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4.王宮
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「お父様!お願いです、この前のお詫びにお姉様とお菓子を王子様に届けさせてください!」
私はその日お父様の部屋へと直談判に向かっていた。
「アリア、今日も可愛いね。で、王子との件ね⋯⋯あれはお父様無かったことにしようかなーって思ってるんだよ」
お父様はニコニコと私に笑いかけながら答えた。
「え!?」
「どうもガーネットも王子を気に入ってないみたいだしね。お父様はガーネットには幸せになって貰いたいんだ、どうせならずっと家にいてもいいくらいだ!」
お父様?後ろの方が本音では?
私はお父様の膝元に行くと上目遣いにお父様を見上げた。
この角度がお父様に一番弱い事を知っていた。
「お父様?お姉様はまだゆっくりと王子様とお話してないの⋯⋯それは私が邪魔をしちゃったから⋯⋯だからお願い、もう一度お姉様と王子様を会わせてあげて、それで駄目ならお父様の言う通りにするから⋯⋯」
ダメ押しで目をうるませてお父様の手をギュッと掴んだ。
お父様はすぐに私を抱きしめると必ず会わせると約束してくれた。
そしてお願いから三日後⋯⋯
「お姉様!明日私と王宮に行きましょう!」
私はお姉様の部屋へノックもせずに飛び込んだ。
しかし突然の事にもお姉様は優雅にソファーに座りお茶を飲んでいた。
これが私ならスカートを捲し上げて寝転んでいたところだろう。
「アリア、突然なに?」
「お父様が明日王宮に行くから私達も連れて行ってくれるって!それで王子様とまた少し話す時間を作るからって!」
「アリア、もういいのよ。私達話も進まないし」
「大丈夫!今度は私も同席するからお姉様を助けるよ!」
「アリアが?」
お姉様はそう聞くと少し笑顔を見せた。
「それなら行ってようかな」
「やった!じゃあさ!クッキー焼こう、お姉様のクッキー大好きなの!王子にも食べさせようよ!」
「ふふ、そう言ってアリアが食べたいだけじゃないの?」
「バレたか!」
私が舌を出すとお姉様は笑いながらも席を立った。
お姉様なら絶対に焼いてくれると私はわかっていた。
その日二人でクッキーを焼くと箱に詰めて明日の準備を整える。
明日お姉様を王子様と仲良くさせる!そして私はジェイド様にお礼を⋯⋯
お姉様に協力して貰い作ったクッキーを抱きしめた。
次の日、興奮からよく眠れず気がつけば朝になっていた。
少し眠いが興奮もありなんとか起き上がる。
支度を侍女達に整えて貰い部屋を出ると⋯⋯
「わぁ!お姉様素敵!」
お姉様は真っ赤な髪に合わせた緑を基調としたドレス 、まぁお姉様ならどんな色でも似合う。
「アリアも可愛いわ」
「えっ、あ、ありがとうございます⋯⋯」
私はお姉様に褒められてモジモジと身をよじった。
「うん、私の娘達はは天使だな!」
お父様はそんな私達の肩を掴んで誇らしげに頷いている。
「あなた達、とても綺麗よ。私は行けないけど礼儀正しくね。ガーネット、アリアネルをよろしくね」
「はい、お母様」
お母様に見送られ私達は馬車に揺られて王宮を目指した。
私は馬車の揺れに早々に眠りに落ちてしまった。
「アリア、もうつくわ。起きて」
「ん~お姉様の声で起きるなんてなんて贅沢⋯⋯」
私は布団に顔を擦りながら至福の夢に酔いしれていた。
「くすぐったいわ、アリア」
お姉様の笑い声が頭の上から聞こえてハッとして飛び起きた!
なんと私はお姉様の肘で眠ってしまっていた!
お姉様の膝枕なんて贅沢すぎる!
「お姉様!すみません⋯⋯私ったらなんてことを⋯⋯」
いくら払えばいいのか分からない行為に軽くパニックになる。
「いいのよ、あなたは可愛い妹だもの。それよりももう王宮につくから髪と服を直しましょ」
「はい!」
私は侍女に少し髪を直して貰い服を整えてお姉様の横に腰掛けた。
するとすぐに馬車が止まった。
まずはお父様が降りて次にお姉様、その次に私が二人に手を取ってもらって降りた。
「おお、これがあのお城かー」
家の屋敷がすっぽりと入ってしまうほど大きな建物に目を奪われる。
「口が開いてるぞ」
「え!」
慌てて口を手で押さえると横にジェイド様が立っていた。
「ジェ、ジェイド様!あの時はすみませんでした!それにありがとうございます!」
私は顔を見たらまっさきにお礼を言おうと思ってて挨拶より先に謝ってしまった。
「いえ、アリアネル様が元気そうで良かったです。元気すぎるみたいですが⋯⋯」
ジロっと白い目で見られる。
「うっ⋯⋯」
その目に弱い⋯⋯
私は今日は倒れるもんかと踏ん張った!
