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 怜司があっさり寝落ちしたことに安堵して、躰に巻きついてる両腕を振りほどき、布団から抜け出る。

(ナカ出しされたままだと、お腹を壊すって浩司兄ちゃんが言ってたというのに、なにもせずに寝ちゃうとは……)

 お風呂場に行って、自分の手で掻き出さなきゃいけないことにゲンナリしつつ部屋を出て、薄闇の廊下を歩きはじめた瞬間だった。

「龍?」

 なぜか目の前に、浩司兄ちゃんが現れた。音もなく現れたせいですごく驚き、悲鳴をあげかけた僕の口元を大きな手が塞ぐ。

「ごめんごめん。驚かせてしまったね」

 言いながら僕の口を塞いだ手を外し、廊下の電気をつけてくれる。苦笑いした浩司兄ちゃんが僕を見下ろした。

「浩司兄ちゃん、どうしたの?」

「怜司が部屋にいなかったものだからさ。きっと龍のところに行ったと思って、注意しようとおりて来たんだ。だけど遅かったみたいだな」

 今の僕の姿は、怜司から借りてるツルツルのシャツを肩にかけてる状態で、中は素っ裸だった。行為がなされたことは一目瞭然である。

「その……ナカ出しされちゃって、そのままだったから、キレイにしたいなと」

「俺が綺麗にしてあげる。アイツの挿れたあとだから、痛みとかはない?」

 訊ねながら僕の腰を抱き寄せ、浩司兄ちゃんの躰にくっつけられて廊下を進み、そのまま階段をあがる。

「お風呂でキレイにしないの?」

「龍が楽な体勢でしてあげる。痛くないようにしてあげるから、安心して」

 浩司兄ちゃんに導かれて連れられたのは、彼の部屋だった。机の上には勉強した形跡が残っていて、さっきまで頑張っていたのがわかる。

「浩司兄ちゃんごめんね。模試の勉強の途中だったんじゃないの?」

「今日の分は終わってる。大丈夫だ」

 部屋の中央に佇む僕に背を向けた浩司兄ちゃんは、クローゼットからバスタオルを出して、ベッドの上にそれを敷いた。

「さぁ龍、ここに横になってくれ」

 浩司兄ちゃんは僕を誘うとベッドに腰かけて、バスタオルの上を左手で叩く。それに導かれるようにベッドに近づいて、思いきって仰向けになった。

(ここに横たわると、浩司兄ちゃんの匂いを強く感じるな――)

「龍、なにを考えてる?」

「えっ?」

「横になった瞬間、なんかニヤけたからさ」

 腰かけていた浩司兄ちゃんが僕に跨り、優しくほほ笑んだ顔を寄せる。

「ニヤけたつもりはないのに」

「俺は嬉しいよ。大好きな龍が俺のベッドに寝てるだけで、独り占めした気分になれる」

 ちょっと掠れた低い声が耳に届いたときには、僕の唇は柔らかいものに塞がれていた。
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