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「大丈夫だって。それに〝地位の象徴〟相手でもちゃんと戦えてたじゃんか」
「それはそうだけどさ……。あの時はやらなきゃって思ってたし、それにセイバの呪文のお蔭もあって」
確かにあの時、ルフナは星馬の呪文のお蔭で身体能力は向上していたし、チョコの周りにもバリアを張っていたので、彼女に気を回す必要はなかった。
だから彼女本来の力を目一杯出すことができたのだ。
「だったら今回もオレがいるんだからさ」
「……確かにそうだね。うん、分かった。ボクだっていつまでもおんぶに抱っこじゃダメだし、強くなるためにも頑張らなきゃ」
すぐに前向きになる彼女のこういう姿は好感が持てる。
「んじゃ、この依頼ってことでOK?」
「じゃあボクが受付してくるね!」
と紙を持ったままルフナがカウンターへと再び移動していく。
「……ねえねえ、お兄ちゃん」
「ん? どしたチョコ?」
「これからどこか行くの?」
「うん、外に行くんだよ。【ラクシ―街道】ってとこにね」
「ふぅん。それってどこ?」
「この街からは三つの街道が伸びてるんだけど、そのうちの一つ――砂漠に通じる街道だね」
「さばくって、お砂がい~っぱいあるとこだよね。お砂遊びする?」
「いやいや、それも楽しそうだけど、それはまた今度だね」
「そっかぁ、残念」
砂漠で砂遊びとは規模が大きくて斬新な考えかもしれないが、サウナみたいに熱い場所で子供みたいに砂遊びする元気は星馬にはない。砂遊び自体、もう子供の頃に卒業したので。
ルフナが戻ってくるまで時間があるので、星馬はギルドの掲示板近くにチョコと二人で行って時間を潰すことに。
掲示板には何かの広告や依頼書などチラシ感覚で貼られている。また掲示板の下には小さな棚も設置されており、そこには雑誌や新聞などが置かれてあった。
(新聞かぁ、日本にいた時は興味なかったけど……)
と思いつつ、異世界の新聞はどんなものだと思いつつ手に取る。チョコは動物図鑑のようなものを手に取って見ているようだ。
新聞を広げて確認していると、やはり読んでも知らない国や街の名前や人物名が書かれておりサッパリ分からない。
(お、何かこの見出しがデカいな)
デカデカと一面を支配している記事があった。
(ん……【リーヴル王国】の滅亡、その引き金となったのは王国の隠し財宝……ねぇ)
一国が簡単に滅ぶ世界というのは本当に異常なことだ。しかもそれだけでなく、国民もほぼ死んでしまい、生き残った者たちは数えるほどだという。
(ふぅん。国王も王妃も死んで、その二人の子供は行方不明……か)
一体誰に国が滅ぼされたというのか。続きを読もうとした時、
「――お待たせ!」
ルフナが戻ってきた。チョコが図鑑を元に戻したので、星馬も反射的に新聞を折り畳んで戻す。内容は少し気になったが、別に暇潰しに読んでいただけなので、そのまま三人でギルドを出た。さっそくプチオルトロスが出没すると言われている【ラクシ―街道】へと向かうことに。
しかしある雑貨屋の前を通過しようとした時、
「――あ、アルくんだぁ!」
チョコが指を差してアルの存在を知らせてくれた。彼もまたチョコの甲高い声に気づいたのか、雑貨屋の前で振り返り星馬たちを視界に捉える。
「どうしたの、アルくん? 一人?」
ルフナが尋ねると、アルは首を左右に振る。
「いいえ、今カユキが買い出ししていますので、僕はここで待っているのです」
どうやら雑貨屋でカユキが明日からの旅に必要なものをいろいろ買い込んでいるようだ。
「皆さんはどちらへ?」
「ボクらはこれから【ラクシ―街道】に行くんだ」
「へ? 今からですか?」
「うん。多分数日は滞在するけど、お金をいっぱい貯めないといけないし」
最低でも金貨を900枚以上は集めなければならないのだ。
「なるほど。どうかお気をつけて」
「うん、また宿でね!」
アルの見送りを受けながら、星馬たちは街を出て行った。
「それはそうだけどさ……。あの時はやらなきゃって思ってたし、それにセイバの呪文のお蔭もあって」
確かにあの時、ルフナは星馬の呪文のお蔭で身体能力は向上していたし、チョコの周りにもバリアを張っていたので、彼女に気を回す必要はなかった。
だから彼女本来の力を目一杯出すことができたのだ。
「だったら今回もオレがいるんだからさ」
「……確かにそうだね。うん、分かった。ボクだっていつまでもおんぶに抱っこじゃダメだし、強くなるためにも頑張らなきゃ」
すぐに前向きになる彼女のこういう姿は好感が持てる。
「んじゃ、この依頼ってことでOK?」
「じゃあボクが受付してくるね!」
と紙を持ったままルフナがカウンターへと再び移動していく。
「……ねえねえ、お兄ちゃん」
「ん? どしたチョコ?」
「これからどこか行くの?」
「うん、外に行くんだよ。【ラクシ―街道】ってとこにね」
「ふぅん。それってどこ?」
「この街からは三つの街道が伸びてるんだけど、そのうちの一つ――砂漠に通じる街道だね」
「さばくって、お砂がい~っぱいあるとこだよね。お砂遊びする?」
「いやいや、それも楽しそうだけど、それはまた今度だね」
「そっかぁ、残念」
砂漠で砂遊びとは規模が大きくて斬新な考えかもしれないが、サウナみたいに熱い場所で子供みたいに砂遊びする元気は星馬にはない。砂遊び自体、もう子供の頃に卒業したので。
ルフナが戻ってくるまで時間があるので、星馬はギルドの掲示板近くにチョコと二人で行って時間を潰すことに。
掲示板には何かの広告や依頼書などチラシ感覚で貼られている。また掲示板の下には小さな棚も設置されており、そこには雑誌や新聞などが置かれてあった。
(新聞かぁ、日本にいた時は興味なかったけど……)
と思いつつ、異世界の新聞はどんなものだと思いつつ手に取る。チョコは動物図鑑のようなものを手に取って見ているようだ。
新聞を広げて確認していると、やはり読んでも知らない国や街の名前や人物名が書かれておりサッパリ分からない。
(お、何かこの見出しがデカいな)
デカデカと一面を支配している記事があった。
(ん……【リーヴル王国】の滅亡、その引き金となったのは王国の隠し財宝……ねぇ)
一国が簡単に滅ぶ世界というのは本当に異常なことだ。しかもそれだけでなく、国民もほぼ死んでしまい、生き残った者たちは数えるほどだという。
(ふぅん。国王も王妃も死んで、その二人の子供は行方不明……か)
一体誰に国が滅ぼされたというのか。続きを読もうとした時、
「――お待たせ!」
ルフナが戻ってきた。チョコが図鑑を元に戻したので、星馬も反射的に新聞を折り畳んで戻す。内容は少し気になったが、別に暇潰しに読んでいただけなので、そのまま三人でギルドを出た。さっそくプチオルトロスが出没すると言われている【ラクシ―街道】へと向かうことに。
しかしある雑貨屋の前を通過しようとした時、
「――あ、アルくんだぁ!」
チョコが指を差してアルの存在を知らせてくれた。彼もまたチョコの甲高い声に気づいたのか、雑貨屋の前で振り返り星馬たちを視界に捉える。
「どうしたの、アルくん? 一人?」
ルフナが尋ねると、アルは首を左右に振る。
「いいえ、今カユキが買い出ししていますので、僕はここで待っているのです」
どうやら雑貨屋でカユキが明日からの旅に必要なものをいろいろ買い込んでいるようだ。
「皆さんはどちらへ?」
「ボクらはこれから【ラクシ―街道】に行くんだ」
「へ? 今からですか?」
「うん。多分数日は滞在するけど、お金をいっぱい貯めないといけないし」
最低でも金貨を900枚以上は集めなければならないのだ。
「なるほど。どうかお気をつけて」
「うん、また宿でね!」
アルの見送りを受けながら、星馬たちは街を出て行った。
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