「ふー、大丈夫です!」
汗を拭うと笑い声が後ろからする。
「あはは、ガーネットの妹は面白いな」
あれは!
私はバッとお姉様の方を見る。
するとお姉様は顔が強ばり下を向いていた。
私はサッとお姉様の後ろに隠れてお姉様の手を握りしめた。
「お姉様⋯⋯挨拶ってどうやるんでしたっけ?」
そっと呟くとお姉様の肩の力がスっと抜けた。
「スピネル王子、ジェイド様この度はお招きありがとうございます。クライス家の長女ガーネットでございます。こちらは妹のアリアネルです」
「こんにちは」
お姉様が見本のようなお辞儀をしたので私はお姉様の後ろで腰を落として挨拶をする。
「妹は初めましてだね。スピネルとこっちの怖い顔がジェイドだよろしく」
王子は爽やかな笑顔で私に挨拶をしてくれた。
「ガーネットも来てくれて嬉しい。早速城を案内しよう。クライス様いいですか?」
お父様に挨拶をして許可を取ると王子はお姉様に腕を差し出した。
おお!
お姉様の一つ上と聞いていたがこれまたどうしていい王子である。
王子は少しだけ赤みがかった金髪でジェイド様と並ぶと金と銀で華やかさがます。
真っ直ぐで正義感の強い金か腹黒で冷たいクールな銀かで女性達は別れるのだ。
お姉様は少し固い表情で頷くとお父様に頭を下げて王子の腕をとった。
「んー!」
叫びたいのを必死に堪えて私はお姉様の後を追いかけようとすると⋯⋯
「アリアネル様は私が」
ジェイド様に手を差し出される。
「へ?」
場違いな変な声が出てしまうとジェイド様はぷッと吹き出して横を向き顔を隠した。
そして咳払いすると顔を戻し私の手を取る。
「また倒れられたら困るからな」
言葉とは裏腹に優しく手を掴んでエスコートしてくれた。
「うっ⋯⋯」
お父様はそんな私達を泣きながら見送り仕事に向かっていた。
私はその日お父様の部屋へと直談判に向かっていた。
「アリア、今日も可愛いね。で、王子との件ね⋯⋯あれはお父様無かったことにしようかなーって思ってるんだよ」
お父様はニコニコと私に笑いかけながら答えた。
「え!?」
「どうもガーネットも王子を気に入ってないみたいだしね。お父様はガーネットには幸せになって貰いたいんだ、どうせならずっと家にいてもいいくらいだ!」
お父様?後ろの方が本音では?
私はお父様の膝元に行くと上目遣いにお父様を見上げた。
この角度がお父様に一番弱い事を知っていた。
「お父様?お姉様はまだゆっくりと王子様とお話してないの⋯⋯それは私が邪魔をしちゃったから⋯⋯だからお願い、もう一度お姉様と王子様を会わせてあげて、それで駄目ならお父様の言う通りにするから⋯⋯」
ダメ押しで目をうるませてお父様の手をギュッと掴んだ。
お父様はすぐに私を抱きしめると必ず会わせると約束してくれた。
そしてお願いから三日後⋯⋯
「お姉様!明日私と王宮に行きましょう!」
私はお姉様の部屋へノックもせずに飛び込んだ。
しかし突然の事にもお姉様は優雅にソファーに座りお茶を飲んでいた。
これが私ならスカートを捲し上げて寝転んでいたところだろう。
「アリア、突然なに?」
「お父様が明日王宮に行くから私達も連れて行ってくれるって!それで王子様とまた少し話す時間を作るからって!」
「アリア、もういいのよ。私達話も進まないし」
「大丈夫!今度は私も同席するからお姉様を助けるよ!」
「アリアが?」
お姉様はそう聞くと少し笑顔を見せた。
「それなら行ってようかな」
「やった!じゃあさ!クッキー焼こう、お姉様のクッキー大好きなの!王子にも食べさせようよ!」
「ふふ、そう言ってアリアが食べたいだけじゃないの?」
「バレたか!」
私が舌を出すとお姉様は笑いながらも席を立った。
お姉様なら絶対に焼いてくれると私はわかっていた。
その日二人でクッキーを焼くと箱に詰めて明日の準備を整える。
明日お姉様を王子様と仲良くさせる!そして私はジェイド様にお礼を⋯⋯
お姉様に協力して貰い作ったクッキーを抱きしめた。
次の日、興奮からよく眠れず気がつけば朝になっていた。
少し眠いが興奮もありなんとか起き上がる。
支度を侍女達に整えて貰い部屋を出ると⋯⋯
「わぁ!お姉様素敵!」
お姉様は真っ赤な髪に合わせた緑を基調としたドレス 、まぁお姉様ならどんな色でも似合う。
「アリアも可愛いわ」
「えっ、あ、ありがとうございます⋯⋯」
私はお姉様に褒められてモジモジと身をよじった。
「うん、私の娘達はは天使だな!」
お父様はそんな私達の肩を掴んで誇らしげに頷いている。
「あなた達、とても綺麗よ。私は行けないけど礼儀正しくね。ガーネット、アリアネルをよろしくね」
「はい、お母様」
お母様に見送られ私達は馬車に揺られて王宮を目指した。
私は馬車の揺れに早々に眠りに落ちてしまった。
「アリア、もうつくわ。起きて」
「ん~お姉様の声で起きるなんてなんて贅沢⋯⋯」
私は布団に顔を擦りながら至福の夢に酔いしれていた。
「くすぐったいわ、アリア」
お姉様の笑い声が頭の上から聞こえてハッとして飛び起きた!
