2 / 3
2話
しおりを挟む
ーー時は戻り義妹と婚約者が肩を組んで親しげに宿へ入っていった場面に戻る
「ミナ、お願いね。見張っていて。」
「はい、お嬢様。」
ミナは私の最も信頼する個人的なメイド。路地裏に倒れていたところを拾ってからミナは私に忠誠を誓っている。
あまり親しげにしていると義妹に奪われてしまうから家では距離を保って別のメイドたちと同じように接している。
手紙や暗号を使ってやり取りをしているわ。本当に面倒ね。でもここまでしないと義妹はミナを欲しがり奪われてしまう。
とはいってもミナは家が雇っているメイドではない。私が個人的に雇い、信頼して用事を言いつけられる唯一の味方。
義妹が欲しがってもそう簡単には渡さないわ!
早速父と兄を呼びに行く。私に無関心な父は私が涙ながらに婚約者の不貞の可能性を訴えたところで取り合ってはくれないだろう。
だが世間体を気にする人だ。伯爵家の名に傷がつくとなれば動く。兄は元々私に協力的で今回の作戦もある程度伝えている。
少し大袈裟に伯爵家の名に傷がつく可能性と婚約者の不貞の件を伝えると簡単に父は動いた。元々父が決めた婚約だ。もし不貞が事実であれば父の目がなかったということにもなる。
今の段階であれば最悪揉み消せる。そう考えて動いたのだろう。
まあこの婚約はさりげなく私が誘導したのだけれど。
さあ!楽しい楽しいショーの幕開けよ!
父と兄、数人の護衛を連れて義妹と婚約者が入っていった宿に押し入る。
店主は最初こそ当惑し拒んだが相手が貴族(それもそれなりの)と知るとすぐに手のひらを返したように協力的になった。
2人のいる部屋まで案内し鍵までご丁寧に開けてくれた。
バタンっ!!
いきなり開いた扉にベッドの中にいた2人の影はビクッと動いた。
「一体どういうことだね?デルク。」
「はっ、伯爵様がどうしてここに‥‥?」
間抜けな顔をして裸でいることも忘れたかのように惚けている婚約者。あら?毛布をかぶっていて義妹の姿が見えていないわね。
「デルク、これは一体どういうことなの?あなたは‥‥私の婚約者でしょう!!」
泣きそうに切なく、辛そうに語りかける。あぁ、反吐が出そうだわ。それにおかしくて笑ってしまいそう。だめよ、耐えなきゃ。腹筋が痛いわ。
「デルクぅ。どうしてお父様と義兄様、義姉様がここにいるのぉ?」
「マッマリカ‥‥。貴様!マリカにてを出したのか!!」
顔を赤くして今にも殴りかかりそうだ。
「お父様ぁ!デルクは悪くないのよ。あのね‥‥私、デルクを好きになってしまったの。ねぇ?お父様。私たち両思いなのよ!義姉様には勿体無いでしょう?私、デルクと一緒になりたいわ!」
「マリカ‥‥。そう‥‥か。そうなのか。まあ元々家との結びつきのためだったしな。マリカであっても何ら問題はない。容姿も家柄もいい。本当に本気なんだな?マリカ。」
「ええ!お父様!ありがとう!!大好きよ!」
「まっ、待ってください。デルクは‥‥私の婚約者なんですよ?ねぇ!出る雲なんとかいってよ!私を愛してるっていってくれたじゃない!私‥‥本気だったのよ。あなたは‥‥あなただけは!!信じていたのに‥‥。」
悲壮感を漂わせてそういえばデルクは目を逸らし、義妹は笑みを深め、父は面倒くさそうな顔をする。
ほんとわかりやすくて笑えるわ。
「お前は姉なんだから妹の幸せを願えないのか!!デルクはマリカと結婚させる。これは決定事項だ。これ以上口を挟むな!!」
「義姉様ぁ?ごめんなさい。私‥‥私がデルクを好きになってしまったから。でも‥‥私たち両思いなのよ。優しい義姉様は譲ってくれるでしょう?」
「‥‥。マリカ、冷えてしまうよ。」
「ありがとう、デルク!」
まるで見せつけるように寄り添う2人。本当に好きよねぇ、私から奪うのが。
でも地獄を見るのはあなたよ?効果が出るのはあと数年はかかる。でもそれに気づいた時、すでに全てが手遅れなのよ。精々今を楽しみなさい。
「そう‥‥。」
肩を落として帰る私を最後まで愉快そうに見つめる義妹の顔はまるで悪魔のようだわ。醜悪で、気持ちの悪い。
さっさと立ち去りましょう。目的を果たした以上ここにいる必要はないわ。
「ミナ、お願いね。見張っていて。」
「はい、お嬢様。」
ミナは私の最も信頼する個人的なメイド。路地裏に倒れていたところを拾ってからミナは私に忠誠を誓っている。
あまり親しげにしていると義妹に奪われてしまうから家では距離を保って別のメイドたちと同じように接している。
手紙や暗号を使ってやり取りをしているわ。本当に面倒ね。でもここまでしないと義妹はミナを欲しがり奪われてしまう。
とはいってもミナは家が雇っているメイドではない。私が個人的に雇い、信頼して用事を言いつけられる唯一の味方。
義妹が欲しがってもそう簡単には渡さないわ!
