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番外編
番外編 アルセリア市民は見た!商人さん視点:騎士様こわかったその2
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――私は、ただいつものように納品に来ただけ。ここの店主である真琴さんは礼儀正しいし、話しやすい人だ。
騎士団副団長のリオン殿が店にいると聞いたときも、正直少し緊張したが、まさかあんな目に遭うとは思わなかった。
「こんにちはー、失礼します!」
いつものように店に入った瞬間、私は見惚れてしまった。そこにいたのは、完璧に整った姿勢で、やわらかく微笑む騎士――リオン殿。
(うわ……なんだこの“王宮の広報に描かれる、理想の騎士”みたいな笑顔は!)
品があって、優しげで、誠実で――ちょっと近寄りがたいほど、完璧な“騎士スマイル”。
私は緊張しながら、真琴さんに挨拶した。
「真琴さん、いつもお世話になっております」
「こちらこそ。いつも素材をありがとうございます」
真琴さんが笑うと、店が明るくなる。その横で、リオン殿は目を細めた。
(いや……これはもう……守護神だな)
そう思った矢先、違和感が走った。リオン殿が、すっと真琴さんの前に立った。それは自然な動きではある。だがわかる、あれは壁だ。完全に“間に入ってきた”動きだった。
(え? なに? 私、なんか失礼した!?)
「商人殿、貴殿の品はいつも素晴らしい」
耳障りのいい柔らかな声。しかも微笑んでさえいる。
(なんて優しい……いや、でもなんで寒気がするの?)
「いえいえ、とんでもない! 副団長殿にそう言っていただけるとは光栄で――」
「ただし」
怖かった。笑顔のまま、声だけがすっと低くなるのが、ものすごく怖かった。
「真琴に“親切すぎる”必要はない」
(……え? 今……なんて?)
やわらかい笑みなのだ。怒っているようには見えない。けれど目が――目がまったく笑っていない。
(こ、これは“笑っているのに、怒っている人”の目だ!)
私は慌てて言った。
「え、えぇと……もちろん仕事上の礼儀でして……」
「なら良い」
(――リオン殿、見るからによくなさそうな顔してません!?)
心の中で悲鳴をあげる。本能が訴える。
(これは……大型魔獣に背を向けちゃいけない時と同じやつだ!)
「真琴さんは本当にいい人ですねぇ。こんな方が恋人なら幸せでしょうに」
ただの社交辞令だった。当然深い意味はない。それなのにリオン殿が、微笑んだまま言った。
「商人殿……もしや、真琴を狙っているのではないか?」
あ、これは地雷だったのか。なぜ私は触れてしまったのだ。
「へっ?」
「残念だが、彼には既に決まった人がいる」
「あ、そう、でしたか……?」
(ひぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~)
目の前で、すごい迫力の“静かな威嚇”が行われていた。しかも、真琴さんが真っ赤になっている。
リオン殿は一切目を逸らさない。
(恋愛の只中にいる恋人の“アレ”じゃないですか!? 私はなぜその現場に居合わせているんですか!?)
私はもう、命の危険を感じてしまい。
「し、失礼しました! 本日はこれで!」
逃げるようにカタログを投げ置き、店を飛び出した。外に出て、膝が笑った。
「な、なんだ今の……リオン殿……笑ってたのに……あれ絶対、怒ってたやつ!」
鼓動がまだ速い。
(ひょっとして……真琴さんが好きなんじゃ……?)
店でのやり取りを思い返す。あの壁みたいな立ち位置。妙に距離感を詰めてくる感じ。声は丁寧なのに、圧が怖すぎる笑顔。
(……いやもう確定だろう)
そして商人として、私は特別に学んだ。
・嫉妬した騎士様の営業スマイルは、素人には処理できない。
・真琴さんの隣に近づくと死ぬ。
商人としての教訓が、ひとつ増えた気がする。
騎士団副団長のリオン殿が店にいると聞いたときも、正直少し緊張したが、まさかあんな目に遭うとは思わなかった。
「こんにちはー、失礼します!」
いつものように店に入った瞬間、私は見惚れてしまった。そこにいたのは、完璧に整った姿勢で、やわらかく微笑む騎士――リオン殿。
(うわ……なんだこの“王宮の広報に描かれる、理想の騎士”みたいな笑顔は!)
品があって、優しげで、誠実で――ちょっと近寄りがたいほど、完璧な“騎士スマイル”。
私は緊張しながら、真琴さんに挨拶した。
「真琴さん、いつもお世話になっております」
「こちらこそ。いつも素材をありがとうございます」
真琴さんが笑うと、店が明るくなる。その横で、リオン殿は目を細めた。
(いや……これはもう……守護神だな)
そう思った矢先、違和感が走った。リオン殿が、すっと真琴さんの前に立った。それは自然な動きではある。だがわかる、あれは壁だ。完全に“間に入ってきた”動きだった。
(え? なに? 私、なんか失礼した!?)
「商人殿、貴殿の品はいつも素晴らしい」
耳障りのいい柔らかな声。しかも微笑んでさえいる。
(なんて優しい……いや、でもなんで寒気がするの?)
「いえいえ、とんでもない! 副団長殿にそう言っていただけるとは光栄で――」
「ただし」
怖かった。笑顔のまま、声だけがすっと低くなるのが、ものすごく怖かった。
「真琴に“親切すぎる”必要はない」
(……え? 今……なんて?)
やわらかい笑みなのだ。怒っているようには見えない。けれど目が――目がまったく笑っていない。
(こ、これは“笑っているのに、怒っている人”の目だ!)
私は慌てて言った。
「え、えぇと……もちろん仕事上の礼儀でして……」
「なら良い」
(――リオン殿、見るからによくなさそうな顔してません!?)
心の中で悲鳴をあげる。本能が訴える。
(これは……大型魔獣に背を向けちゃいけない時と同じやつだ!)
「真琴さんは本当にいい人ですねぇ。こんな方が恋人なら幸せでしょうに」
ただの社交辞令だった。当然深い意味はない。それなのにリオン殿が、微笑んだまま言った。
「商人殿……もしや、真琴を狙っているのではないか?」
あ、これは地雷だったのか。なぜ私は触れてしまったのだ。
「へっ?」
「残念だが、彼には既に決まった人がいる」
「あ、そう、でしたか……?」
(ひぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~)
目の前で、すごい迫力の“静かな威嚇”が行われていた。しかも、真琴さんが真っ赤になっている。
リオン殿は一切目を逸らさない。
(恋愛の只中にいる恋人の“アレ”じゃないですか!? 私はなぜその現場に居合わせているんですか!?)
私はもう、命の危険を感じてしまい。
「し、失礼しました! 本日はこれで!」
逃げるようにカタログを投げ置き、店を飛び出した。外に出て、膝が笑った。
「な、なんだ今の……リオン殿……笑ってたのに……あれ絶対、怒ってたやつ!」
鼓動がまだ速い。
(ひょっとして……真琴さんが好きなんじゃ……?)
店でのやり取りを思い返す。あの壁みたいな立ち位置。妙に距離感を詰めてくる感じ。声は丁寧なのに、圧が怖すぎる笑顔。
(……いやもう確定だろう)
そして商人として、私は特別に学んだ。
・嫉妬した騎士様の営業スマイルは、素人には処理できない。
・真琴さんの隣に近づくと死ぬ。
商人としての教訓が、ひとつ増えた気がする。
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