なんと私はお姉様の肘で眠ってしまっていた!
お姉様の膝枕なんて贅沢すぎる!
「お姉様!すみません⋯⋯私ったらなんてことを⋯⋯」
いくら払えばいいのか分からない行為に軽くパニックになる。
「いいのよ、あなたは可愛い妹だもの。それよりももう王宮につくから髪と服を直しましょ」
「はい!」
私は侍女に少し髪を直して貰い服を整えてお姉様の横に腰掛けた。
するとすぐに馬車が止まった。
まずはお父様が降りて次にお姉様、その次に私が二人に手を取ってもらって降りた。
「おお、これがあのお城かー」
家の屋敷がすっぽりと入ってしまうほど大きな建物に目を奪われる。
「口が開いてるぞ」
「え!」
慌てて口を手で押さえると横にジェイド様が立っていた。
「ジェ、ジェイド様!あの時はすみませんでした!それにありがとうございます!」
私は顔を見たらまっさきにお礼を言おうと思ってて挨拶より先に謝ってしまった。
「いえ、アリアネル様が元気そうで良かったです。元気すぎるみたいですが⋯⋯」
ジロっと白い目で見られる。
「うっ⋯⋯」
その目に弱い⋯⋯
私は今日は倒れるもんかと踏ん張った!
「ふー、大丈夫です!」
汗を拭うと笑い声が後ろからする。
「あはは、ガーネットの妹は面白いな」
あれは!
私はバッとお姉様の方を見る。
するとお姉様は顔が強ばり下を向いていた。
私はサッとお姉様の後ろに隠れてお姉様の手を握りしめた。
「お姉様⋯⋯挨拶ってどうやるんでしたっけ?」
そっと呟くとお姉様の肩の力がスっと抜けた。
「スピネル王子、ジェイド様この度はお招きありがとうございます。クライス家の長女ガーネットでございます。こちらは妹のアリアネルです」
「こんにちは」
お姉様が見本のようなお辞儀をしたので私はお姉様の後ろで腰を落として挨拶をする。
「妹は初めましてだね。スピネルとこっちの怖い顔がジェイドだよろしく」
王子は爽やかな笑顔で私に挨拶をしてくれた。
「ガーネットも来てくれて嬉しい。早速城を案内しよう。クライス様いいですか?」
お父様に挨拶をして許可を取ると王子はお姉様に腕を差し出した。
おお!
お姉様の一つ上と聞いていたがこれまたどうしていい王子である。
王子は少しだけ赤みがかった金髪でジェイド様と並ぶと金と銀で華やかさがます。
真っ直ぐで正義感の強い金か腹黒で冷たいクールな銀かで女性達は別れるのだ。
お姉様は少し固い表情で頷くとお父様に頭を下げて王子の腕をとった。
「んー!」
叫びたいのを必死に堪えて私はお姉様の後を追いかけようとすると⋯⋯
「アリアネル様は私が」
ジェイド様に手を差し出される。
「へ?」
場違いな変な声が出てしまうとジェイド様はぷッと吹き出して横を向き顔を隠した。
そして咳払いすると顔を戻し私の手を取る。
「また倒れられたら困るからな」
言葉とは裏腹に優しく手を掴んでエスコートしてくれた。
「うっ⋯⋯」
お父様はそんな私達を泣きながら見送り仕事に向かっていた。
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