早速父と兄を呼びに行く。私に無関心な父は私が涙ながらに婚約者の不貞の可能性を訴えたところで取り合ってはくれないだろう。
だが世間体を気にする人だ。伯爵家の名に傷がつくとなれば動く。兄は元々私に協力的で今回の作戦もある程度伝えている。
少し大袈裟に伯爵家の名に傷がつく可能性と婚約者の不貞の件を伝えると簡単に父は動いた。元々父が決めた婚約だ。もし不貞が事実であれば父の目がなかったということにもなる。
今の段階であれば最悪揉み消せる。そう考えて動いたのだろう。
まあこの婚約はさりげなく私が誘導したのだけれど。
さあ!楽しい楽しいショーの幕開けよ!
父と兄、数人の護衛を連れて義妹と婚約者が入っていった宿に押し入る。
店主は最初こそ当惑し拒んだが相手が貴族(それもそれなりの)と知るとすぐに手のひらを返したように協力的になった。
2人のいる部屋まで案内し鍵までご丁寧に開けてくれた。
バタンっ!!
いきなり開いた扉にベッドの中にいた2人の影はビクッと動いた。
「一体どういうことだね?デルク。」
「はっ、伯爵様がどうしてここに‥‥?」
間抜けな顔をして裸でいることも忘れたかのように惚けている婚約者。あら?毛布をかぶっていて義妹の姿が見えていないわね。
「デルク、これは一体どういうことなの?あなたは‥‥私の婚約者でしょう!!」
泣きそうに切なく、辛そうに語りかける。あぁ、反吐が出そうだわ。それにおかしくて笑ってしまいそう。だめよ、耐えなきゃ。腹筋が痛いわ。
「デルクぅ。どうしてお父様と義兄様、義姉様がここにいるのぉ?」
「マッマリカ‥‥。貴様!マリカにてを出したのか!!」
顔を赤くして今にも殴りかかりそうだ。
「お父様ぁ!デルクは悪くないのよ。あのね‥‥私、デルクを好きになってしまったの。ねぇ?お父様。私たち両思いなのよ!義姉様には勿体無いでしょう?私、デルクと一緒になりたいわ!」
「マリカ‥‥。そう‥‥か。そうなのか。まあ元々家との結びつきのためだったしな。マリカであっても何ら問題はない。容姿も家柄もいい。本当に本気なんだな?マリカ。」
「ええ!お父様!ありがとう!!大好きよ!」
「まっ、待ってください。デルクは‥‥私の婚約者なんですよ?ねぇ!出る雲なんとかいってよ!私を愛してるっていってくれたじゃない!私‥‥本気だったのよ。あなたは‥‥あなただけは!!信じていたのに‥‥。」
悲壮感を漂わせてそういえばデルクは目を逸らし、義妹は笑みを深め、父は面倒くさそうな顔をする。
ほんとわかりやすくて笑えるわ。
「お前は姉なんだから妹の幸せを願えないのか!!デルクはマリカと結婚させる。これは決定事項だ。これ以上口を挟むな!!」
「義姉様ぁ?ごめんなさい。私‥‥私がデルクを好きになってしまったから。でも‥‥私たち両思いなのよ。優しい義姉様は譲ってくれるでしょう?」
「‥‥。マリカ、冷えてしまうよ。」
「ありがとう、デルク!」
まるで見せつけるように寄り添う2人。本当に好きよねぇ、私から奪うのが。
でも地獄を見るのはあなたよ?効果が出るのはあと数年はかかる。でもそれに気づいた時、すでに全てが手遅れなのよ。精々今を楽しみなさい。
「そう‥‥。」
肩を落として帰る私を最後まで愉快そうに見つめる義妹の顔はまるで悪魔のようだわ。醜悪で、気持ちの悪い。
さっさと立ち去りましょう。目的を果たした以上ここにいる必要はないわ。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
37
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる