サン。ちょっとここで待っててな」
「はい」
イルヴァさんは小部屋に俺を通すと足早に建物の中へと消えていく。それからしばらくして扉がノックされた。
「入るで」
俺の返事を待たずに扉が開けられ、イルヴァさんが中に入ってきた。彼女に続いて何人かの衛兵たちも入ってくる。
「こいつがあの犯人の自宅から押収したモンや。この瓶で間違あらへんか?」
イルヴァさんが差し出してきたのは割れた精霊花の蜜の瓶だった。
『あーっ! あたしのーっ!』
「はい。それで間違いありませんね」
「さいでっか。ほなら、容疑は確定やね。断魔サン。おおきに。この瓶は証拠品やからすぐには返せへんが、許したってや」
「はい。あの、剣とかは……」
「売り払ったらしいねん。その金で蜂蜜をめっさ買うたみたいやで」
「そうですか……」
俺はがっくりと肩を落とすと収容所を後にしたのだった。
◆◇◆
「あれが、妖精以外が飲んじゃないけない理由なんだな……」
『みたいだね……。あーあ。全部持ってればよかったなー』
しょんぼりしたフラウは残念そうにそうぼやいた。気持ちは分かるが、自分の体と同じくらいの大きさの瓶を持ち運ぶのは無理があるだろう。
「しかし、まさか空き巣に入られるとはな」
俺はぼそりとそう呟いた。
ここは生まれ育った町だ。当然、今まで泥棒に入られたことなどなかった。だからそんなことなど起きるはずはないと、どこか心の中でそう確信していたのだ。
だが今まで起こらなかったことがこうして起きて、フラウの大切な精霊花の蜜を失ってしまった。
俺は、どうすれば良かったのだろうか。
そんなことを悶々と考えつつ、俺はギルドへとやってきた。
「あ、ディーノさん」
「こんにちは。セリアさん。あ、クッキーありがとうございます。妖精のフラウと一緒に美味しく頂きました」
俺がそう伝えると少し哀れみの目線を向けられたような気がしたが気のせいだろうか?
「喜んでいただけて何よりです」
「支部長はいますか? カリストさんからの伝言を直接伝えるように言われているんですけど」
笑顔のセリアさんにそう伝えると、その表情は一気に曇る
「ああ。やっぱり……そうでしょうね。はい。少々お待ちください」
顔を伏せたセリアさんはそう言い残して奥へと歩いていった。その様子を見送った俺はフラウと顔を見合わせた。
『ねぇねぇ。クッキーの人も知ってるのかな』
「あの様子だと全部知ってるんじゃないか?」
『じゃあ、支部長はお仕事サボってるんだねっ!』
「いや、サボってるかどうかは……」
「誰がサボってるだって?」
顔を上げると目の前には青筋を立てた支部長が目の前におり、その後ろには顔を青くしているセリアさんの姿があった。
「来い。ここで話す内容じゃねぇ」
「は、はい」
俺はこうして再び奥のあの支部長室へと連行されたのだった。
◆◇◆
「で? 何の用だ?」
「カリストさんからの伝言です。もうそろそろ限界なので、早くメラニアさんの交代要員を派遣してください。このままでは撤退を考えざるを得ない状況です」
俺が苦情に支部長はチッと小さく舌打ちをした。
「支部長。どうしてそんなに出し渋るんですか? お金ですか?」
強めに抗議すると、支部長は大きくため息をついた。
「まあ、出してやりたいのは山々だが派遣予定だった治癒師がこの間の蜂蜜屋襲撃事件で衛兵に持っていかれちまったんだよ」
「は?」
我ながら間の抜けた声が出たものだ思う。
「お前の家に入った泥棒が蜂蜜屋で問題を起こしやがってな。最初はちゃんと金を払っていたらしいんだが……」
「はぁ」
「『これじゃねぇ』とか何とか言いながら店にある瓶を全部開けては舐めを繰り返してな。そんでしまいには店主に店員、それに通行人まで殴って暴れて回ったんだ。おかげで何十人もの怪我人が出たんだそうだよ」
「はぁ」
つまり、あの精霊花の蜜を舐めたら禁断症状はそこまで人間をおかしくするのか?
