厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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最終話:おやすみ、我が赤き果実。

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 ◇◆◇◆◇



 春の陽射しが終わりかけて、少し暑くなってきた五月中旬の昼下がり。
 先日十八歳になったばかりのレジナルドが、ミーシャとの婚約の報告に来ました。

「…………」
「あら、受けてもらえたのね」
「はい」
「…………」
「父上?」

 リビングでのんびりとお茶をいただきながら、レジナルドの報告を聞いていたのですが、テオ様は超絶不機嫌なムッスリお顔です。

「…………」
「テオ様」
「……っ、おめでとう」
「はい! ありがとうございます、父上!」

 レジナルドは、顔も身体も能力もテオ様そっくりに成長し、騎士団の中でもかなりの大型ルーキー扱いされています。
 華やかな見た目と確かな能力と地位。
 当たり前のように様々なご令嬢たちからの熱い視線を受け…………ずに、全てぶった斬り、ミーシャ一筋でした。

 ちなみにミーシャはつい最近までレジナルドに対して恋愛感情ゼロでした。
 不憫でした。
 あの、幼かった頃のちゅーは、何だったのか、と。

 まぁ、詳しく聞くと、恋に恋してた。ただ単にキスが面白かった、という衝撃の事実。
 それを知ったときのレジナルドの落ち込み……不憫でした。
 まさかの、ザラが一言ミーシャに苦言を呈してしまうくらいには、レジナルドの不憫さがキワッキワでした。

「……どうやって三ヶ月で盛り返したんだ…………意味がわからん」
「ミーシャの愛を伝えました!」

 ――――ん?

「「…………」」

 空耳だと思いたいですが、わりと大きな声でしたので、空耳ではないのでしょうね。

「いいなぁ。スカーレットもワカラセられたぁい」
「「…………」」

 十五歳というものは、大概が『悪』『非行』『厨二病』に憧れるもの。
 思春期! 普通普通!
 テオ様は未だに厨二病ですし!

「対外向けもだいぶ抑えているだろうが!」

 まぁ、そうは言いますが、あの長い長い名前や、ちょいちょい漏れる単語は、きっと素で厨二病のはずです。
 あら? そういえば、レジナルドはそっちには行かなかったわね?
 …………考えたら駄目なやつですわね。

「えっと……取り敢えずおめでとう」
「はい!」



 ムッスリテオ様は、夕食をいただいても、お風呂を上がっても、ムッスリテオ様のままでした。
 大人気ないです。
 そういえば、あの子たちが小さかった頃、尊敬されているかとか、いないとか、言い合いのようなものをしたような?

「今日は……今日も? そこそこにかっこ悪い父親でしたよ?」
「ぬあっ⁉ 認めてやっただろうが!」
「でも、尊敬の念は、薄らっている気がします」
「……くそぅ」

 テオ様が口を尖らせてプチプチ言いつつ、ベッドに入って来られました。

「…………はぁ。しかし、大丈夫なのか? あの二人」
「たぶん。あの二人も、テオ様にだけは言われたくはないでしょうが――――」

 ――――あ、お口がズルッズルに滑りました。

「……ふぅん。そうかそうか。ミラベルはイジメてほしいのかぁ。そうかそうか」

 テオ様がバサリバサリと夜着を脱ぎ捨て始めました。
 四十歳になっても、あいも変わらずキラキラしいお顔で、瞬くほどの髪色で。腹筋もアソコもバキバキで…………。
 え? この一瞬で勃てたのですか?

 尊敬だ何だと言いはしましたが、テオ様が歳を重ねて増やしたのは、重厚なる色気だけでした。
 こちとら、お腹まわりのお肉と闘っているというのに。

「ミラベルは私との以外はしないからな?」
「あっ……んうっっ」
「というか、私以外とはするなよ?」
「やっ、しま……せんっ、んあっ!」

 テオ様の精力も衰え知らずです。

「……年の離れた三人目、というのも可愛いだろうな?」
「あっ、ひあっ、ダメッ!」
「ん? 何が?」
「そこ、擦ったら…………あっ、や、イッちゃうっ」
「ん、一度イッておこうな?」
「あ――――!」



「……ふぅ。流石に四時間もシテいたら疲れたな? もう年だろうか?」
「………………ほうでふね」
「どうする? 三人目の名前の候補としては、フィオレンティーナ・ディアマンテ・イルセ――――」

 ――――と、このような感じで、毎日を過ごしています。たぶん。



 私達も子供たちも、わりと良い年齢になりはしましたが、あいも変わらずの厨二病設定てんこ盛りのテオ様です。
 そして、未だにわりとガッツリ迫ってきます。

 これからも厨二病殿下を受け止めるために、頑張って体力作りをしなければなりませんね。
 ですが! 取り敢えず、今はゆっっっくりと眠りたいです。

「おやふみなさぁぁぃ……」
「ん、おやすみ、ミラベル。愛しているよ、我が赤き果実」
「んふふ、はい。私もです」



 ―― fin ――


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感想 6

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みんなの感想(6件)

らー@&
2022.09.15 らー@&

まだ7話目ですけどむちゃくちゃ面白いです!こういうギャグ系のものは大抵矛盾点やら違和感があるんですけど、これはそんなことなくて読みやすいです!

2022.09.15 笛路

らー@&様

感想ありがとうございます!
まだまだアホな設定も謎な設定もありますので、お楽しみくださいぃぃぃ((o(´∀`)o))

解除
おゆう
2022.05.28 おゆう

娼館捜査のやつ、結構大物が関わってたんですね(゚A゚;)。浮気相手の娘が娼婦堕ちしてて、しかも亡くなってるとは・・・。

2022.05.28 笛路

 おゆう様

 感想ありがとうございます!

 思いのほかヘビーで中々に国を揺るがす大きな事件でした(´⌒`。)グスン
 仕事でヘロヘロになったテオ様、超レア←

解除
おゆう
2022.05.24 おゆう

閑話の妻を裏切って~と、続くベリンダ視点のとこ、どっちもツライですね😥。ホントにクズなら仕事を口実にしっかり娼婦で発散するんでしょうが。既婚者を使うなんて上も酷いヽ(`Д´)ノプンプン。

2022.05.24 笛路

 おゆう様

 感想ありがとうございます!

 スペンサー様は真面目なお方なのでした(*´Δ`*)ホロリ……
 ベリンダちゃん辛いけど、いい旦那捕まえたねぇ(作者←)

解除

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