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第五章 ショコラを作る手、甘味店《ショコラトリエ・アルセリア》、開店!
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騎士団の皆さんに手土産持参がてら、少し挨拶するだけのつもりだったのに――入口から中に入った瞬間、団員みんなの目がギラッと光った。
「あっ! 真琴殿だ!!」
「副団長の……!」
「今日の議題の中心人物!」
(えっ、議題に僕の名前が出るって、いったい!?)
嫌な予感しかしない。そのことに僕がそわそわしていると、目の前の階段から降りてきたラディス団長が優雅に手を振った。
「真琴殿、ようこそ。さ、こちらへ。昨日は、うちの副団長が大変失礼した」
「い、いえ! リオンは、いつもすごく優しいので!」
(――あ、言いすぎたかな)
その場にいた団員たちがざわめく。
「優しい? あの副団長が?」
「仕事の時は氷なのに……」
「恋ってすげぇ……」
団長は、口の端を楽しそうに上げた。
「真琴殿。彼の“どんなところ”が優しいと思うんだい?」
僕は思いついたまま、正直に答える。
「毎日なんですけど――」
顎に手を当てて考えていると、なぜか団員全員が身を乗り出す。
「僕が仕事をしていたら、何も言わずに後ろで見守ってくるんです。気配だけ傍にある感じで……落ち着くというか」
「「「毎日!」」」
(――え、そんな大袈裟になる?)
団長は頷きながら、僕の言葉をゆっくり復唱した。
「つまり副団長は“真琴殿の後ろに、毎日欠かさず張り付いて見守っている”と?」
「えっと……はい。気づいたらいます」
「「「スト――!」」」
「真琴!」
僕が振り返ると、いつの間にかリオンが団員たちの後ろに立っていた。顔は真っ赤なのに、威圧感がすごい。
「ま、真琴……何を……言って……」
「え? 本当のことだけど?」
団員たちが“やっぱり!”という叫びをあげる。
「副団長は四六時中、真琴殿の護衛をしてんのか!」
「それ、恋人以上の過保護では!」
「距離感ゼロじゃん!」
「いいぞ、もっと聞かせろ!」
団員たちのセリフに、耳まで真っ赤になったリオン。
「違う、私は……真琴が危ない目に……遭わないよう……」
「うん、知ってるよ? 僕、すごく安心だし」
率直に答えたら、リオンは顔を覆ってその場にしゃがみ込む。
(――え、なんでそんなに⁉)
団長が笑いながら、さらに僕に訊ねる。
「真琴殿。他にも何か“副団長の優しいところ”を?」
「え……たくさんありますけど……」
『全部言って!』
声を揃えた団員たちの迫力に驚きつつ、少し恥ずかしいけど思いつくままに話した。
「えっと夜、僕が寒そうにしてたら、いつの間にか上着をかけてくれたり」
「優しい!」
絶妙な合の手を入れる団員たちとは裏腹に、リオンはどんどん小さくなっていく。
「忙しいのに、帰る時は必ず店の前まで来てくれたり」
「副団長、完全に惚れてる!」
「僕が眠そうにしてると、“肩貸すか?”って……」
「肩っ⁉」
「ま、真琴、ストップだ!」
「あと……僕が困ってると、すぐ頭を撫でてくれて」
「撫でるんかい!」
リオンは、ついに崩れた。
「も、もう無理だ……真琴……これ以上は私の……生命力が尽きる」
(あれ、なんか僕、悪いことしてる……?)
団長が最後に、意味深な笑みを浮かべて聞いてきた。
「では真琴殿。副団長は君にとって、どういう存在だと思う?」
「そうですね……隣にいてくれたら、嬉しい人です」
考えるより先に、口がそう動いていた。
「「「プロポーズか!」」」
「くっ!」
リオンの顔が、赤を通り越して真っ白になった。そんな彼の肩を、団長が優しく叩く。
「副団長……これは、もう責任を取るべきだね」
「な、何を⁉」
団長は、僕に向かって軽く微笑んだ。
「真琴殿、君は今日、騎士団にとって大変貴重な“資料”を提供してくれたよ」
「資料ですか?」
「“副団長リオン、重度の恋患い”という確実な証拠だ」
「団長おおおおおおおお!」
この瞬間、大広間が爆笑で揺れた。そしてその日、議題が一つ追加されたそう。
《第四議題:副団長リオンと真琴殿の関係進捗について、週次報告体制を構築すること》
(※団長が昨夜のうちに追記)
その場で崩れ落ちたリオンに、僕は慌てて駆け寄った。
「リオン、 大丈夫?」
「真琴……もう……私を……これ以上……殺さないでくれ」
(――なんで? 僕、ただ事実を言っただけなのに?)
