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「ところで話の続き、いいかしら?」
「ん? いいぞ」
「えっと、それじゃ手を組んでくれるってことでいいのかしら?」
「おう。あ、でも攻略は明日からな。今日はコレを食って寝る」
「…………もしかしてそれ全部食べるの?」
ファオが不思議そうに、アヒロが両手に持つ大量の食糧を見つめてくる。
「当然だろ? これくらい少ねえくれえだし」
「少ないって……。普通の人の三日分くらいはありそうなんだけど……」
「市場はこの時間は大安売りしてるから買い時だよな!」
「アンタは主婦なの……?」
「主婦じゃねえよ。料理とかできねえし」
「……はい? それじゃアンタ、その食材調理しないの?」
「別に焼くくらいはできるぞ。何でも焼いたら食えるだろ?」
「焼いたらって……味付けは?」
「塩でいいだろ?」
「う、嘘でしょ? 調理ってそれだけ?」
「しょうがねえだろ。料理なんてできねえし。とりあえず焼けば安全だって師匠にも教えられてるしな」
ニカッと笑顔を見せつけるアヒロ。
最初はキョトンとしていたファオだが、
「…………はぁ。しょうがないわね、せっかく手を組んでくれたんだし、そのお礼として、今日は食事を作ってあげるわ」
「ホントかぁっ!?」
「きゃっ!? な、何よいきなり近づいて!? ちょ、近いってばっ!」
「あ、悪い悪い! けどマジで料理作ってくれんの!」
「だ、だから別に深い意味はないからね! こっちとしても、せっかく手に入れたビジネスパートナーの機嫌取りくらいにしか思ってないんだから!」
「うんうん、そういう感じでいいよ別に。そっかぁ、久しぶりに誰かの手作りかぁ。えへへ、何かいいなそれ」
「ア、アンタね……今のあたしの発言で普通は敬遠するはずよ……まあいいわ。今までお店とかも行ったことなかったの?」
「外食か? してねえぞ。金がもったいねえし」
かなりの大食漢なので、店で食べるよりは食材を買った方がまだマシなのだ。
「そんだけ食べるならお店は確かに止めた方がいいわね。お金がもったいないわ、うん」
「……もしかしてお前、金好きか?」
「当然よ! お金は大切よ! 生きていくにも何をするにもお金は絶対に必要だもの! だからあたしは将来必ずお金持ちになるのよっ!」
「いいじゃん。お前も将来の夢を持ってるってわけだな!」
「そ。アンタみたいに叶いそうもないものじゃないけどね。まったく、あんな夢を大勢の前で公言するなんてビックリよ」
「いやぁ、そんなに褒めんなよぉ」
「褒めてないわよっ!」
そうだったのか。ついつい大した奴だと褒められたと思ってしまった。
「……あれ? 大勢の前? 公言? どっかで言ったっけ?」
「【ティミッドブルー】の五階層で言ってたでしょ。《武競》でパオルに勝った後に」
「おお……ん? もしかしてあそこにいたのか?」
「そうよ。アレを見て、アンタと組もうって考えたんだから」
「ふぅん。まあいいや、んじゃ家に行くか……って、あ」
「何よ、どうかしたの?」
「さっきお前、オレとはあまり親しくならねえみてえなこと言ってたよな。いいんか? 食事なんか作ってもらっちゃってよ」
「へ? あ、ああそのこと。何だかアンタに距離を置こうが意味がないような気もするし、それに……」
ジッと見つめてくるので、アヒロも見返しながら「何だ?」と純粋に尋ねる。
「ん~ん、別に何でもないわよ。ただ、悪い奴じゃなさそうだしね。まだ子供だし」
「お前だって子供じゃんか」
「あ、あたしはこう見えても十四歳! れっきとした大人の淑女よ!」
「いや、オレと同じ歳だし」
「う、うるさいわね! ほら、さっさと案内しなさいよね!」
「分かった分かった!」
「それでいいのよ。けど誇りなさいよ。このあたしが料理を作ってあげるんだから!」
余程彼女の腕は確かなのだろうと思うと、思わず頬が緩む。
どんな料理を食べさせてくれるのか楽しみだった。
「ん? いいぞ」
「えっと、それじゃ手を組んでくれるってことでいいのかしら?」
「おう。あ、でも攻略は明日からな。今日はコレを食って寝る」
「…………もしかしてそれ全部食べるの?」
ファオが不思議そうに、アヒロが両手に持つ大量の食糧を見つめてくる。
「当然だろ? これくらい少ねえくれえだし」
「少ないって……。普通の人の三日分くらいはありそうなんだけど……」
「市場はこの時間は大安売りしてるから買い時だよな!」
「アンタは主婦なの……?」
「主婦じゃねえよ。料理とかできねえし」
「……はい? それじゃアンタ、その食材調理しないの?」
「別に焼くくらいはできるぞ。何でも焼いたら食えるだろ?」
「焼いたらって……味付けは?」
「塩でいいだろ?」
「う、嘘でしょ? 調理ってそれだけ?」
「しょうがねえだろ。料理なんてできねえし。とりあえず焼けば安全だって師匠にも教えられてるしな」
ニカッと笑顔を見せつけるアヒロ。
最初はキョトンとしていたファオだが、
「…………はぁ。しょうがないわね、せっかく手を組んでくれたんだし、そのお礼として、今日は食事を作ってあげるわ」
「ホントかぁっ!?」
「きゃっ!? な、何よいきなり近づいて!? ちょ、近いってばっ!」
「あ、悪い悪い! けどマジで料理作ってくれんの!」
「だ、だから別に深い意味はないからね! こっちとしても、せっかく手に入れたビジネスパートナーの機嫌取りくらいにしか思ってないんだから!」
「うんうん、そういう感じでいいよ別に。そっかぁ、久しぶりに誰かの手作りかぁ。えへへ、何かいいなそれ」
「ア、アンタね……今のあたしの発言で普通は敬遠するはずよ……まあいいわ。今までお店とかも行ったことなかったの?」
「外食か? してねえぞ。金がもったいねえし」
かなりの大食漢なので、店で食べるよりは食材を買った方がまだマシなのだ。
「そんだけ食べるならお店は確かに止めた方がいいわね。お金がもったいないわ、うん」
「……もしかしてお前、金好きか?」
「当然よ! お金は大切よ! 生きていくにも何をするにもお金は絶対に必要だもの! だからあたしは将来必ずお金持ちになるのよっ!」
「いいじゃん。お前も将来の夢を持ってるってわけだな!」
「そ。アンタみたいに叶いそうもないものじゃないけどね。まったく、あんな夢を大勢の前で公言するなんてビックリよ」
「いやぁ、そんなに褒めんなよぉ」
「褒めてないわよっ!」
そうだったのか。ついつい大した奴だと褒められたと思ってしまった。
「……あれ? 大勢の前? 公言? どっかで言ったっけ?」
「【ティミッドブルー】の五階層で言ってたでしょ。《武競》でパオルに勝った後に」
「おお……ん? もしかしてあそこにいたのか?」
「そうよ。アレを見て、アンタと組もうって考えたんだから」
「ふぅん。まあいいや、んじゃ家に行くか……って、あ」
「何よ、どうかしたの?」
「さっきお前、オレとはあまり親しくならねえみてえなこと言ってたよな。いいんか? 食事なんか作ってもらっちゃってよ」
「へ? あ、ああそのこと。何だかアンタに距離を置こうが意味がないような気もするし、それに……」
ジッと見つめてくるので、アヒロも見返しながら「何だ?」と純粋に尋ねる。
「ん~ん、別に何でもないわよ。ただ、悪い奴じゃなさそうだしね。まだ子供だし」
「お前だって子供じゃんか」
「あ、あたしはこう見えても十四歳! れっきとした大人の淑女よ!」
「いや、オレと同じ歳だし」
「う、うるさいわね! ほら、さっさと案内しなさいよね!」
「分かった分かった!」
「それでいいのよ。けど誇りなさいよ。このあたしが料理を作ってあげるんだから!」
余程彼女の腕は確かなのだろうと思うと、思わず頬が緩む。
どんな料理を食べさせてくれるのか楽しみだった。
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