いや、泥棒に入るくらいだからな。そういう奴ではあったのだろう。
ということは、禁断症状でおかしくなって理性が飛んだ、といったところか。
むむむ。精霊花の蜜。恐るべし。
『やっぱり人間は食べたらダメだったでしょっ?』
フラウは何故かドヤ顔でそう言っているが、ここまで危険なものならもっとちゃんと知っておいて欲しかった。
言っても仕方ない話ではあるが。
まあ、フラウには可哀想だがルイシーナさんや他の誰かが興味本位で飲んで中毒にならずにすんだので良しとしよう。
================
次回は本編疑惑のあるガチャ回となります。
「ああ。ちゅうことは断魔サンも知らんかったんか。こいつは、蜜を寄越せと言うて蜂蜜屋で暴れたんや」
「はぁ」
「ほんで捕まえたらこのザマやねん。どうやら断魔サンとこに盗みに入って、そん時飲んだ蜂蜜の瓶があの店のに似てた言うてはってな」
「はぁ。言われてみれば似ていた気はしますけど……」
「ミツゥゥゥゥゥっ!」
「ま、うるさいから場所かえよか」
「はい」
何だか自業自得のような気もするが、どうやら確かにガチャの説明文にあった「妖精以外の飲用には適さない」というのは正しかったようだ。
だがしかし……。まさかあんな過激な症状が出るとは。
ルイシーナさんに飲ませなくてよかった。
『あいつが犯人なのっ!? ねぇ! ねぇ! あたしのなのにっ!』
「(とりあえず、ちょっと静かにな)」
『せっかくディーノがあたしにくれたのにぃ~』
ああ、まったく。そんなことを言われるとまた引いてやりたくなるじゃないか。
「(ダメだったらまた引いてやるよ。だから元気出せ。次からは持ち歩くようにするからさ)」
『……うん』
涙目のフラウを慰めながら俺はイルヴァさんの後を追って別の部屋へとやってきた。
「ほな、断魔サン。ちょっとここで待っててな」
「はい」
イルヴァさんは小部屋に俺を通すと足早に建物の中へと消えていく。それからしばらくして扉がノックされた。
「入るで」
俺の返事を待たずに扉が開けられ、イルヴァさんが中に入ってきた。彼女に続いて何人かの衛兵たちも入ってくる。
「こいつがあの犯人の自宅から押収したモンや。この瓶で間違あらへんか?」
イルヴァさんが差し出してきたのは割れた精霊花の蜜の瓶だった。
『あーっ! あたしのーっ!』
「はい。それで間違いありませんね」
「さいでっか。ほなら、容疑は確定やね。断魔サン。おおきに。この瓶は証拠品やからすぐには返せへんが、許したってや」
「はい。あの、剣とかは……」
「売り払ったらしいねん。その金で蜂蜜をめっさ買うたみたいやで」
「そうですか……」
俺はがっくりと肩を落とすと収容所を後にしたのだった。
◆◇◆
「あれが、妖精以外が飲んじゃないけない理由なんだな……」
『みたいだね……。あーあ。全部持ってればよかったなー』
しょんぼりしたフラウは残念そうにそうぼやいた。気持ちは分かるが、自分の体と同じくらいの大きさの瓶を持ち運ぶのは無理があるだろう。
「しかし、まさか空き巣に入られるとはな」
俺はぼそりとそう呟いた。
ここは生まれ育った町だ。当然、今まで泥棒に入られたことなどなかった。だからそんなことなど起きるはずはないと、どこか心の中でそう確信していたのだ。
だが今まで起こらなかったことがこうして起きて、フラウの大切な精霊花の蜜を失ってしまった。
俺は、どうすれば良かったのだろうか。
そんなことを悶々と考えつつ、俺はギルドへとやってきた。
「あ、ディーノさん」
「こんにちは。セリアさん。あ、クッキーありがとうございます。妖精のフラウと一緒に美味しく頂きました」
俺がそう伝えると少し哀れみの目線を向けられたような気がしたが気のせいだろうか?
「喜んでいただけて何よりです」
「支部長はいますか? カリストさんからの伝言を直接伝えるように言われているんですけど」
笑顔のセリアさんにそう伝えると、その表情は一気に曇る
「ああ。やっぱり……そうでしょうね。はい。少々お待ちください」
顔を伏せたセリアさんはそう言い残して奥へと歩いていった。その様子を見送った俺はフラウと顔を見合わせた。
『ねぇねぇ。クッキーの人も知ってるのかな』
「あの様子だと全部知ってるんじゃないか?」
『じゃあ、支部長はお仕事サボってるんだねっ!』
「いや、サボってるかどうかは……」
「誰がサボってるだって?」
顔を上げると目の前には青筋を立てた支部長が目の前におり、その後ろには顔を青くしているセリアさんの姿があった。
「来い。ここで話す内容じゃねぇ」
「は、はい」
俺はこうして再び奥のあの支部長室へと連行されたのだった。
◆◇◆
「で? 何の用だ?」
「カリストさんからの伝言です。もうそろそろ限界なので、早くメラニアさんの交代要員を派遣してください。このままでは撤退を考えざるを得ない状況です」
俺が苦情に支部長はチッと小さく舌打ちをした。
「支部長。どうしてそんなに出し渋るんですか? お金ですか?」
強めに抗議すると、支部長は大きくため息をついた。
「まあ、出してやりたいのは山々だが派遣予定だった治癒師がこの間の蜂蜜屋襲撃事件で衛兵に持っていかれちまったんだよ」
「は?」
我ながら間の抜けた声が出たものだ思う。
「お前の家に入った泥棒が蜂蜜屋で問題を起こしやがってな。最初はちゃんと金を払っていたらしいんだが……」
「はぁ」
「『これじゃねぇ』とか何とか言いながら店にある瓶を全部開けては舐めを繰り返してな。そんでしまいには店主に店員、それに通行人まで殴って暴れて回ったんだ。おかげで何十人もの怪我人が出たんだそうだよ」
「はぁ」
つまり、あの精霊花の蜜を舐めたら禁断症状はそこまで人間をおかしくするのか?
いや、泥棒に入るくらいだからな。そういう奴ではあったのだろう。
ということは、禁断症状でおかしくなって理性が飛んだ、といったところか。
むむむ。精霊花の蜜。恐るべし。
『やっぱり人間は食べたらダメだったでしょっ?』
フラウは何故かドヤ顔でそう言っているが、ここまで危険なものならもっとちゃんと知っておいて欲しかった。
言っても仕方ない話ではあるが。
まあ、フラウには可哀想だがルイシーナさんや他の誰かが興味本位で飲んで中毒にならずにすんだので良しとしよう。
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次回は本編疑惑のあるガチャ回となります。
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※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
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