騎士団の皆さんに手土産持参がてら、少し挨拶するだけのつもりだったのに――入口から中に入った瞬間、団員みんなの目がギラッと光った。
「あっ! 真琴殿だ!!」
「副団長の……!」
「今日の議題の中心人物!」
(えっ、議題に僕の名前が出るって、いったい!?)
嫌な予感しかしない。そのことに僕がそわそわしていると、目の前の階段から降りてきたラディス団長が優雅に手を振った。
「真琴殿、ようこそ。さ、こちらへ。昨日は、うちの副団長が大変失礼した」
「い、いえ! リオンは、いつもすごく優しいので!」
(――あ、言いすぎたかな)
その場にいた団員たちがざわめく。
「優しい? あの副団長が?」
「仕事の時は氷なのに……」
「恋ってすげぇ……」
団長は、口の端を楽しそうに上げた。
「真琴殿。彼の“どんなところ”が優しいと思うんだい?」
僕は思いついたまま、正直に答える。
「毎日なんですけど――」
顎に手を当てて考えていると、なぜか団員全員が身を乗り出す。
「僕が仕事をしていたら、何も言わずに後ろで見守ってくるんです。気配だけ傍にある感じで……落ち着くというか」
「「「毎日!」」」
(――え、そんな大袈裟になる?)
団長は頷きながら、僕の言葉をゆっくり復唱した。
「つまり副団長は“真琴殿の後ろに、毎日欠かさず張り付いて見守っている”と?」
「えっと……はい。気づいたらいます」
「「「スト――!」」」
「真琴!」
僕が振り返ると、いつの間にかリオンが団員たちの後ろに立っていた。顔は真っ赤なのに、威圧感がすごい。
「ま、真琴……何を……言って……」
「え? 本当のことだけど?」
団員たちが“やっぱり!”という叫びをあげる。
「副団長は四六時中、真琴殿の護衛をしてんのか!」
「それ、恋人以上の過保護では!」
「距離感ゼロじゃん!」
「いいぞ、もっと聞かせろ!」
団員たちのセリフに、耳まで真っ赤になったリオン。
「違う、私は……真琴が危ない目に……遭わないよう……」
「うん、知ってるよ? 僕、すごく安心だし」
率直に答えたら、リオンは顔を覆ってその場にしゃがみ込む。
(――え、なんでそんなに⁉)
団長が笑いながら、さらに僕に訊ねる。
「真琴殿。他にも何か“副団長の優しいところ”を?」
「え……たくさんありますけど……」
『全部言って!』
声を揃えた団員たちの迫力に驚きつつ、少し恥ずかしいけど思いつくままに話した。
「えっと夜、僕が寒そうにしてたら、いつの間にか上着をかけてくれたり」
「優しい!」
絶妙な合の手を入れる団員たちとは裏腹に、リオンはどんどん小さくなっていく。
「忙しいのに、帰る時は必ず店の前まで来てくれたり」
「副団長、完全に惚れてる!」
「僕が眠そうにしてると、“肩貸すか?”って……」
「肩っ⁉」
「ま、真琴、ストップだ!」
「あと……僕が困ってると、すぐ頭を撫でてくれて」
「撫でるんかい!」
リオンは、ついに崩れた。
「も、もう無理だ……真琴……これ以上は私の……生命力が尽きる」
(あれ、なんか僕、悪いことしてる……?)
団長が最後に、意味深な笑みを浮かべて聞いてきた。
「では真琴殿。副団長は君にとって、どういう存在だと思う?」
「そうですね……隣にいてくれたら、嬉しい人です」
考えるより先に、口がそう動いていた。
「「「プロポーズか!」」」
「くっ!」
リオンの顔が、赤を通り越して真っ白になった。そんな彼の肩を、団長が優しく叩く。
「副団長……これは、もう責任を取るべきだね」
「な、何を⁉」
団長は、僕に向かって軽く微笑んだ。
「真琴殿、君は今日、騎士団にとって大変貴重な“資料”を提供してくれたよ」
「資料ですか?」
「“副団長リオン、重度の恋患い”という確実な証拠だ」
「団長おおおおおおおお!」
この瞬間、大広間が爆笑で揺れた。そしてその日、議題が一つ追加されたそう。
《第四議題:副団長リオンと真琴殿の関係進捗について、週次報告体制を構築すること》
(※団長が昨夜のうちに追記)
その場で崩れ落ちたリオンに、僕は慌てて駆け寄った。
「リオン、 大丈夫?」
「真琴……もう……私を……これ以上……殺さないでくれ」
(――なんで? 僕、ただ事実を言っただけなのに?)
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